田舎暮らし


 自分は、仕事の都合で今地元を離れて一人暮らしをしている。

 これは「田舎」の尺度を表す画像で、まあ良くできていると思う。この画像で言うと、自分の地元が「田舎(都市部)」で、今住んでいるのは「ド田舎」である。ただ、この画像ほど建物は密集していない。多分「超ド田舎」に片足を突っ込んでいる程度。そんな田舎暮らしの理不尽さ、辛さを紹介したい。

田舎暮らしの不便さ

 自分は仕事の都合で転勤している。特定を避けたいので具体的な職業には触れないが、今住んでいるところは会社が紹介してくれたところで、家賃がべらぼうに安い。地元で住んでいた時の家賃の5分の1なので、圧倒的な安さである。ただし、家の周りには何もない。川があり、蛍が光っているのをこの前確認できたほどの田舎である。最寄り駅(当然無人駅)までは徒歩1時間超、最寄りのコンビニまで徒歩30分超、最寄りの郵便ポストや自販機まで徒歩15分、だ。駅まで徒歩1時間以上かかるので、うかつに飲み会すら参加できない。帰ることができないから。

 そして住んだ住宅にはインターネット環境がない。そもそも築年数が古いので、電話線用の穴しかなかった。そこでモバイルWi-Fiとしては速度として有能らしい「WiMAX」を契約する。しかしそこに大きな落とし穴があった。

 なんと、通常のWiMAXネットワークでは、自分の家はエリア外なのである!そんなもん先に調べとけよと情弱極まりないムーブをしてしまったが、携帯電話回線を使う代わりに月7ギガバイトまでの「プラスエリアモード」は電波が通るようである。つまり、田舎ではインターネットすら満足にできないのだ。このインターネット全盛の情報化時代、まさか電波を節約する生活を強いられるとは。

強いられる出費

 田舎に引っ越してしばらく経つと、部屋のチャイムが鳴る。基本的にアポ無し訪問には出ないようにしているが、その日はアマゾンか何かを頼んでいたから、それかと思って出てしまった。

 そこには「自治会長」を名乗る男性が立っていた。自治会長は「管理費として入居者から月々七千円を徴収していること、定期的にある芝刈りや清掃活動に参加してほしいこと、芝刈りや清掃活動はいかなる理由であろうと欠席は許されないこと、止むを得ず欠席する場合はいかなる理由であろうと出不足金5000円を徴収する」というような内容のことを言っていた。

 「出不足金」という言葉をご存知だろうか。最初は読み方がわからなかった。しゅつふそく?でふあし?答えは「でぶそくきん」である。出不足金、一発で変換で出てこねーよ。

 「出不足金」とは何か、とどのつまり、罰金である。みんなで行う掃除などの活動を欠席したから罰金を払えということである。

 まあ、その罰金制度はわからなくもない。みんなでやる活動なんてペナルティがなければサボる人間が出てくるのは道理である。ただ、5000と、いかなる理由においてもってのはひどくないか。冠婚葬祭くらいは多めにみろよと。まあ冠婚葬祭のうち突発的に起こりうるのは葬くらいだけど、身内が死んだ人間から金を毟るつもりなのだろうか。

 しかし「管理費」は問題である。なぜなら入居にあたり、賃貸管理者からそんな話は一切聞いてないからだ。その旨を説明したところ「規則だから」「ここに入居している以上自治会の入会も絶対だから」らしい。話が通じなかった。

 予想もしていなかった高額な出費でダメージを受けたが、管理費込みでも普通の賃貸としては破格の値段なので、「ちょっと高めの駐車場代」と思って我慢することにした。しかし、その後日行われた自治会で衝撃の事実が告げられる!

「初めてここに入居された方は、初月の管理費は二ヶ月分いただきます」

 いやいやいや、何それ?なんで?てかお前この前最初に家に来た時そんなこと一言も言ってなかっただろうが!

ワイ「いやいや、なんでですか、意味わかりませんて」

自治会長「そう言われても、決まりなもんですから」

ワイ「いやいや、決まりやったら何してもええんかっっていう話ですよ。なんで二ヶ月分払わんといかんのですか」

自治会長「みんなそうしてきてるんで」

ワイ「知らないですよみんなのことなんか、なんで二ヶ月分なのか、理由はあるんですか、そんな納得できない金普通払えます?」

自治会長「理由はまあ、前からこうなってるとしか言えないですね」

ワイ「理由はないってことですね?じゃあ理由のない金は払えないですわ」

自治会長の腰巾着「君ね、若いからわからないかもしれないけど、世の中には理不尽なことだっていっぱいあるし理不尽なことでも従わないといけないことがあるんだよ」

 こいつは何を言ってるんだ。突然横から会話に入ってきて何を馬鹿なことを言っているんだろう。確かにこの世は理不尽だけどだからって人に理不尽を押し付けていい理由にはならんだろうが。

自治会長「払わないってことだね、それは困ったね、ワイ君○○で働いてるんでしょ?こうなったらそこの所長に連絡するしかないかなぁ・・・ワイ君が規則の管理費を払わないって」

 まさかの脅迫である。この瞬間はさすがに背筋が凍った。当然のように自分の勤務先が知られているし、当然のようにそこのトップと繋がりがあるし、それをネタに脅してくるなんて完全な予想外だった。どんだけ金が欲しいんだよ、こいつら。

ワイ「いや払わないって言ってないでしょ?そっちがちゃんと二ヶ月分の理由示してくれたら払いますって」

 散々ごねたが、結局腰巾着のマザーファッカーの言うとおり、払うしか選択肢は残されていなかった。田舎というのは住んでいるだけで金をせびられるのである。

昆虫王国

 ヒルのような連中に毎月安くない金を吸われながら、田舎暮らしをしてみると明らかに気付くことがある。あまりにも虫が多いのである。

 雨戸はないので、夜に部屋の電気をつけて過ごしていると、窓からコンコンと音がする。握り拳よりひと回り小さいくらいの蛾が光を求めて窓に突進しているのだ。自分は本当に蛾が苦手なので精神が削られる。

 他にも、蜘蛛も非常に多い。住宅の通路の天井は蜘蛛の巣塗れ、通路も壁から手すりに向かってワイヤートラップのように蜘蛛の巣ができている、気分はまるでバイオハザードのアレだ。

画像1

 ベランダにも虫が侵入してくる。物干し竿は1日洗濯しないとすぐに蜘蛛の巣が貼られる。網戸やベランダの鉄柵にはナナフシが張り付いている。その他名前もわからない小さい虫がいっぱいだ。田舎は人は少ないが虫は多いらしい。見たことがないくらいでかい蛾も外壁に張り付いていた。

 そして最近本当に困っていることは、どこからか家の中に蟻が侵入していることだ。油断していると、ゴミ袋の中の菓子パンの袋などを求めてうじゃうじゃ湧いている。この前、家の中で蟻の行列ができていたので、行列を遡り出どころを探してみた。すると窓や玄関ではなく、壁紙と壁紙の境目、その壁紙の角が少しめくれているところから出てきていた。こんなん、事前に気をつけようがないじゃん…

 とりあえず、アリフマキラーを買って、その壁紙のめくれているところに全力噴射である。家の中をうろついてるアリにも噴射したが、噴射の勢いが強すぎて蟻が吹き飛んでしまい、どこに行ったかわからなくなってしまうのでこれで殺すことはやめた。

 アリフマキラーの効果か、大量に行列を作られることはなくなったが、それでもしばしば家の中で数匹歩いているところを見かける。本当に勘弁して欲しい。

田舎暮らしのいいところ

 ここまであまりにも田舎暮らしの欠点ばかり書き連ねてきたので、田舎暮らしのいいところをあげてみようと思う。

① 星が綺麗

 これはすごい。自分の地元では見られないくらいたくさんの星が見える。

② 蛍がいる

 この前家の近くの川で光っているのを見た。

③ 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が少ない

 世間を騒がせているコロナだが、そもそも住んでいる人間も訪れる人間もほとんどいない地なので、影響が少ない。(それでも飲食店が自粛するなど多少の影響はある)

 正直これくらいしか思いつかなかった…③のコロナに関してだって、感染リスクがゼロというわけじゃないし、本当に田舎暮らしのメリットはない。


 というわけで、自身が体験した田舎暮らしについての所感を述べた次第である。なお、この記事は個人の体験をもとに脚色を加えたものなので、実際の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。また、地方や地方に住んでいる人を貶める意図は一切ありません。

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