SDGs×ビジネス(62)：エネルギー白書①「カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組」「国内エネルギー動向」

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今回は、エネルギー白書2021を読んでいきます！

エネルギー白書2021

エネルギー白書｜資源エネルギー庁

今回は、エネルギー白書から「カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組」「国内エネルギー動向」を見ていきます。

カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組

日本、EU、英国、米国、中国など多くの国は、カーボンニュートラルを表明しており、達成時期に違いはあれど、世界は間違いなくカーボンニュートラルに向かっています。

日本のカーボンニュートラルについて考えた時、まず電力について考えると、二酸化炭素排出量の大半を占めるのは火力発電によるものです。電力部門で見れば、この火力発電による二酸化炭素の排出量をどう削減するかということになります。

一つとしては、風力発電など再生可能エネルギーなどの積極的導入が解決策としてあげられますが、その安定化のためにも火力発電の役割が挙げられるので難しいところです。

国内エネルギー動向

日本の長期の流れとして、1970年代の石油危機以降、省エネルギー化の流れを受けつつも、経済成長を果たしてきました。また、省エネ化を推進した要因には東日本大震災以降の節電意識などもあげられるでしょう。以下の図においては、特に、産業部門においては2019年度における最終エネルギー消費が1973年比で0.8倍となりつつも、GDPは成長を見せていることがわかります。

また、日本における一次エネルギー供給と最終エネルギー消費は以下のようなバランスとなっています。注目すべきは、国内供給19,124に対して、最終消費12,942であることです。本文でも触れられていますが、発電ロス、輸送ロス、一部発電・転換部門の自家消費により6,182が消費されています。これは投入量に対し約3割が最終消費に繋がらない形でロス・あるいは消費されており、このロスを減らすことが今後の日本における課題の一つと言えます。

一次エネルギー国内供給については、石油・石炭が長らく大部分を支えています。1980年代以降、導入が拡大した原子力については東日本震災を契機に稼働が停止し、再稼働しているものもある一方で、大部分は停止したままとなっています。近年は再エネ・水力が存在感を増してきていますが、とは言え全体の1割程度とまだまだ主力電源とは言えない状況です。

日本のエネルギー自給率は2000年代は20%前後だったところ、東日本大震災を受け輸入比率が高まり、6%前後まで落ち込んだものの、現在は原子力発電の再稼働や再エネの導入により12%程度まで増えています。

安全保障の観点では、エネルギー自給率は重要な指標となってくるため、輸入に依存しているエネルギーについて自給率をどう考えていくのか、再エネ導入は候補として上がってくると考えられますが、一方でエネルギーの安定化はどう保証するのか、様々な検討が必要そうです。

エネルギー基本計画(素案)の概要

2021年7月21日に資源エネルギー庁より、エネルギー基本計画(素案)が公表されました。以下から原文を確認いただけます。

タイトル未設定

その中で2030年の電源構成として、再エネ36%~38%導入が掲げられています。過去の電源構成については上記で見たような変遷をたどってきているので、既存の延長線にてこの目標に到達することが到底不可能であることがわかります。再エネを主力電源と位置づけ最大限の導入を行うため、地域と共生する形での適地確保や事業規律の強化、系統規律の克服や技術開発の推進を掲げています。

重要なことは、日本政府が野心的な目標を示した中で、官民一体となりこの目標の達成、さらには気候変動問題に立ち向かうことだと思います。SDGsを思い出せば、地球上誰一人取り残さない、言い換えれば全員が一丸となって立ち向かうべき問題であり、達成すべきゴールです。

政府の目標が実現可能か不可能かの議論も重要でしょうが、むしろどうしたらこの野心的な目標を達成できるか、これを考えることが重要かと思います。