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[PBP日記:01] 氷の穴でピッチするワケ

もい!(Moi!フィンランド語で”ヤァ!”の挨拶)

北の国からこんにちは、ねなしもん 谷 美奈江@PBP です。
今日も、きたる2週間後にフィンランドのオウルという街で開催される、妙なスタートアップ・ピッチ・コンテスト、Polar Bear Pitching (以降PBP)についてお伝えしたいと思います。

見るからに寒そうな上の画像は、2018年度PBPの様子です。昨年は、今年より1ヶ月早い2月の開催で、雪がガンガン降りマイナス12度を下回る中のファイナルでした。なんでこんな寒い中、凍った海に穴を開けてわざわざその中でピッチする、なんてことになったのでしょう?これには3つ、狙いがあります。

1. アイス・ディップは冬の風物詩
2. 簡潔なコミュニケーションは経営者の要件
3. 不屈の精神”SISU”を持った起業家たれ!

1. アイス・ディップは冬の風物詩
日本でも極寒期に水に入ることで健康促進・心身鍛錬って考えかたがありますが、フィンランドでも”免疫が高まる”、"エンドルフィンが放出されて幸福感を得られる”など心身によい効果があるということで、真冬に凍った川や湖にあけた穴に入って泳ぐアイス・ディップをいろんな人に勧められます。

大好きな人・絶対やらない人、フィンランドの人の中でも分かれるようですが、アイス・ディップは紛れもなく冬のフィンランドを代表するエクストリームな文化。これをピッチ・イベントにひと匙加えて、フィンランドらしさを出そうというのがひとつめの狙いです。

2. 簡潔なコミュニケーションは経営者の要件
ふたつめの狙いは、登壇者に簡潔なピッチをしてもらうことです。アイス・ディップをやってみるとわかるのですが、なにせ寒いのでそんなに長く水中にいることができません。

PBPでは、ピッチの制限時間は定められていません。しかし、”アイス・ホールでピッチする”ことによって、平均的に1分30秒から2分30秒くらいの長さになるようです。ちなみに、これまでの最長記録は4分08秒。

つまり、登壇者は寒さ冷たさに耐えられる限界に達するまでの短時間で、ポイントを絞ってアイディアを投資家に訴求する必要があるのです。ピッチを聴いている投資家さんたちのほうも、氷点下の屋外にいるわけですから、あんまり長いのはツラい。

短い時間で、明確に、筋の通ったメッセージを伝える。登壇する起業家の卵たちに、経営者に必須のこのスキルに意識的になってもらうためのアイス・ホール・ピッチングなのです。

3. 不屈の精神”SISU”を持った起業家たれ!
フィンランド語にシス(SISU)という言葉があります。訳が難しいのですが、困難な状況でも諦めずに耐え、乗り越えるための気力とか根性のことを指すそうです。

これまでの常識を打ち破り、イノベーティブなアイディアをビジネスとして立ち上げるには、SISUが必要。そして寒い中、アイス・ホールに入り、水の冷たさにめげずにピッチをやり遂げるにも、SISUで自分を鼓舞し、一歩前に出ることが必要です。

アイス・ホール・ピッチングという奇抜な企画の3つめの狙いには、このPBPへの登壇を通して、自分の限界をもうひと押しし、自分の中にあるSISUの力に出会ってほしい、逆境において強みを発揮するフィンランドのSISUの精神を知ってほしいという願いが込められているのです。

実は、PBPの始まりのストーリーにもSISUのメンタリティが大きく関わっているのですが、それはまた別の投稿にてご紹介したいと思います。

それでは、また。

きーとす へぃっぱ! Kiitos, heippa! (フィンランド語で”ありがとう!またね!”) 

ねなしもん 谷 美奈江 @PBP 拝
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