見出し画像

「こんな畑づくりはオススメしない。」その1

「こんな畑づくりはオススメしない。」
その1「ビニールマルチを使わない」

「ビニールマルチ」。農業をやる上での、最強アイテムのひとつです。畑でよく見る、黒いビニールで、よく畝づくりに使います。

ビニールマルチ。研修生時代の先輩農家さんの畑にて。

効果はその名の通り「万能」で、あらゆるメリットがあります。

・保湿
・保温
・病害予防

などに効果がありますが、最大のメリットは、おそらく「雑草防除」

この高温多湿のアジア特有の気候は、とにかく「雑草」がすごい。

種を蒔いても、苗を植えても、果樹を植え付けても、田植えをしても、とにかく秒速で草に飲み込まれて行きます。2分後には背丈を超えます。(注:筆者の体感速度です。)とにかく、「雑草」とどのように付き合うか、が野菜づくりの要のひとつです。

きれいに草に飲み込まれた「オクラ畑」。

そんな中で、「雑草防除」効果が抜群なのは、とにかくこの「ビニールマルチ」。ビニールを敷くので、そこからはほとんど雑草が生えてきません(あくまでも“ほとんど”)。

家庭菜園や、少し畑をやる人にはぜひオススメしたいのが、この「ビニールマルチ」になります。除草剤などを使わない場合は、なおのこと。今の農業を革新的に飛躍させたアイテムのひとつは、この「ビニールマルチ」と言って良いでしょう。

しかし。

この「ビニールマルチを使わない」という、挑戦的な方法があるということを聞き、「バカじゃないのか⁈」とは思いながらも、「本当にできるのか?いや、本当にマルチなしでは野菜は出来ないのか⁈」という問いが生まれ、去年あたりから、少し試してみました。いや、ほとんど使うことをやめました。

やっぱりビニールなんでね、なんだか「脱プラ!」とか最近よく聞くし、「環境負荷!」とか「持続可能性!」とかで、ビニールってよく無いんでしょ?多分。

のようなノリで。

やめてみました。ビニールマルチ。

結果としては、とにかく「まあ野菜が育たない」

草育ててるのか、野菜育ててるのか全然分かりません。そもそもどこが畝なのか、どこに種を蒔いたのかが分かりません。

どこに何があるのかわからない、スナップエンドウの畑。

ほんで、草取りに手間を全部持ってかれる。やってもやっても終わらない草取り。野菜を見失うレベルで草が生えてきます。

もう、毎日草だらけの畑を見て笑い転げております。どうにもならねー!ってなっております。片付けても片付けても散らかる部屋です。

ビニールマルチ無しの一番のメリットは、まずはゴミが出ないことかな、と思います。「ゴミが出ない」ってやっぱり良いですね。

もう一つは、お手伝いしてくれる人たちへのありがたさが染み入ります。めちゃくちゃ助けられてます。もしみなさんにお野菜がお届けできているとしたら、それは誰かが草取りを手伝ってくれたからです。ありがとうございます。

そして、3つ目に、少し農家っぽいことを言うと、「畝を育てる」って感覚が生まれます。

「畝を育てる」

基本的に、私たちのエリアでは、畝は、栽培の時のみに立てて、収穫が終わったら、耕してリセットします。

ですが、ビニールマルチを使わないことで、草がたくさん生えるので、それを刈り、畝に敷いていくことで、雑草が分解され、生物循環が起きて、「畝」がひとつの生態系のようなものになります。

虫や微生物、菌などの有機的な棲家を作ってあげることができます。

そこで生まれてる命や野菜は、確実に次代に受け継がれて、より良い恵みを分けてくれます(はず…!)。

ビニールマルチを使わないことで、環境負荷を減らして、小さな生態系を回していけることが、とても良い点の様に思います。

とは言え、現実は、手間が格段にかかるので、他の作業に手が回らなくなり、全体の売上が落ちたり、収穫量が一気に落ちたりしますし、結局、刈払機はいつもより多めに使うことになるので、CO2排出量は多くなります。

正解は無いのですが、今のところ、この「ビニールマルチを使わない」という、ある意味現代農業に対する縛りプレイみたいなものを楽しんでおります。

そんな訳の分からないことを、あれやこれやと試しながら日々やっております。実験的な畑です。またぜひ愛でに来てやってくださいね。絶賛草取りチーム募集中です!笑 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?