少女が拾った心の癒して

あらすじ
少女は学校でイジメられていて、毎日ひとりぼっちで帰宅していました。学校に行く途中の路地裏には一匹の猫がいました。少女はその猫に餌をやって話しかけるようになっていきます、まるで友達がいない事をうめるかのように。そうしてるうちに猫は少女に話しかけてきました。「おまえと一緒にするにゃ」

 ある日、少女は学校でいじめを受けていて一人ぼっちの寂しさを、学校の帰りの路地裏で毎日のようにみる猫に自分の面影を感じ取り毎日のように餌をわけてあげていたのです。ですが少女は我慢できず次第に何時も一緒にいたいと思うようになり家に持ち帰る事にしました。

 家の玄関口で少女は猫に寂しそうに言うのです。
「わたしたちは同じだね」

 猫はとっさに少女に猫パンチをくらわせました。
「同じじゃないにゃ」

 少女は驚き耳を疑い猫を不思議そうに見て話しかけるのです。
「いま、しゃべったよね」
「おれっちは、自由だにゃ」
「いいな……わたしは閉鎖的な心の中で生きてる」
「それは、おまえが我慢のし過ぎ何だにゃ」

 少女は戸惑いながら玄関口から家に入り、ひっそりと猫を自分の部屋に持って行こうとした瞬間、少女の母親に見つかり怒鳴られるのです。
「そんな汚い猫、もってくるんじゃない!捨ててきなさい」

 少女は母親にかみつくように言い返すのです。
「わたしの事なんて、ほっといてよ」

 母親は少女を家の外にたたきだして怒鳴って言うのです。
「捨ててくるまで家に戻ってこなくていいからね!」

 少女は落ち込みながら猫を抱えて公園に行きました。
猫は少女に強がって言うのです。
「にゃんで俺っちと一緒にいたいんだ」

 少女は寂しそうに猫を抱えてシーソーに座り学校の事を猫に説明します。 「わたしね、学校で友達がいないの、みんな、わたしの事を見て煙たがるの」

 猫は少女の腕から離れてシーソーの向こうにバランスをとるように座って言うのです。

「それは心が乱れてるからじゃないかにゃ、学校に行く事は正しい事なのかにゃ、人それぞれの生き方があるにゃ」

 少女は、まるで初めて友達ができた感覚をかみしめながらドキドキして猫に問いかけるのです。

「お母さんとお父さんが学校に行きなさいって、先生もイジメられるのは君が何かしてるからだろって、誰もわたしの気持ちなんて考えてくれない、言っても聞いてくれない、猫さんだけだよ、わたしの言葉に耳を傾けてくれるのは、きっと見えない何かが引き寄せてくれたんだと思う」

 猫はシーソーから降りて、少女の気持ちを否定し自由の在り方を少女に問いかけるのです。
「おれっちは、常に自由にゃ、おまえのようにめそめそしたりしないにゃ」

 少女と猫が話してるうちに夕日が落ちて暗くなったころ、母親が保健所の役員を連れて公園に少女を迎えに来ました。猫は隠れるように公園から逃げようとしましたが、保健所の役員に捕まりおりに入れられました。

少女は自分の気持ちを、必死で訴えかけます。
「その猫を話して!わたしの唯一の友達なの!」

 猫はおりの中で捕まりながらも少女に誇らしげに言うのです。
「おれっちは全てを受け入れる覚悟で生きてるにゃ、これも運命にゃ」

 少女は初めて自分の行動で1秒先が変わることを胸にしまい込み、おりを蹴飛ばします。
「あきらめるなんて猫さんらしくないよ!わたしは諦めないから!」

 少女の行動は役員の心を動かし母親を説得するのです。
「わたしたち保健所の役員も、お母さんの娘さんが言う事に賛成したいと思うのですが?」
 少女は必死に母親を説得するのです。
「わたしが、ちゃんと面倒を見るから!飼っても良いでしょ?」

 母親は娘が初めて自分の意見をハッキリと言った事に感激して、娘の言う事を聞き入れる事にしました。 
「ちゃんと面倒を見るんだよ!餌も自分で毎回ちゃんと管理して、毛玉も処理して美しく飼ってね!」

 少女は感激しておりから猫を抱きかかえるのです。
猫は少女に信じてたかのように言うのです。

「やればできるにゃ、心の平行は思いの波を操作して創ることにゃ、感情をちゃんとださないと言葉は空っぽのまま人に伝わり、何も感じてもらえないままに消えて行くにゃ」

 少女と猫は母親と一緒に帰宅して、少女は部屋に猫を招き入れ一緒に暮らすことにしました。少女の心は猫と話しているうちに、次第に豊かになり学校では友達ができるようになって行くのでした。
 少女の友達が1人で、家に遊びに来ると少女は嬉しそうに猫を友達に紹介しました。

「この猫って生意気だけど、わたしの親友なんだ!」

 少女の友達は変化した心の絆を見て涙を流して言うのです。
「わかってあげられなくて、ごめんね、もっと早く友達になれたかもしれないのに……」

 猫は少女の友達に不思議そうな面持ちで言うのです。

「おまえのせいじゃないにゃ、誰のせいでもないにゃ、人は見えない何かでつながっているモノにゃ、試練を乗りこえた先につかむ幸福だからこそ、嬉しさも楽しさも愛おしさも感じ取れるようになるにゃ」

 少女は生意気な猫に自分の思いを言うのです。
「猫さんは、いったい何者なの?ずっと不思議だったんだ、なんでしゃべれるの?」

 猫はベッドに寝そべって少女に背を向けて嬉しそうに言うのです。
「おまえが聞き取れてるだけにゃ、ほんとは、おれっちも寂しかったにゃ!」

 少女と猫は、ほんの少しだけ分かり合えた事に、ほんの少しだけ話せる事に、心を許せる友と呼べる存在に感謝して。これからを過ごして行くのでした。

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