マンションを買った話 その3〜決断から各種手続きの果てへ〜

 前回(その2)前々回(その1)の続きです。

手続き

 もう時間が空きすぎて忘却の彼方に記憶が行ってしまっているが、なんとか思い出しながら書きたい。

 印鑑やら源泉徴収票やらを持って、契約にかかる。齢27にして数千万もの借金を抱えることとなってしまう。とはいっても、まだローンの申請をするだけで、ここから[仮審査→仮審査合格→本審査→本審査合格→ローンの締結]という段階がある。まだまだ仮審査なので、先は長い。

 自分は大学時代、18の頃から早々にクレジットカードを作ってそれなりにAmazonやら楽天やら何やらで散財はしてきたが、一度も支払いを滞ることはなかった(2回くらい、口座引き落とし前日の夜に金が足りないことを思い出して、遅くまでやってる中央郵便局のATMに走ったことはあったが…)ので、クレヒスはめちゃくちゃ優良だと思うし、一応仕事は公務員の端くれなのでまあローンの審査が通らないということはまずないだろうとたかを括っていた。唯一の懸念点があるとするなら、月給が安いってことくらいだろうか、と考えていた。

団信

 団信(団体信用生命保険)というものがあり、住宅ローンをする際には加入が必須らしい。ローン契約を結んだ俺が死んだり、がんとかの病気になってローンが支払い不能となったときにこの生命保険が下りることで、ローンがチャラになるというものだ。へーこんなんあるんだ!じゃあ来年あたりめちゃくちゃ軽いがんとかになってさっさと完全寛解できたら超ラッキーじゃん!とか考えていた。

 ただ、どうもこの団信に通らないと、住宅ローンは組めないようである。そして、団信は病歴があった場合、それを告知せねばならず、それによってはローンが通らない可能性があるということだ。

 団信の告知事項は以下の通りである。

【1】最近3ヶ月以内に医師の治療(指示・指導を含みます)・投薬を受けたことがありますか。
【2】過去3年以内に下期に該当する病気で手術を受けたこと、または2週間以上にわたって医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を受けたことがありますか。
* 狭心症、心筋こうそく、心臓弁膜症、心筋症、不整脈、先天性心臓病
* 脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)、脳動脈硬化症
* 高血圧症、糖尿病、こうげん病、リウマチ、貧血症、紫斑病
* 慢性気管支炎、ぜんそく、肺結核、気管支拡張症、肺気腫
* 胃かいよう、十二指腸かいよう、かいよう性大腸炎、すい臓炎、クローン病
* 肝炎、肝硬変、肝機能障害
* 腎炎、ネフローゼ、腎不全
* 緑内障、網膜の病気、角膜の病気
* ガン、肉腫、白血病、腫瘍、ポリープ
* 精神病、神経症、総合失調症、てんかん、うつ病、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症、知的障害、認知症
* 子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症、卵巣のう腫
【3】手・足の欠損または機能に障害がありますか。または脊骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がありますか。
※【1】~【3】の内容になし・ありで答え、「あり」の場合は、さらに以下の項目を記入します。
* 病気やけがの名前(診断名)・障害内容・けがまたは障害の原因
* 治療(指示・指導を含みます。)・投薬を受けた年月
* 入院の有無および期間
* 手術の有無・時期および名前または部位
* 症状経過:治療中の場合、現在の症状・治療内容・薬剤名・用法・用量等をご記入ください。
* 〔高血圧症と告知された場合、最近の血圧値をご記入ください。〕:最高(収縮期圧)、最低(拡張期圧)
* 〔糖尿病と告知された場合、ご記入ください。〕:最近の空腹時血糖値 、インスリン治療、合併症
* 〔肝臓に関する病名を告知された場合、ご記入ください。〕:最近の肝機能検査数値
団信の告知義務違反はバレる?健康不安があるときの正しい対処法より引用

 さて、ここで問題になってくるのは、自分は2年ほど前に諸事情でメンタルをぶっ壊してしまい、廃人同様になってしまったことがあるのだ。つまり「過去3年以内」にはバッチリ該当している。でも診断名は「うつ病」ではなかった。そして、告知義務のある病名のどれにも該当するものではなかった。(診断名が何だったかは伏せる。)

 まあ広義の精神病には該当するかもしれないが、果たしてそんな数年前のことまで調べられるのか?とも思いつつ、まあ診断名違うしセーフだよね!ってこと、そして通っていたメンタルクリニックが既に廃業しているということで、大丈夫だろう、と。そもそも問題になったところで診断名違うもんってこっちは言えるから良いのだ。

契約

 時期が前後しているかもしれないが、ローンの仮審査が通って本審査の申請をするという時、マンション側と売買契約を結ぶ、実印や住民票などを用意して行った。書類に現住所を書き、名前を書き、印を押す。これを3〜4回、いやそれ以上、繰り返したような気がする。これでもう後戻りはできない。やっぱ返品しまーす!とも言えない。自分が一国(一部屋?)一城の主となること、数千万の借金という十字架を背負うことがここに運命づけられたのだ。

 売買契約に際して、重要事項説明というのがあるらしい。十数枚にわたる冊子の中には、細かい字でびっしりと契約書の但し書きのようなものが書かれているが、どうもこれは必ず聞かなければならないもののようである。そして、この説明は「宅地建物取引士」、つまりいわゆる宅建士でないとできないらしい。そして説明をする人が宅建の資格を持っていることを証明するために、宅建士の免許証的なものを見せられる。後から知ったが、この免許を見せるのも必ずやらないといけないらしい。重要事項説明書の内容を一言一句とまでは言わないが、内容をほぼ丸々くどくどと説明される。30分弱ほどかかったし正直しんどかった。

 ただまあ、こういうことを説明されるというのは良いことなのかもしれない。俺はそれなりにいろいろ自分で調べるタイプの人間やし、利用規約とかもちゃんと確認するけど、自分の知り得ない範囲のことがここにしれっと書かれているかもしれないし、書かれていてもその意味を理解できるかどうかという点もある。大体、みんないろんな「利用規約」とか大して読まずに「同意する」って押しちゃうでしょ。特に、こんなマンションとかの取引ではうん千万の金が動くわけで、お互い「知らなかった」とか言った言わないの水掛論争になるくらいなら、こういう風に義務化しているのは良いのかもしれないね。みんながみんな必ずしも自分の人生に当事者意識持って生きてるわけじゃないから、難しいことは早々に理解を諦めたりする人だっているわけやしね。

 そんなこんなで、契約も滞りなく進み、残すタスクは「銀行の住宅ローン本申し込み」と「不動産登記に関する書類の用意」とかその辺である。まだまだ続きます。

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