見出し画像

うちのねこ「スズ」

わたしが初めて猫を飼うきっかけになった猫。
2018年、我が家にやってきた。
齢5歳にして最強で最高を更新し続けている。


わたしか務める動物病院にとても可愛らしいお姉さんが猫を連れてやってきた。
「お庭で餌をあげている子なんですが、飲食店をやっておりまして家の中で飼ってあげることができないんです。でも避妊手術だけはしてあげないと増えちゃうと思いまして…」

ああ!ええ!!
なんて可愛いお姉さんなんだろう!!!

わたしの頭はそれでいっぱいだった。


翌日に避妊手術の予約を入れたが、1度外に出してしまうと捕まえられないかもしれないとのことで1泊預かることになった。可愛いお姉さんから預かったその猫は、心の底から人間不信の目をしていた。触ろうとすれば大声で鳴いて暴れ、小さい体が診察室の中で飛び回った。働いているとよくある事だが飼い猫でない野良猫は人間に慣れていないのでまるで小さい怪獣のようだ。


やっとのことで犬舎に入れて、タオルの隙間から覗くその子の顔を見た時わたしは一目惚れしてしまった。


確か、可愛いお姉さんは避妊手術をしたら外に戻すと言っていた。飼われる予定はない。でもどうだろう。一欠片も触ることを許してくれないこの子は、果たして人間に飼われることを望んでいるだろうか。


わたしは悶々と考えながらその日は仕事を終え帰路に着いたのだった。


8畳1K、ペット不可、家賃3万7千円の自宅である。ぐるりと部屋を見渡しても、この部屋に猫が居る想像ができなかった。そしてその時わたしは25歳で、世に溢れている「独身の女が猫を飼うと婚期が遅れる」という都市伝説的なよくある話を信じていたのだ。


そうして次の日出勤したわたしは、なかば諦めに近いような、現実的でない「猫を飼う」という選択を選べないでいた。無事に避妊手術を終え、夕方に迎えにやってきた可愛いお姉さんにわたしは、

「この子、わたしが引き取ってもいいですか?」

と言った。



可愛いお姉さんは驚いたようでそれでいて嬉しそうに「えっ!いいんですか?!」と、とびきりの笑顔でわたしの手を両手でとった。あまりに可愛かったので目がチカチカした。その後「この子、すごく可愛い(猫)のにお家に入れてあげられなくて…でもほっとけなくて…」とお姉さんはわたしに話しかけていたが、その時わたしはすごくドキドキしていてそれどころではなかった。可愛いお姉さんにではない。


わたしは今日この子と家に帰るんだ。この後も仕事あるしどんな気持ちで働けばいいんだ。何が必要なんだろう。というかペット不可だ。

わたしの家はペット不可だった!!!!!!



仕事の帰りに2段ゲージや、トイレ、猫砂、フード皿やちゅーる、猫じゃらしなど一通り買い漁った。その間その子はキャリーに大人しく収まってわたしの車で待っていた。

わたしのドキドキはおさまることはなかった。


大荷物と、猫とわたしは自宅に帰ってきた。

初めて家に来た日、2段ゲージの上の段で怖がっているスズ


直ぐにキャリーをあけてその子を部屋にはなした。その子は低い姿勢のままスローモーションで部屋の中をウロウロしている。その間にわたしは2段ゲージを組みたて、一息ついてからその子の動きをしばらく眺めていたけれど、まだ実感がなかった。これからどうしようとか、色んなことを考えなくちゃいけないのに、何も考えられなかった。


だけどただ一つだけ思考し、
わたしはその子に

「スズ」

と名前をつけた。


理由は「スズ」という名前がただ可愛くて好きだったからという安直で特にエピソードもないものだ。きっといつか自分に子供が出来たら同じ名前をつけたいと思っていた。

少しだけ家に慣れてきたスズ




スズはしばらくの間わたしに近づくことは無かった。私も近づかなかった。お互い一定の距離からお互いのことを見ているような感じだった。でもご飯をもりもり食べてくれたし、トイレで排泄してくれた。少しずつだが慣れてくれたようだった。わたしはずっとドキドキしていた。

鋭い眼差しで私を見下ろすスズ
呆れてこちらを見ているスズ
テレビの裏からスズ




ここで問題が発生する。
わたしの家はペット不可だった!!!!!!!


管理会社から電話が来て、
「見回りで回っている時、ネコチャン?がお部屋の窓から見えまして…」
わたしは謝りに謝り、その電話で退去することになった。おいおいペット可の所に引っ越す予定だったので特に焦りはしなかったが、出来ることならバレる前に引越してしまいたかった。非常識で申し訳ない。もうしないので許してください。

ブサイクなスズ




スズが我が家にやってきてからバタバタと考えたり動いたりしていてそれどころではなかったのよ!と自分勝手に逆ギレしてみたりしたけど一瞬で我に返り規則を守らない己が100%悪いという至極当たり前な結論を出し、3年ほど住んだその家を出た。


次の家は2LDKでペット可である。
わたしは新天地で始まるスズとの生活に気を取られてワクワクしていた。多分少し地面から浮いていたような気がする。

キャットタワーに体をねじこむスズ



現在、齢5歳になったスズは相変わらず大きな音や頭を撫でられることを嫌がるような敏感な子で、初対面の人には姿を見せず、打ち解けるまで時間がかかる猫となった。抱っこを嫌い、持ち上げると暴れる。すぐに怒るし、でも放っておくと構ってよと擦り寄ってくる。


まるで高飛車ツインテールお嬢様みたい!!

⌒(´❛-❛`)⌒!!!

猫トイレの上のスズ




そんなツンデレガールスズは、わたしにとって世界一の相棒になったのでした。

盛れてるスズ





最後まで読んで頂きありがとうございます。
我が家にはあとふたり猫がいます。
その子たちのお話もいつか残したいと思っておりますので、気が向いたら覗いて頂けたらと思います。



またいつか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?