初めまして

新型ウイルス関連の情勢を前に僕らの業界も当然の事ながら苦境に立たされています。本当にもう、患者さんの数が激減している。
もとより人気で大混雑していたような接骨院ではないですが、うちのような小さな接骨院は持ち合い室にソーシャルディスタンスを取れる大きなスペースがあるわけではなく、人との接触を避けたいと通院を控えるのは当然の事と思います。

悪化すれば命に関わるような病気を扱っている病院や、放置するわけにいかない歯科でも患者数が減っているわけで、「極論を言えば」我慢していても大きな問題にならない身体の痛みを扱う接骨院の患者数が減るのは致し方のない事です。

今は我慢の時、皆んなでじっと耐えるのみと十分に理解しています

接骨院や鍼灸院、マッサージ院などの有国家資格者の営む健康サービス事業は、文字通り消費者に健康サービスを提供する業種ですから、もちろん休業要請対象にはならないでしょう。
不要不急とは言えないまでも、いま身の危険を冒してまで行く必要のある場所かと聞かれたら…。おそらく理髪店や美容院、ネイルにリラクゼーション、エステサロンなども同じように、葛藤の中で営業を続けられている方が大勢いらっしゃるのでしょうね


…ここで接骨院業界の苦境の話。

接骨院業界が苦境に立たされているという話は、実は今に始まった事ではなく、業界内ではもう20年ほど前から「やばい」とずっと言われ続けているんです。その20年ほど前というのは、時の規制緩和によって柔道整復師の養成学校がどんどん増え、接骨院の数もうなぎ登りに増加し始めた頃です。

柔道整復師の数が増える、そうなると当然ですけど接骨院を経営していた人たちは焦りました。
「これからどんどんと接骨院が増えたら…」と。食いぶちが減るわけですから。
それからずーっと、この業界の中の(一部の)人たちは「やばいやばい」とか「この業界には未来がない」とか言い続けています。実際に柔道整復師の平均年収はピーク時の半分とも3分の1とも言われています

僕は他業種の事には詳しくないですが、一時期とっても騒がれた加計学園の獣医学部新設問題も、そんな既得権利を守りたい人たちの思惑もあったんじゃないかなーなんて思ったりもしています。

ただ
接骨院の数が増えた事で起きた一番の問題は、一部のとっても儲けていた人の儲けが分配されたという話だけではありません。

一番大きな問題は、養成学校が爆発的に増えた事で接骨院の先生の全体の平均レベルが下がってしまった事です。
平成10年には全国に14校しかなかった養成学校は今や100校近く、定員は1050人から8000人を超える数となり、狭き門だった柔道整復師への道は今は広く開かれています。
今では(言うのが心苦しいですが)ほぼ誰でも養成学校に入れます。そして学校も商売ですから、入学した学生に対してはなんとかして国家試験に合格するように手厚くサポートします。
もちろん以前と同じように志も高く頭脳も技術も一流の先生は今でもたくさんいますが、一方で大変失礼な言い方にはなってしまいますが結果として多くのレベルの低い接骨院の先生「も」多く輩出されています。それが業界のレベルを引き下げ、世間の接骨院に対する評価を下げました。
いくらいい先生しか生き残らないと言っても、弱肉強食では済まされない状態になりました。

僕が言いたい今の苦境というのは、もう接骨院の先生では食べていけないとか患者さんが減っているから接骨院に通ってくださいなどと言いたいわけではありません。もちろん今から接骨院の先生になるのはやめたほうがいいと言いたいわけでもありません

こういう世の中の状態で、業界が苦境に立たされているのは、業界全体の怠慢が生んだ結果とも言えますよ、と。
世間の接骨院に対するイメージと評価が今の世の中の情勢を前に浮き彫りになっています。

これを読んでいる方が、もしもいま接骨院に通っている人ならよーく見極めて今後も通うべきか判断してください。こんな時でも通わなければいけない身体の状態で、もしくは通いたいと思える接骨院であるならば、そこの先生はきっとくだんの、レベルの低い先生ではなく、素晴らしい先生です。

まぁこんな時だから通うのやめておくか、と思う程度のところならそもそも行く必要のない場所です。これを機に卒業してしまいましょう

さて、これを読んでいる同業者の方。これを読んで腹立たしく感じていますか?そういうお前はどれだけ立派な柔道整復師なんだと思っていますか?

こんな偉そうなことを言いながら、もちろん気づいたらうちの接骨院も畳んでいるかもしれません。もしかしたらこれを患者さんが読めば通院をやめてしまう人もいるかもしれません。

ですが、それは結局のところ自分の蒔いた種です。こういう状況でも患者さんが来院してくれるような接骨院づくりができていなかったということです。

だからこそ、ここでは少しだけ、業界の為になるように。それが結果的に接骨院を選んで通院してくれる患者さんの為になるように。
これから、患者さんの立場から読めば接骨院ってこんな身体の為になる事があるんだなと思えるような、同業者から見れば日々の施術や患者さんのアプローチの参考になるような。そんな情報発信と情報共有ができたらいいなぁと。
そして若手の柔道整復師や志す学生さんが、勉強しようと思えるようなきっかけになれたらいいななんて事も思います

もしもちょっと共感したり応援したいなと思たら、これからも読んでいただけると嬉しいです


それでは、また。


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