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SOS

大人って、もっと強いと思っていた。泣かないものだと思っていた。

大人になればきっと強くなるから。涙は飲み込んで隠すことが出来るようになるから。叱責されることは無くなるから。これらの淡い期待が、子供の頃の消えたい私にとっての光だった。

子供の頃の私へ、ごめんね。
あなたの思う、強くて美しい大人にはなれないよ。自殺は何度も失敗するよ。醜形恐怖に苦しむよ。

昔はお金で何でも買えると思っていたけれど、本当に欲しいものはお金で買えないものばかりだった。
たとえば、ハイブランドのバッグでもなくどんな値打ちのある宝石でもなくて、私は自己肯定感と強い心が欲しい。自分の「弱さ」と向き合って受け入れる強さが欲しい。

抗不安薬や安定剤、強い薬で狂う頭を持ち上げ、日常生活を何とかこなす。資格取得の勉強をする。健常者の振りをする。

弱音を吐いたらまた叱責されてトラウマがフラッシュバックするから、無理矢理笑うしかない。

夜は悪夢や浅い眠りに苦しめられる。そのくせ、昼間は容赦の無い睡魔の魔法で眠らされて社会から疎まれる。

そんな薬飲むの辞めたら?もう治ったよね??

無責任なこと言わないでよ、
薬は1日でも断薬すると、日常生活がままならなくなってしまう。ベッドから起き上がれず、自死への衝動に支配されるのだ。

なのに、

「死にたい気持ちはそう簡単に消えないからね、どう向き合っていくか考えよう」

通院先の精神科医の言葉に、力が抜ける。頷くしかない。でも、もう向き合えないよ。これ以上、希死念慮で苦しみたくないよ。何のために薬があるの?何のための病院なの?このまま生きるくらいならいっそ、と何度も嘆いた。それでも、本当に自殺する勇気は無いくせに。もうボロボロ、馬鹿みたいだ。

医療費が嵩むのが怖いから、何よりも親の負った傷をこれ以上抉るようなことはしたくないから。
笑って元気な振りだけは上手くなってしまったんだろうね。助けての悲鳴は、もう届かないって諦めてる。どうにか誤魔化して、傷跡は袖に隠して、笑って生きようね。


何度も何度も、大丈夫って、自分に言い聞かせて、無理して、倒れて、それを繰り返すだけの人生はもう嫌なんだよ。

こんなこと、インターネットの海に書き散らすことじゃないって分かってるけど、吐かせて、

私は


あの頃泣いていた自分を、自分自身の手で報って、嘘の無い笑顔になりたいだけなんだよ。

それが出来ないのなら、これ以上、苦しめるなら。

息が詰まる。

今日も、呼吸が浅い。


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