「自分ブランド」の築き方
僕が事業に失敗した原因に、自社の強み、売り、他社より選ばれる価値創造が上手くできず、その他大勢の企業とみられることで価格競争に巻き込まれたことで疲弊してしまったことがあります。
マーケティングやブランディングの本を書店で探し、手に取ったのがこの本。
まずは、自分自身をブランディングして魅力を高めてその他大勢から抜け出すことが先決だと思い、即購入して読んでみました。結論から言って目から鱗の良書でした。
著者の岩田松雄さんは元スターバックスで社長を務められた方です。なぜスターバックスはその他のコーヒーチェーンより高い値段でコーヒーが売れるのか、また、良い人材に恵まれる企業なのかが手に取るようにわかります。この本を読めば、自分の強みを再発見することができるので、いまいち自分に自信がない方にもぜひ読んでほしい一冊です。では、早速中身に入っていきましょう。
あなたというブランドの作り方
世界でたった一人の自分として認知してもらい、世界に向かって自分のやりたいこと、社会で成し遂げたいことを表現することができるようになります。そのために・・・
まずは、有名なジョハリの窓を作成して、自己分析をしてみましょう。
まずは4つの枠に項目を分けていきます。上が横軸がブランド、縦軸がミッションです。最も大切なこととして
人にブランドとして認知される前に、まず、自分は何のために存在しているのか、社会に対してどんな課題を解決するのか、そのミッションを明確にする必要がある、ということです。第1の窓は自分も他人も知っているあなた、なので、そこはミッションとしてもブランドとしても認知されている部分です。大事なのは、第2の窓、あなたが心に秘めたミッションをアピールすることで他人に知ってもらい、その地道な活動を通じて、第3の窓を他人から教えてもらうことを重ね合わせて、強固な自分らしいブランドが確立されていくというのです。
そして第4の窓にも注目が必要で、今までやったことがないことにあえてチャレンジすることで自分でも気がつかなかった思いや信念が芽生えて、第2の窓のミッションが見つかるのです。私の例で言うと、コロナで本業が壊滅的になって、しょうがなく介護の世界に飛び込んだことで、新しい自分が社会の中で解決したいミッションが見えてくるというところです。僕の場合、介護をやって感じたのは、介護士、施設、利用者、利用者の家族、いずれも満足してない状況が続いている、誰も幸せになってない状態を解決したい、と言う欲求が出てきたのです。
人生を長年生きてきた大先輩に、施設では折り紙をやらせたり、お遊戯をさせたり、童謡を歌わせたり、まるで幼稚園児に接するような時間の過ごし方、これでは利用者は満足しません。利用者の中には、めちゃめちゃ絵がうまかったり、フランス語が堪能だったり、できることは限られてきてもまだ、残存能力で素晴らしい技術を持っている人もいるんです。でも、画一的なサービスで押し込められる。介護士も少ない人数でこなさなければならないことが多く、常にイライラしています。家族も同様に満足していません。
そこで、僕は自分の残りの人生でやってみたいことが見えてきました。それが、
小さな光に焦点を当てて、誰もが輝ける場所を作る
自分が自分らしく表現ができる社会の実現
この2つをどういう形かはまだ見えてませんが、作っていきたいと思うようになったのです。それを踏まえて自分が社会に約束するミッションを土台として作ることで、人々が感じるブランドのイメージを作り上げられるのでは、と言うのが岩田さんの主張です。僕の場合、以下のような図として可視化していきます。
恥ずかしながら書いていきます。
感動経験がブランドを作る
リーダー自らが率先して、自分達のミッションを実現しようと取り組むことで、社員、パートアルバイト、外注スタッフさん、取引先に伝播して、その結果、顧客にもイメージが伝わるようになり、それが強固なブランドとして確立されていくのだそうです。そして、価格ではなく、体験によってある種の感動を得ることで、顧客は満足してそのブランドを好きになる、そうすれば、価格で選択されることがなくなるのです。外から見えやすい部分ではなく、その下地となる部分を徹底的に磨き上げることがブランド構築には必要なのです。だから、ブランディングには時間がかかる、とよく言われる所以なのです。
「愛社精神」がなければブランドにならない
スターバックスはなぜ値段が高くても大勢のお客様に満足していただけているのか、もちろん時間のたったコーヒーは破棄するクオリティの徹底、居心地の良い内装作りもありますが、一番は、心からスターバックスで働くことに誇りや喜びを感じている従業員(パートナー)の存在が大きいと岩田さんは言います。
全業種の中で見てもスターバックスの飲食業は報酬としては決して高くはないのですが、それでもスターバックスで働きたい、と言う人が大勢いるのはなぜか。
スターバックスで働くこと自体が報酬なのです。
お金を重要視して働きにくる人は、お金が原因で去ってしまうでしょう。しかし、企業理念、ミッションに賛同した従業員は所属する企業へのロイヤリティが極めて高く、その充実した働きぶり、一言で言えばポジティブな「気」が顧客にも伝播してより良い企業イメージ、居心地の良さを感じてもらい、相互作用で企業の魅力がアップするのです。それこそがブランド力がある企業というわけです。
テレビCMではブランドは作れない
スターバックスはテレビコマーシャルを打たないことで知られています。
テレビCMはブランディングというよりは、競合他社が参入してくるのを妨げる障壁としての機能はありますが、ブランド構築のベースにはならないと岩田さんは言います。
CMは先ほどのピラミッドの図で言うと、表面に出ている部分を作り上げることには効力を発揮しますが、見えない土台の部分を作ることはできないのです。
そのベースの部分は企業側がしっかり作り上げた上で、広告クリエイターに依頼すべきで、企業のミッションそのものを彼らに考えろというのは乱暴な話だというわけです。
自分が自動車の営業マンだった場合の「ブランド化」の方法
もしあなたが車の販売営業マンだった場合、どのようにブランド化して車を売ったら良いでしょうか。「◯◯自動車の山田さん」ではブランド化されておらず、コモディティ人材となっている状態です。
そのためには、車を買ってもらうのではなく、まずは、自分自身を買ってもらうより他にはないそうです。「◯◯自動車の山田さん」ではなく、「困ったときにすごく助けてくれる気の利く山田さんだから信頼できるね、◯◯車を買うときは君から買うよ!」と言わせるのです。
それこそが自分ブランドが浮き出てきた証拠と言えるでしょう。
あなたから書いたいと思わせるためには、メリットがないのに、顧客のために労を惜しまない姿勢、真の意味での顧客目線ができるかどうか、にかかっているのです。
牛丼チェーンは「価格」を、スターバックスは「価値」を提供する
牛丼チェーン店で問題になるのは、基本的に値段が上がった下がった、という部分がニュースになりますが、スターバックスの場合、品質が下がった場合、大きなニュースとなる、そこに両者の違いがあるのです。
また、働くスタッフにも大きな違いがあって、牛丼チェーン店ではしっかりしたマニュアルがあって、裁量権はそれほどないのですが、スターバックスは、同じ飲食店でありながら、顧客に応じたスタッフの個人的なセンスや裁量で少しでもお客様がポジティブな体験ができるよう考えて接客しているというところが違うと岩田さんは言います。
一流は「to be good」、二流は「to do good」
もう一度ジョハリの窓を見直します。
自分なりにミッションを持っていても、それが他人に伝わっていなければそれはブランド化されていないのです。また、他人から見たあなたの素敵な要素も、自分で気がつかなければブランド化にはなりません。(第3の窓)
ジョハリの「第2の窓」と「第3の窓」。自分自身のイメージと、他者が抱くイメージを一体化させていくと素晴らしいブランドになります。
ブランドとは「お客様とのお約束」であり、いかなる場合でも裏切ってはならないもの。
ブランド化される人や企業は基本的に「to be good」(善そのものであることを望む)。いつどこで、誰を相手にしていても共通した状態です。その一方「to do good」(善行をなすこと、良い行いをすること)であり、意図的にいいことをしよう、というのは不自然であり、見返りを求める意図がある、と岩田さんは言います。善行そのものを自然と行う状態まで持っていくことができればそれはブランドであるのです。
まとめ
この本は自分が会社経営に失敗した原因の一部をしっかり再認識させてくれて、どうしたら良いのか、を教えてくれる大変貴重な一冊でした。
まとめると、
ブランド化するためには、まず、その土台をしっかり作らなければならない、地道なミッションを試行錯誤して作り上げ、その上で、自分の心の奥底にあるミッションと自分が気がつかない、他人が知っている自分を重ね合わせて、少しずつブランディングを構築していく。
小さな石を少しずつ積み上げていく作業とも言えるようで果てしない道のりのような気もしますが、これが大切なのだと、改めて認識できた良書でした!
よかったらAmazonのリンクを貼っているので読んでみてください。
以上、終わりです!最後まで読んでいただいてありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?