見出し画像

毒親育ちにイヤ~な報せが来ました②

その後の話。


電話攻撃の始まり


母の手術の日もいつも通り過ごし、

「あれ、そういえば今日だったな」と思うくらいだった。

しかし、母の手術が終わったあたりから、

これを好機とばかりに

父からのメール攻撃が始まった。

内容は聞いてもいない手術後の話。

手術はうまくいったようだった。

それならよかったねと一応、安堵した。

これで終わるかと思ったのだが、

メールではなく、電話が始まった・・・

父から何度も何度も着信!

これまでは遠慮がちにメールだったのに、電話。

電話は心理的なストレスがメールとは全く異なる。

今までだって辛うじてメールなら話せたぐらいなのだ。

親のイヤらしいやり方


母の手術は父にとってチャンスだった。

私の親は、問題が起こるたびに見て見ぬふりをする性質。

我が子だろうが、自分に直接関係のない問題は
遠くから景色を見るような傍観者の態度を貫く。


私はそうやって子ども時代から放置された。

しかし、彼らが傍観者じゃなくなる瞬間がある。

それは自分の親(私の祖父母)に関することと、
事故や人の生死にかかわる大事が起こった時。

これを好機とばかりに

何食わぬ顔をして

急に距離を詰めていつも通りに接してきて

何事もなかったことにする。

今回も同じだった。

もう、どうにかなりそう


私は着信画面を見るたびに

どうにかなりそうだった。


電話があるたびに、

「出なければ」という気持ちと、
「絶対に出るな」という気持ちがせめぎ合う。

前者は臆病な弱い私の声。

その声は手ごわい。

必死に宥めて無視する。

毒親育ちでない人は「さっさと縁切りすればいいじゃん」と思うのだろうけれど、

それが簡単ではない。


ついに、決めた


理由は
私の心の弱さ。
こんな状態でも親を思いやってしまう弱さ。
自分よりも他人を優先してしまう弱さ。

しかし、今回ばかりは、
電話攻撃にはっきりと怒りが湧いたのを感じた。

何も解決していないのに

こちらの気持ちを無視して

「大変な時だから」と土足でふみこんで来ようとする。

あわよくば家族の絆を…という思惑に吐き気がする。
(絆は元々ないんだが)

初めて「なんて不躾な!」と怒りが湧いた。

私の中に初めて明確な怒りが湧き、

そして、

「もう直接言わねば!」と初めて決意したのだった。


最後に親と会った日


メールをポチポチ打ち始めた。


最後に帰省したのは、

もう5年前の正月だった。

実家を発つ時、急に食卓に呼ばれ、ちょっとした話し合いをした。

父は腕組して座っていた。

母との関係の話になろうとした時、

母は席を立って
私を見もせずに
吐き捨てるように、ヒステリックに言った。

「もういいわよ!
あなた、そんなに私のことが気に入らないなら
私を捨てなさいよ!」

私はそれに対して何かを言い返したが
覚えていない。

その後、見送りのバス停で

急に母が猫なで声を出して
「あなたがそんな風に思っていたなんて知らなかったわ。
でもあなたの気持ちが知れて良かった」

と言った。


バスの中から手を振りながら

やっと母と分かり合えたような気がして嬉しかったが、

徐々に気持ちが静まり返っていったのを覚えている。

あれ?

何かごまかされたような…?
なんだこれ?




この帰省を機に、
私はそれまでは週に一度していた電話を辞めた。


母の思惑は分かっている。

「親を捨てる」という強いキーワードで
心の弱い私の罪悪感に訴えて
いつものように
私をコントロールしようとした。

しかし、私が何らかの反撃をしたので
(本当に何を言ったのか思い出せない)

やり方を変えて懐柔することにしたのだ。




しかし母の猫なで声では何一つ解決していなかった。

むしろ、キッパリ決めることができた。

あの時、母が言ってくれたように

私は母を捨てることにしたのだ。

「捨てていい」と言ったのは母なのだから。

もう、言葉の裏なんか、思惑なんか
読みとってやる必要はないと思った。

言葉の通り、受け止めさせてもらったぜ。

父へのメール


そんなわけでメールを打った。

内容はこんな内容。

●最後に会った時、母に「母を捨てろ」と言われた
●私に何言っても良いと思ってんのか
●高校時代の大変な時も放置してくれたね
●いつも命令・指示ばかりしてきたね
●家族の絆なんぞ知らん
●最後の帰省後、心療内科にかかった
●もう連絡してこないでくれ
●手術だろうがしらん。帰らん


打ち終わって…

相方に見守られながら

送信。


スマホを握ったまま

私の口からあえぐような音と

目からは大量の水が流れてきた。

人生で何度目かの

慟哭だった。

それから父から返信が来た。


つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?