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SDGs×ビジネス(65):IPCC 6th Assessment WG1 SPM

みなさんこんにちは!

私はエネルギー企業で事業開発をする中で、エネルギー×SDGs×ブランディングについて考えています。

このnoteは、読んでいただく読者の皆様と共に学び、知識の整理と共有を目的に継続していきます。

詳しいプロフィールはこちらをご覧ください!!

今回から昨今ニュースでも取り上げられている、IPCCの6次報告書(WG1)について学んでいきたいと思います。現時点で何回になるかわからないシリーズものです笑


IPCCとは

これについては、以前私のnoteで取り上げたことがありますので、そちらを参照いただければと思います。

▼すごく要約すると▼

・世界のすごい科学者たちが
・たくさんの科学的な知見(研究結果)を積み重ねて
・世界中からの多くのレビューを受け完成させた
・気候変動に関するすごく大切な科学的な研究結果

といったところでしょうか。


動画紹介

IPCCの報告書の執筆には、世界中から多くの研究者・科学者が関わっています。日本からも多くの方が執筆に参加しています。そのうちの一人、国立環境研究所の江守正多さんが、youtubeにて今回の報告書についての解説動画を上げられています。執筆者の一人としての解説は非常にわかりやすく、また勉強になるものでしたので、ぜひご覧いただければと思います。

40分弱の動画ですが、押さえるべきポイントを網羅されており、必要なポイントはこれで十分抑えられるかと思います。私のnoteでは、より噛み砕きよりわかりやすく、そして現在の日本のエネルギー政策と当てはめて考えていくこととします。


気候変動の現状

今回注目されている項目の一つに「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」という表現があります。5次評価報告書においては、「人間による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い。」と表現されており、不確定が織り込まれていました。

ところが、6次報告書では”疑う余地がない”と断定する形となりました。従来、人間活動によるものだと断定することのなかったIPCCが、人間活動により温暖化させてきたと断定したことは大きなインパクトを与えました。

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上のグラフは世界の平均気温変化を表しており、実際の観測された気温変化が黒色で、人為的要因と自然要因を加味してシミュレーションしたものがクリーム色で、自然要因のみが緑色で示されています。図からわかることとして、人為的要因によって現在起きている平均気温の上昇が説明がつくということです。

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こちらのグラフは西暦1年から2020年までの世界平均気温の変化を示しています。1850年以前については推定値、1850年以降については観測値となっており、ここ数十年の平均気温の上昇が異常=前例のない状態であることが分かります。


将来への影響

将来への気候変動の影響の検討については、以下の5つのケースが検討されています。グラフで示されているのは世界における二酸化炭素の排出量で、上記の動画に倣い上から、非常に高い(SSP5-8.5)、高い(SSP3-7.0)、中間(SSP2-4.5)、低い(1-2.6)、非常に低い(SSP1-1.9)とします。

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非常に低いについては、2055〜2060年にかけて世界全体で二酸化炭素の排出をゼロに、さらにはネガティブエミッションの状態にするシナリオであり、世界全体の脱炭素を急激に加速させなければ到底達成し得ないものです。低いについては2070年代後半にはネガティブエミッションに突入となっており、世界全体の脱炭素の目標を積み重ねても、世界の現状はオレンジで示される中間くらいのシナリオになっていると江守さんは指摘します。

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次のグラフは1850-1900年(工業化以前)の平均気温と比較した世界の平均気温上昇を示しています。上記のいずれのシナリオでも2040年ごろには1.5度の気温上昇が起こりうることを示しています。


1.5℃特別報告書の存在

IPCCは5〜8年に一度、評価報告書を作成・公表していますが、これの他に臨時で作成するものとして特別報告書と呼ばれるものがあります。最近有名なものとして、2018年に発表されたIPCC1.5℃特別報告書が挙げられます。

IPCC1.5℃特別報告書では以下の報告がなされました。
・気候変動問題を抑えるためにはパリ協定で言われる2℃では不十分で1.5℃の気温上昇に抑える必要があること
2030年〜2050年にかけて平均気温上昇が1.5℃に到達する可能性が高いこと
・温暖化を1.5℃に抑制するには2050年頃の二酸化炭素排出量実質0が求められること

これも各国がカーボンニュートラルの目標を2050年と掲げている理由の一つになりますが、今回の6次報告書を受け対策の加速が必須と言えます。

次回は、日本のカーボンニュートラルに向けた戦略と今回のIPCC 6thから、考えられる変化について書いていきます。


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