米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿102
米国株の師匠🍅アウトライヤー様からの寄稿🍅第102回を全文無料で皆さまにお届けします。
第101回から続く
今回第102回の寄稿は、アウトライヤーが2月4日土曜日と2月5日朝にノートした分です。日曜日の寄稿と月曜日の寄稿をお休みさせて頂きますと申しましたが、勢い余って、ついつい書いてしまいました。(笑)次回分は、2月7日火曜日に寄稿させて頂きます。
昨年、寄稿やスペースで、「金利を引き上げている局面で、ベアー・マーケットが終わるというのを、僕の経験では見たことがありません」と述べました。
それに対する反論として、仮定ですが、「それはアウトライヤーのごくわずかな30年ぽっちの経験の中での事であって、今回は違うんだ。これはブルマーケットの始まりだ」というご意見もあるでしょう。CNBCのジム・クレーマー氏は、ブルマーケットの始まりだあと息巻いておられましたから。
もし仮にそうであるならば、僕の場合は、I'll believe it when I see it.それをこの目で確認した時に、そう考えるようにします。僕の中では、それが起これば、初めての事、初めての経験となります。という感じです。
ここ最近の寄稿では、「もちろんチャートもファンダメンタルズも両方大事ですが、今は特にファンダメンタルズ分析に注力する時・ファンダメンタルズにより傾斜して考える時」という事も述べました。
それに対する反論として、仮定ですが「何言ってんだよアウトライヤー。よく見てみろよ、S&P500 インデックス2月2日に、50日線と200日線ゴールデンクロス確認したでしょ。これは、ブルマーケットの始まりなんだ」というご意見もあるでしょう。
僕はチャート分析の専門家ではありませんが、ゴールデンクロスというのは、それを見た後、そうなる(上昇する)”確率が高い”でしょうということであって、そうなった(ゴールデンクロスした)からと言って、”全部が全部”その後上昇するものだとは解釈していません。そうでないこともあるでしょうし」このように考えております。
より具体的にそれについて申しますと。まずは、Barchartさんのツィートをご覧ください。引用~「木曜日(2月2日)のS&P500ゴールデンクロスは(1928年以来)20回しかありませんでした。歴史的にこれらのゴールデンクロスの間、S&P500は260日後に74%の確率でプラスのリターンを生み出し、平均でそのゲインはプラス14.1%でした。」
仮に、74%の確率でプラスのリターンを生み出すことを前提に思考した場合でも、「260日後」は、今後約8.6か月後です。僕が、この寄稿で、述べて来た(第63回~第66回あたりの寄稿をご参照ください)金利を引き上げている局面、切り引き上げが終了してそれを高い水準で維持する局面、金利を引き下げる局面、局面ごとに分けて、それぞれの株価の動きなどについて触れておりますが、Barchartさんのツィートは意味を成しているともちろん現時点で思っておりますので、ここで引用させて頂きました。大変参考になります。僕が述べておりますのは、いずれそういう日が来るだろうけど、まずその前。その前に、この「2月」そして、「3月」「4月」、すなわち、今年、第1四半期、第2四半期、今年前半、見なければならないものを見て、そこからでしょう、という事です。「260日後」は、今年終盤の時期です。
その見なければならないものと僕が考えているのが、Earnings Recession(企業利益のリセッション)というところです。ここに注目しています。2022年第4四半期、2023年第1四半期、2023年第2四半期と業績は悪化して行くものと見ています。この先の業績を見て行った時に、すでに、2023年通年の利益成長率(増益率)、現時点で、ゼロ成長予想。この先、さらに下落方向予想。向こう2四半期くらいについては、ネガティブ領域突入という予想です。
バリュエーション(P/E multiple)というものは、EPS(Earnings per share)(1株当たりの利益)~そのEPS Growth、1株当たりの利益成長に基づいています。
企業利益の減少と共にバリュエーションの縮小がみられるであろう事は、この寄稿やスペースで過去に繰り返し何度も述べてきました通りです。
そして、January Effect(1月効果)とかショートカバーとかではなくて、第101回の寄稿でも述べました、「サイドラインに山積みになって待機している資金(マネー・マーケット・ファンドにあるキャッシュ(現金)」がどう動くのかです。サイドラインに待機したままなのか、株式市場に流入するのか。
2015年11月以来最大のショート・カバー
2月2日木曜日の市場の上げに関しましては、ゴールドマン・サックスのプライム・ブローカー・デスク(ヘッジファンドに包括的にサービスを提供しているデスク)によりますと、2015年11月以来最大のショート・カバーだったという事です。
「あ~、あの時(2月2日)の上げはやはりショート・カバーだったんだなあ。待機している資金の流入ではないのだなあ」と認識しています。
「サイドラインに山積みになって待機している資金(マネー・マーケット・ファンドにあるキャッシュ(現金)」は、Earnings Recession(企業利益のリセッション)というところを十分に意識しているだろうとも考えております。
FRBは明らかにData dependent(データ・ディペンデント~データ重視で金融政策を執る)なわけですから、金曜日の失業率の数字や米ISM非製造業総合景況指数、1月は55.2に上昇-市場予想50.5という数字をみて、あと2回、3月と5月にそれぞれ25ベーシスポイントずつ利上げをするだろうと思います。
そして、引き上げたその金利を、”より長く”高い水準で維持する。(そのまま高い水準に金利を据え置く・維持する事によって、インフレ鈍化に伴って実質金利は一段と景気抑制的になるから~引き締めを維持できる)。
必要によっては、そもそも今年2023年”少なくとも”75ベーシスポイントの利上げが必要というドットプロット(金利予測分布図)なわけですから、”少なくとも”という言葉の解釈を、すごくではなくとも、ある程度、意識しておく必要もあると思います。
*実質金利~見かけの金利(名目金利)から物価変動の影響(予想物価上昇率)を差し引いた金利の事です。実質金利はほぼ「名目金利-期待インフレ率」。 例えば、アメリカで、潜在名目GDP成長率が4%、長期的なインフレ率が2%とすると、潜在実質GDP成長率は4%ー2%=この2%が実質金利という事になります。
まあ、僕の場合は、FRBが言っていることを素直に聞いています。
第101回の寄稿で、ゴードン・ジョンソンさんがシェアしてくださった、
過剰流動性(ブルー) vs. S&P500(オレンジ)とツィートとチャートを引用させて頂いたのですが、その際、過剰流動性の定義について、かつて一度記したのですが、再度、その際記載するのを忘れておりましたので、もう一度引用させて頂きます。
過剰流動性の定義として~(計算式)~M2前年比成長率(%)-(鉱工業生産前年比成長率(%)-コアCPI(消費者物価指数)前年比成長率(%))=過剰流動性
FRBの道筋
ブルームバーグ記事の引用です。
「SF連銀総裁、12月ドットプロットなお有益-「すごい」雇用統計後も」
僕にとっては、いつもヒントを与えてくださるサンフランシスコ連銀のメアリー・デーリー総裁です。
この報道でも述べられておりますが、報道からの引用~「パウエル議長の記者会見した後、米金融当局者でメディアに発言したのはデーリー総裁が最初となった。」
12月ドットプロット(金利予測分布図)につきましては、第58回寄稿をご参照ください。
市場がどう解釈するかは、それはそれとして。FRBの道筋というのは、この第58回寄稿を中心に、過去の寄稿で述べてきたことであると僕は考えています。
それでいきなり、トランプの話になるのですが。週末ですので、僕の勝手な想像で、ちょっと、政治とマーケットを絡めて、想像を語らせてください。(笑)これは、あくまで、僕個人の想像にすぎません。
トランプが大統領だった頃って、ニューヨーク・ダウの3万ドルってすごく意識されていて。何でもかんでも自分の功績で、何でもかんでも自慢する人で、何でもかんでも吹聴する。金利?そんなもん、低ければ低いほど良いよという、あまり訳の分かっていない、彼の口癖や話口調からも、すごく古い時代の人なので、トランプ氏という人は。パウエル議長に文句言いまくってました(笑)。まあ、パウエル議長以外にもそうですが。自分以外には全部ですね。(笑)ごく最近は、トランプ氏自身のソーシャル・メディア、トゥルース・ソーシャルで、さらなる暴動を煽っているのかという事をにおわせるようなコメントさえしていました。ジョージア州はじめ、連邦法や州法に基づく各捜査に神経質になっていることが伺えますが、相も変わらず、びっくりです。
話しを戻しますと。
ザックリ、ポ~ン
たとえば、今日2月4日土曜日、
ニューヨークダウ:33,926ドル
S&P500:4,136ドル
33,926÷4,136=8.2
まあ、たとえばですが。そのアメリカのほとんどの機関投資家のベンチマークであるS&P500の下落を見て行く時に。過去の寄稿で述べましたが、まずは、10月の安値を意識ですよね。そして、そこを下に抜けたら、その下へと、過去の寄稿で4つのシナリオを描いて述べました。
例えばの話、僕であれば「あ~、業績が悪いなあ。これは織り込まれるだろうなあ」とかと思って、じゃあ、ザックリ、ポ~ンと、S&P500 でここから2割下落という事で見ると、3,308ですね。これくらいはまずは、まずはです、見ておかないと、僕は思うわけです。
それで、3,308 x 8.2 =ニューヨークダウ、これだと27,125ドルとかになっちゃうわけです。
僕の見方は1回ここで脇に置いて。バイデン政権。そして最重要閣僚のおひとりイエレン財務長官。僕の勝手な想像にすぎませんが。ボトムラインとして、ダウで見た時の3万ドル割れは、許せない、許さないという”お気持ち”は多分におありになるのではないかなあとは、勝手に僕は想像するわけです。ホワイトハウスもそういう事、相当意識しているではないかなあと。
それでブレーナード副議長。米国家経済会議(NEC)のディーズ委員長の後任として米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード副議長が最有力の候補者として浮上している事も考えるわけです。もちろん、米国民第一で国家のためにお仕事されているわけで、そこに大義があるわけですが、当然株式市場の動向もよく見ておられるでしょうから。
トランプに乗っ取られたカルトの党共和党。財政強硬派と取引して、何を取引したかを明かさない下院議長ケビン・マッカーシーという人。債務上限問題。
民主党が大統領職と上院の過半数を握っています。
そりゃ、自由市場ですから、当たり前ですが、マーケットはオーバーボート(買われ過ぎ)になったり、オーバーシュート(行き過ぎ、出過ぎ)になったりすれば、修正されるわけですし、業績が悪ければ、それは織り込まれて行くわけです。当たり前です。
そして、その当たり前の部分もちょっと脇に置いて、週末ですので、意地とかってゆう部分を、あえてわざと意図的に優先して考えてみた場合について述べています。(笑)
政治家や重要閣僚としての意地という部分ももちろん、国家統治、アメリカ国民のためという観点からそれはもう僕なんかが想像する以上におありになるでしょうし。
QT(量的引き締め)とQE(量的緩和)との融合
こういう意味で下記のような事は大切だと思います。
特に、
「QT(量的引き締め)とQE(量的緩和)とのconflation(合成・融合)」です。
「イエレン議長の力仕事~米国の大規模金融刺激策~イエレンQE(量的緩和)
TGA(Treasury General Account)トレジャリーの一般勘定
アメリカ合衆国国家の当座預金口座
FRBの金融政策(金利の引き上げ・QT(量的引き締め)
QT(量的引き締め)とQE(量的緩和)とのconflation(合成・融合)」
このイエレン財務長官の力仕事 vs. Earnings Recession(企業利益のリセッション)という構図としてでさえ見ているというのが、まあ、僕のホンネですね。
ボトムラインでダウの3万ドルとか、S&Pで言うなら、3,660ドルくらいのところとか、まずは、そのボトルラインとして相当意識はされておられるのかなあ?とは、個人的に想像するわけです。
ここで述べているのは、イエレンさんの力仕事でマーケットを支えるという事を想像しながら申し上げているだけです。とにかく支えるでしょうから。
さはさりながら、実際は、マーケットですから、現実は、また違うでしょうし。これは、マーケットですから。
ここで言っているのは、だからマーケットはこうなりますよと言う事を述べているのでは全くありません。チーム・ソフトランディングの思いのような事、マーケットを支える、壊さない、という事を僕の頭の中で想像しているだけです。マーケットはこれはまた、別です。ここはどうぞ誤解なきようお願い致します。
これは、週末の僕個人の勝手な想像にすぎません。まあ、余談としてです。(笑)
金利の引き締め最終局面が近づいてくると、ソフトランディング(軟着陸)という事は、過去の例を見ても往々にして織り込まれるわけです。僕の記憶では、そうして織り込んで行って本当にソフトランディングになったのは、1994年~1995年のグリーンスパン元FRB議長のマエストロ、妙技のみでした。これにつきましては、過去の寄稿やスペースで述べました。
先日この寄稿で、2007年2月に当時のバーナンキFRB議長が米議会に対して「ソフトランディング、オッケーだよ~ン」と述べておられた、ニューヨークタイムズ紙の報道をその報道時の引用で、その時および翌2008年について触れました。
市場がまだ織り込んでいないところ
僕の焦点は、繰り返しですが、Earnings Recession(企業利益のリセッション)というところです。ここに注目しています。2022年第4四半期、2023年第1四半期、2023年第2四半期と業績は悪化して行くものと見ています。この先の業績を見て行った時に、すでに、2023年通年の利益成長率(増益率)、現時点で、ゼロ成長予想。この先、さらに下落方向予想。向こう2四半期くらいについては、ネガティブ領域突入という予想というところ、市場がまだ織り込んでいないところ。これを織り込むことが先だと思っています。
昨年8月中旬あった2本のロウソク足に類似
Reformed TrAderさんがシェアしてくださったツィートとチャートです。
今回、形成された2本のロウソク足が昨年8月中旬あった2本のロウソク足に類似していますね(何かの示唆ですかね)とおっしゃっておられます。
僕は間違いを認めて、次に進むことを基本としています。間違えたら何度でもやり直します。ここのところ、ずっと心の中で意識してきたことは、昨年8月中旬のところです。ですので、ここで引用を用いさせて頂きました。
クレジット・カードの負債、史上最高額
以前の寄稿で、アメリカのクレジット・カードの負債について述べましたが、
先ほど、2月5日時点で、
アメリカのクレジットカード負債額、$930.6 billion(9,306 億ドル)で、史上最高額に達しているという事です。
今日も、自分にできるわずかな事として、目の前にある事実とデータとやりとりしながら、マーケットを見ております。
第103回へ続く
最後に …
これからもアウトライヤー様からの寄稿🍅を皆さまにお届けするつもりです。
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関連スペース
11月27日 第1回スペース 2時間
12月18日 第2回スペース 2時間20分
12月22日 第3回スペース 12分間
12月24日 第4回スペース 20分間
12月30日 第5回スペース 20分間
2023年1月19日 第6回スペース 8分間
関連note
私、アウトライヤーは、OUTLIER とは関係ありませんが、
OUTLIERは素敵な商品です
OUTLIER 「相乗的にパフォーマンスを高める食品と栄養素を集約。」
🍅🍅
弟子のNEOさんへ
アウトライヤーより。外れ値です。でも異常値ではありません。
笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。
背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。
一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。
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