大嫌いだった「校則」が教えていたこと
高校時代、校則に悩まされた。
禁止だった化粧をして、何度か職員室に連れていかれ、メイク落としシートでごしごし顔をこする羽目になった。
どうして化粧をしちゃいけないのか、髪を染めちゃいけないのか、学校指定のダサい靴下を履かなければいけないのか、理由が分からないから腹が立った。
欧米に行けば髪の色も瞳の色もみんなそれぞれだし、インドの子供はピアスをしているのに、日本の教育機関は生徒の個性を伸ばす気がないのか?と、学生ながらに怒っていた。
それに、メイクをしちゃいけない理由や、髪を染めてはいけない理由を、先生たちは誰も教えてくれない。ダメだ、と言うだけで、どうしてダメなのかを説明する人はいなかった。
なんて理不尽なんだ!!! そう思っていた。
だけど、大人になってやっと分かった気がする。校則とは、まさに「理不尽」を体験させていたのではないだろうか?
社会に出ると、理不尽なことがいくらでもある。
「あなたがこう言ったからこうしたんですけど!」
「それ、仕事の領域を超えています」
「え、なんでそうしなきゃいけないんですか……?」
文句をつらねたいことはいくらでもある。怒られる理由も、やり直す理由も、理不尽極まりないことがいくらでもある。
だけど、その理不尽を受け入れたほうが、「楽」だ。
正しいか正しくないかの問題ではなく、朱に交われば赤くなった方が楽だし、長いモノには巻かれた方が「楽」なのだ。
もし、朱に交わっても青い自分でいたいなら、そうすればいい。決して間違ったことではない。だけど、その道は決して「楽」ではない。
校則も同じで、守るか守らないかは個人の自由。校則はただ存在するだけ。だけど守った方が「楽」だ。
叱られることもないし、余計な疑いをかけられることもないし、評価された生活点が受験にプラスになるかもしれない。たまに授業をサボりたくなって「お腹が痛い」とウソをついても、普段がキチンとしていれば信じてもらえるだろう。だから授業をサボることだってできる。
普段から制服を着崩し、何度も髪の色を注意されている生徒が、「お腹が痛いから次の授業を休みます」と言っても、なかなか信じてもらえない。
髪を染めちゃいけない理由も、化粧をしちゃいけない理由もない。だけどダメなものはダメ。
確かに理不尽だ。じゃあ、理不尽な社会を、君はどう生きる?
校則は、学生にそう問いかけていたのかもしれない。
1つ言えることは、朱の中で青く生きる人はとっても素晴らしい。
もちろん、朱に交わって赤く強く生きる人も素晴らしい。
私はよい塩梅で、自分の生きやすい道を探す。
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