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書体と仲良くなる1歩目 - 29書体の使用例/コンセプト/制作年

フォントは持っているだけでは意味がないし、今のところ初心者すぎて、名前だけではどんな印象のフォントなのかわからない。なので、ひとつひとつのフォントを観察しながらまとめておきたい。

ヒラギノ

まずはヒラギノから行こう。コンセプトは、クール・スマート・ベーシック。開発はscreenホールディングス1990年。けっこう新しい。若々しい明朝体がなかったので着手したそうだ。Mac OS Xに標準搭載となったことで爆発的に広まった。

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これは「仮名の書体」。なので漢字は収録されていなくて、だからこの書体で漢字を書こうとすると空欄になる。調べてみると合成フォントというのがあり、Adobeだとひらがなに割り当てるフォントと漢字に割り当てるフォントを別々に設定できるそうだ。

仮名だけを扱う書体をつくるのは、アルファベットのように文字数を限定するためなのだと思う。ひらがなだけ扱うにしても50文字あってアルファベットより多いけれど、それでも漢字まで扱うよりは少ないから。漢字はベーシックな書体に任せて、仮名でバリエーションを出すことに注力できる。

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これもヒラギノのひとつらしい「こぶりなゴシック」。控えめでありながらしっかり腰が据わっている印象。

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ここまでがヒラギノ。ここからよく聞くフォントを並べてみる。

リュウミン

これはコンセプトはない。というのも、森川龍文堂という活字メーカーから譲り受けた新体明朝という書体がベースにあるからだ。新体明朝のトーンがコンセプトになっている。開発はモリサワ、1982年。

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リュウミンはいちはやくDTP時代に対応したため、明朝体のスタンダードになった。

新ゴ/新丸ゴ

日本で初めてコンピュータで、しかもファミリーを想定してつくられたフォント。開発はモリサワ、1990年。コンセプトは、

タテ・ヨコ組ともラインの出る構成、モダンで、かつ、強くシリアスな感じの組版にも使える

そのためにそれまでのゴシック体よりも装飾をなくし、さらにひらがなを漢字と同等の大きさにしたそうだ。そうすることで広告などで大きく使われるときの一体感につながっているという。

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こうやって並べてみるとようやく2つのフォントが違うのが分かる。左が角ゴシックで右が丸ゴシック。全然違う。

秀英体

明治時代に始まり大日本印刷に受け継がれてきた書体。『広辞苑』に使われていたりと、日本語をつくってきた書体と言っても過言ではなさそう。

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秀英明朝からゴシックがつくられている。金銀という呼び名に趣がある。いまだとポケモンを思いだす人が多いかもだけど。

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秀英体は流麗だ。歴史が示している通り、これぞ日本語という感じがある。なので、"日本語"を読んでほしい!というときに使うのが良いのかもしれない。

游書体

2002年、字游工房による書体。コンセプトは、

時代小説が組めるような明朝体

デザインはヒラギノと同じ鈴木勉による。

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この書体、neoコーキョーに使えるかもしれない。ポップと硬さのバランスが合っている気がする。ゆったりしている。

A1明朝

2005年モリサワ制作。このフォントに関してはモリサワのnoteにこう書かれている。

言葉から温かみを感じられるような演出が得意な書体です。

ここに書かれているのはA1ゴシックについてだが、A1明朝を受け継いでそうなったと書いてあるので同じだろう。確かにそのように感じられる書体だ。とっつきやすい感じがする。

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光朝

田中一光さんがアルファベットのBodoniに合う書体として制作した書体。Bodoni同様、縦に対して横がかなり細くつくられている。

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見出しゴMB1

これもモリサワ、1963年制作。読みやすさを重視して設計されている。長文でも疲れない。

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太ゴB101

モリサワ、1962年作。線画のほとんどは先端部に近づくほど太くなるよう設計されているのが特徴。

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中ゴシックBBB

1964年。これもモリサワ。雑誌本文や、キャプションなど小サイズでの使用に。

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ゴシックMB101

2004年。モリサワ。

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アンチック(仮名書体)

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毎日新聞書体

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小塚書体

Adobe制作。小塚昌彦監修。1998。コンセプトは、

伝統を大切に、かつモダンな雰囲気の明朝体、この相反するテーマをオリジナル書体デザインの大きな目標としました。またデジタル化された明朝体であっても文字は人間が書く奇跡であり、目で見る言葉でありたいということが「小塚明朝」のテーマです。

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以上。

筑紫とイワタは持っていないので、ここには入れられなかった。

また、各フォントの発表年については、正確なものを知りたい方はフォントの解説書なども見てみてください!

楽しかった。今までフォントには苦手意識というのか、細かすぎてわからないというイメージがあったが、大づかみにフォント全体の地図のようなものを頭に作れた気がする。

本とか広告とか掲示の文字を見て、フォント表と見比べるのやったらもっと身につくかな。


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