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日記 1022-1116



10/22 日 

蚤の市で、小さな青い石のついた指輪を買いました。石にはチューリップが描かれていて、指につけると、私の指なんかよりもっと丁重に扱われるべきもののように思えるよ。ふと視界に入るその指輪の姿がうつくしくて、つい見惚れてしまう。


10/24 火

『エターナルサンシャイン』再見。
当時クレメンタインに圧倒的に憧れていたけれど、今見ると、そうでもない。こういうの、時の流れを感じるよね〜。自分の知らなかった/忘れていた一面を引き出されてしまうところ、恋の良いところだと思う。



10/28 土

遅刻だよ、と言われドキリとしたけど、遅刻じゃなかった。すごくお手軽なドッキリ〜



10/29 日

神保町の古本市へ。
人にぶつかってしか歩けないほど大盛況。有名な出版社のワゴンなんて本が見えなかった。日も落ちた頃、おおこれはと思うものがあったので購入。平岡 篤頼さんの「パリその日その日」という本。大学教授のパリでの日々を綴った日記本。ほんとうになんてことのない日々なのだけど、もっと読みたいが止まらない。なんと300円!いい買い物した!


10/31 火

朝から健康診断。水飲まないで行ったら、採血の時に血管が出てこなくて注射ができないと言われた。そんなことってあるのだね。お水を飲ませてもらってしばらくしてから再挑戦した。無事完。

最果タヒを読んでいる。「宇宙以前」の世界が好きで、読んでいる間ずっとふわふわ浮いている。静かでつつましい、この世界ではないどこか。言葉の無限の可能性を考える。「宇宙以前」という概念とその景色が生み出せちゃうのだから。



11/1 水

なんてことのない水曜日、11月がはじまった!一日中眠い。帰宅後ご飯食べたあとハライチのターン聴きながら眠りこけてしまった。夜中の1時に目が覚めて、お風呂に入って、目が覚めたので、最果タヒの続きを読む。空には果てがあり、そこには花畑が広がっていて、その花は星と呼ばれている。なんてなんてうつくしいのでしょうか!これをうつくしいと思える時間には限りがあるように思えて、すこしこわいのだけど、そんなことはないかな。そんなことないといいなあ。



11/5 日

「永遠のローマ展」へ行ってきた。
狼に育てられた2人の子供というなんともショッキングな神話をモチーフにした彫刻があった。その奥には王家の人びとの胸像が置いてある。右も左も真っ白な顔、顔。笑顔はなくて、なにか大きな、遠くのものを見ているみたい。その顔たちに気圧されながらエスカレーターを上がったら、ヴィーナスがいた。ローマの噴水にいるヴィーナス。大きなお国の政治やら宗教やら、とてつもなく大きくて厳しいものを見たあとだったので、その姿を見たら、柔らかく溶けてしまった。あたたかくて、肌はほわほわしてそうで、なだらかな曲線と癒しの微笑。女神、圧倒的に女神!



11/6 月

遠くの、どこかの部屋でこの曲をつくっている女の子たちを思うと、なぜか勇気が湧いてくる。密やかに詞を書いて、音をつくって、私の元まで届いている。夜、小さな部屋で一人で聴いて、一人じゃないと思える、素敵な時間よ。


11/7 火

ゴジラの映画が大盛況らしい。
私は頭の中が混雑してくると、何故か飲みさしのグラスやら食べ残しがある皿やら、とにかく物がたくさん乗ったテーブルが頭の中に浮かんでくる。それで、うわ〜もうわかんないでーすとなると、そのテーブルの上に乗っている物たちをざーっと払い落とす。ひとつ残らず。そうすると頭の中がスッキリして、落ち着いてものを考えられるようになる。全部頭の中の出来事なので、後片付けもないし、誰に怒られる訳でもない。それが何か根本的な解決になっているかというとそうでもないのだけど、一旦全部ゼロにしたくなる気持ってあると思う。ゴジラはざーっと街と社会を破壊して一掃する。どこに向けたらいいのかわからない怒りや混乱ややるせなさを一手に引き受けてゼロにしてくれる(ような気がする)。だからゴジラは、私ができないことを代わりにやってくれる私自身で、逆に言えば私の中にもゴジラがいる。

ただぼんやりと思った極私的ゴジラ論



11/8 水

ネットで買った少し大きいパンプスを履いて家を出てしまった。歩くたび一歩分のストレスが溜まってゆき、本日は6295歩分溜まった。もうネットでは靴買わないようにしよう〜

「ファントムスレッド」という映画を見た。2人の愛は彼がつくるドレスに似ている。夢と現をつなぐものだったから。現実にある欠陥や綻びをうつくしいもので埋めるみたいにして毒と愛が巡っていった。


11/14 木

寒い、ストーブをつけ始めたし、お気に入りの紺のコートを着始めた。今日は好きなものを好きなだけ、という日だった。本読んで、アイドル見て、映画。「月の輝く夜に」シェールとニコラスケイジの色気がすごい。ヒロイン、ワインを飲みながら、暖炉の前で明日のデートで身に纏うキラキラしたものたちを眺めていて、私はその姿をずっと眺めていたかった。そういう動画とか、ないかな、あったら見たいな。



11/16 木

コッペパンはセブンよりファミマの方が美味しいことに気づいた木曜日。

「いちばんすきな花」いいな〜、いいな〜。心底優しくて、正直な人。そしてとてもよわい人だから、ただ去っていく2人の背を見ることしかできないのだよね。善と偽善の間にいるどっちつかずの自分。そもそもそれは真か偽か、なんて考えなくていいのよ、と隣のゆくえさん。晴れやかで救われる。そして今回も、椿さん椿さん椿さん!!!


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