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ツッコミ待ちのベトナム百景

2020年2月にはじまり、いよいよ年をまたいだ『日本にいないエッセイストクラブ』。世界各地の物書きたちでお送りしておりますが、こんなに世界をまたぎづらい世の中になるなんてね。ヴァーチャル旅行感でも出れば。5周目のテーマは「思い出の写真」。これまでの記事はマガジンから、どうぞ!

関西人、とくに大阪人、もっと言えばボケ役とツッコミ役なら後者に回る!って人ならば、ベトナムの暮らしは最高に楽しいんじゃないだろうか。そのへんにボケが転がり倒している国で、少なくとも現地で自分と馬の合う人はそのへんは共有してた。そして書いてて思い出す、6年前にウェブ記事の賞の受賞式で、「ベトナムは最高のボケ役です」とかドンピシャストライクなことを言ってたわ、俺。場の空気と合ってなくて、滑ってた気がするけど。

「思い出の写真」という今回のお題にあたって過去の写真を見直していて、そんな自分がかつて壇上で口にした言葉を再び頭に浮かべていた。ベトナムでの思い出って、記事を書き続けた思い出でもあって、それはベトナムという国で繰り出されるヘンなものー、『ボケ』を撮り続けた思い出だとも言えるんだよな。そんな、ベトナムのナイスボケたちを紹介したいと思います。

おもしろ!と感情が動いたときに撮った一枚だから、どれもよく覚えてる。

最後に多少まとまった文はあるけど、エッセイというよりちょっと紙芝居的になりそうだ。というより、なったあとでここ書いてる。今回は写真がテーマなので大目に見てほしい。それと、さっきからボケだ~ボケだ~と言ってますがもちろんベトナムでは日常です。そして日本の日常もまたベトナム人から見るとときにボケなのです。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ…違うな。ま、だから世界ってお互いにおもしろいんだよね。

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長距離バスにて。深夜になるとほぼ例外なく目にヤバイ照明に変わる。

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古都ホイアンになぜか流れ着いた選挙ポスター(新宿区区議会議員)

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某大手日系チェーンが生み出した大阪の名を冠する炭水化物モンスター。
「でも実際、大阪って炭水化物ばっかですよね」という気付きを与えた。

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実在する大洗の宿のタオルを、なぜかリゾートアパートで発見。
きっとmade in vietnamの検品漏れなのだろう。

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Grab(アジア版Uber)たちの間でなぜか流行ったタケコプター、向かい風でグルグル回る。

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路上に落ちてたレントゲン写真という名の個人情報。病院近いからそりゃ落とすよね~ってならへんわ、でも納得しちゃうのがベトナムの魅力。

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力まかせな日本感。

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進撃のジェイソン・ステイサム(2体)、たぶんデパートの屋外広告。

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美人公安カレンダー。こういうのメルカリで意外と高値で売れそう。

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ベトナム中部にあったチャンパ王国(西暦192年~1832年)のゆるキャラ。
ベトナムが生み出したキャラクターの中で一番かわいいと思ってる。

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野生の国民食・フォー。食べ残しの回収待ちと思われる。

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犬にやたらと寛容なベトナムのコンクリート打ち。

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8時台に閉まってた宿泊中のホテルのシャッター。
ベトナム生活で一番怒った。

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お箸かんぬき。ふつうに感心。

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LEGOみたいな肉まんサンプル

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あとは、ボケてないけど、個人的に「ベトナムを象徴してるなぁ」って感じの写真も紹介。

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カフェの天井に上がり切ってどうしようもない風船。上がるのはしょうがないし、簡単に回収もできないんだけど、いろんな「スルー」が積み重なってこうなっているんだろうという想像の上でベトナムっぽい場面だと思った。

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輸送費が折り重なって800円まで登り詰めたバーモンドカレー。

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時代の変化を感じた、社会主義国ベトナムでLGBTパレード。
まぁGrabかどっかの民間企業がスポンサードしてんだけどね。

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Grabの運転手、密集するので誰が手配先か分からん。たまに騙される。

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ゴミはくずかごではなく床へポイ。これも常識でなくなりつつあり切ない。

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早朝、海の街に到着してまず目に飛び込んだもの。でも淡水魚。

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グローバル企業のノベルティチョイスから分かるお国の文化。
日本はミニフィギュア出してたしね(あれ、ペプシだっけ…?)

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飲食店で「食い物おくれ」とせがむお掃除役を兼ねた子猫。よくいる。

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スーパーで丼もの発見。ベトナムでぶっかけ飯は平皿が主流なので、日本or韓国の食文化の流入を猛烈に感じる(盛りやすかっただけかもしれんが)。

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ベトナム雑貨のかわいさの原点を担っているグラス。

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サイバイマンの自爆を受けた犬(放熱中)。

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ベトナムの薬局はあなたに合わせたお薬をその場でカスタム。

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ベトナムのインスタントうどん。どん兵衛の質感に近くてうまくて、日本人が備蓄しているローカル食品No.1だと思う。カレー味はここ1年半で出た。

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少数民族の服に飾り付けられた硬貨。貨幣ではなく飾りになるあたり、貨幣経済圏と距離があったのか、またはそれ以上に服飾の価値が高かったのか。

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ハノイのノイバイ空港にあるベトナム式高級カプセルホテル。

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なんだかとりとめもない、エッセイというより写真紹介になっているので、あえて一枚に絞ったときの「思い出の写真」も選んでおきたいと思います。

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これ。百パーこれ。

ベトナムにいた頃から私を知ってる人には説明不要だと思うけど、ブログで「ドリアンの皮を装備する」という企画をしたときの一枚です。ベトナムでふざけたことをたくさんやってきたけど、これがなにより当たったやつで、ベトナムの有名Facebookページでも紹介されて、日系メディアでも紹介されて、最終的にはYahoo!JAPANのトップにまで登り詰めて(?)しまった。

これが自他ともに大きなインパクトを与えたのか、後に心境とスタンスの変化に対して後ろ髪を引っ張りつづけることになることはまた別の話。そんな酸いも甘いもはらんでるという意味で、思い出の写真と呼ぶにふさわしい。

それと写真としてもすごく気に入っていて、シンプルに、構図とみんなの笑顔がいいよね。俺も楽しんで、みんなも楽しんでる、自分で言うこっちゃないんだけど、ふざけたことでベトナムの人たちに楽しんでもらいたいよ!感がすごく出ているので。誰かが「宗教画みたい」と言ってて、その分からないようで分かる絶妙なたとえに感服した。あれ、誰が言ってたんだっけな。

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前回走者のベルリン酒場探検隊(久保田隊員)さんの記事はこちら。

ドイツの大工には修業の旅に出る人たちがいて、そんな彼らが月に一度集まるという酒場での話。大工の衣装が日本のそれとかけ離れていて驚いた、別に似る理由もないのだが。

調べるとこの修業制度、「5ユーロしか持って行けない」「スマホもNG」とあり、「これもう山伏やないか!」と思った。いや、もう少ししっくる来るものがあった、武者修行だ。放浪でも、修業であって自由人ではない点も。

ドイツと日本、勤勉さや、ルールを守るところが似てるとか、聞いたことがあるけれど、意外とそういった国民性はこうした伝統や風習に由来するのかもしれない。そうした目に見えるものと国民性のつながりはワクワクする。

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さて、次回走者はイタリアからすずきけいさんです。
そんなすずきさんの前回お題「お腹が空く話」の記事はこちら。

うん、まったくもって超絶お腹が空く話だった。

トウモロコシの粉を火にかけながら練って、お粥のように仕上げたもの。穀物の粉っぽい独特の匂いがあるが、ゆるめの餅のようなふわふわした食感で、食べているうちにハマる。

とくにポレンタというこれ(↑)、めっちゃ食べたい。写真の見た目がマッシュポテトぽかったから一生懸命そいつをベースに想像したが、料理はやはり食べないと分からない。そういえば、ベトナムにも似たような表現が使えそうな料理があるな。「日本食ではたとえられない食べ物」ってあるよね。

あとフェガテッリという料理、

昔は家畜をしめても、美味しい精肉は地主や神父に納めなければいけなかったらしい。庶民の分け前は残った内臓で、それでも美味しく食べようと知恵を絞って生まれた料理なのだとか

余った内臓をどうこうします、という料理ってけっこうどの国でも見る気がする。シンガポールorマレーシアのフィッシュヘッドカレー然り、ブラジルのフェイジョアーダ然り、日本のホルモン然り。ベトナムの米粉麺もB級米の工夫だよな…。グルメでもなんでも、発明の影には逆境があるんだろう。


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