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Cadre小噺集

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Cadreの世界では あんなことやそんなことが起こるもので、 語りをまとめてみました。 エピソードトークもあります。
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2021年5月の記事一覧

Cadre小噺:思いだけの体

書記:ジェームズ

己がリュビの小隊長を務める最後の時のことだ。
20m程の大きさの水飲み鳥のような形をした
A級シャドウ「ジクロン」がエリアAの片隅に出没し、
手当たりしだいに人々にフラッシュを浴びせて、
肉体の全てを融かし、濁った淡黄色の蠢く液体にしているという通報が来た。

己は仲間を巻き込みたくないので単独で立ち向かった。
…まあ今思えばそれで良かったな。

あちこちに液体が溜まっており、

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Cadre小噺:世界から棄てられた相棒

主観:エルバート

俺は主軸世界を中心に、
全ての並行世界での経験を共有している。
…だから幾度も世界の滅亡は経験した。
当然だが動きは共通じゃねえ。
共有してるのは俺という存在の経験だけだ。

別の並行世界から何かが主軸世界に飛ばされるってのはまずない。
大抵、飛ばされるのはアールスなどの超越した者による仕業なんだぜ…俺はやらんぞ。

俺は主軸世界を中心に、
全ての並行世界での経験を共有している

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Cadre小噺:ノルウェアのサイボーグ事情

主観:セラム

支援部隊「ペリドット」のマスターでありながら…
まさか体が故障するとは不測の事態でした。
なぜ故障かって?僕は体の一部が機械化しているからですよ。
僕が元々活動していたノルウェアは、
そうせざるを得ない環境だったんです。
まあざっと説明しますか。

そもそもノルウェアは10年前に発見され、
天然の「モリオン」を採掘できることから
開拓が始まったんです。
僕も開拓の際に過去に所属して

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Cadre小噺:トラブル・トリック

記録:ヒュージ・ファガー

俺とライドの2人は本当にごく普通の一般人。
リュビに所属するまではBエリアでヤンチャしつつも
のうのうと生きていた。

普通の人間にはシャドウの存在を認知できない。
そう、あの時までは。

5年ほど前か。
元々治安の悪いエリアで犯罪が途絶えることはあまりなかった。
でも連続行方不明事件という異例の事件が連日起こっていた。
しかも自警団の人達が主に居なくなる。

なぜか先

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Cadre小噺:夜雨の雀

主観:レイチェル

珍しくエルバートが飲みに誘ってきた。
夜の1時頃にバー「ルクスリア」に行く約束だ。
僕は30分前に来て、
出入り口から一番遠い窓際のテーブル席で
スカイ・ダイビングを飲みながら
窓の外を眺めていたが、酷い雨だった。
でも僕が来る前は降る予兆もなかったんだ。

傘では耐えきれないかなってくらいの激しい雨。
ろくに明かりがないと見えないほどの暗闇。
そんな雨のせいで今の所、お客は僕

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cadre小噺:再生と延命

主観:リア

実験を始めるきっかけは
我が師匠であったテルマさんとスピサさんだった。

20年前にA級捕食系シャドウ「アピアン」と戦っていたが、その際、二人が奴に取り込まれた。

迅速に彼等を救出したかった。
しかし、その頃の私はまだ未熟だったので時間がかかってしまった。

やっとの思いで救出したが、数時間後に体が液状化して黒い液体になってしまった。
気持ち悪い光景だった。
多分ジェームズ君もこん

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