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記事一覧

風のなかで

風のなかで

2人並んだ窓辺から差し込む
午後の陽の光を優しく受けながら

空が覗いた君の瞳が輝いた
あの夏も ただただ忘れてしまう日は

風のなかで思い出して
2人だけの秘密のメロディ
歌うように流れてゆく
愛ならここにあるから

人は透明な哀しみを抱える旅人ね
いつでも 笑顔あふれる今日も

雨の日なら木々の恵み
涙なら君への気持ちで
そばになんていれなくても
いつでも想っているよ

「哀しみは涙に溶けてゆ

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死にたい

死にたい

ああ「死にたい」
そんなこと久々に思った
全部放り投げたい
消えたい
そんなこと

胸のもやもやが晴れない
身体が重い

ああ「死にたい」
そんなこともう思いたくない
だけどやってくるのだ
いつから?
いつからか

嫌ないらいらが抜けない
頭が怠い

人間はなぜこんなことを思う?
もっと溌剌と 健康に
誰かのために生きてみたい
でも無理そう 今のわたし
まどろみの中で溶けたい
心を失くしたい
そん

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安心

安心

君と連絡が取れてよかった
君が自分にとってどれほどに大切な人なのかが
改めてわかったよ
本当によかった

(2024.5.19)

未読

未読

君からの既読がつかないと
僕はそわそわしてしまう
何かあったかな
何かしてしまったかな
不安になる

何もなければいいのだけれど

君からの既読がつかないと
僕はわたわたしてしまう
どうかしたのかな
大ごとじゃないといいな
心配だよ

どうもなければいいのだけれど

明日になればきっと
既読がつくだろう
そんなことを考えて
寝てしまおうとするのだけれど
心が不安定で
眠るのも億劫だ

君からの既読

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病気になってなかったら

病気になってなかったら

病気になってなかったら
できたこともいっぱい
両手では足りないくらい
哀しいことだと思う

病気になってなかったら
病気になってなかったら

病気になってなかったら
やれたこともいっぱい
両足でも足りないくらい
哀しいことだと思う

病気になってなかったら
病気になってなかったら

でも

病気になってなかったら
出会えなかったこともいっぱい
全身では足りないくらい
嬉しいことだと思う

病気にな

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君は誰より美しい

君は誰より美しい

ひと気のない海のさざめきと
ふとした瞳の輝きが告げる

「どこにも行かないでいて」
カーラジオから流れる
スローなバラード聴きながら
泣けてしまうね

誰より愛おしい君よ うつむかないで
(ダーリン ダーリン)
抱き寄せてもいいかな
浜辺に響くクラクション
どうして 言葉は陽炎なんだろう
でも もういいや 心配しないで
君は誰より美しい

髪をほどく君のその仕草
幸福よりやけに色づいて

「哀しさ

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ヘドロ

ヘドロ

吐き出してくれ
ぜんぶ
お前の中の臓物を
すべて掬い上げるから

抱きしめてくれ
俺を
お前の中で果てるまで
すべて喰らい尽くすから

お前の醜い面を
搾り取るように愛してやる
形而上学はもはや関係がない
肉欲に塗れて絶えたい

剥き出してくれ
弱み
お前の内の悪癖を
すべて救い上げるから

お前の激しい嘘を
絡めとるように愛してやる
形而下学ももはや価値を持たない
愛欲に悶えて絶えたい

意味不

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恋愛観

恋愛観

わたしにとって 恋は魚
そして鱗
罪の匂いのする果実

わたしにとって 愛は不思議
そして無償
闇の気配のする魔術

村上春樹さんの小説
たくさん読むのもそのせいだよ

わたしにとって 観は自在
そして自由
軽い気持ちのする魔法

桜井和寿さんの音楽
たくさん聴くのもそのせいだよ

君に恋してる
君を愛してる
ぜんぶ本当だよ
きっと
ぜったい
たぶん
おそらく
遠回りして真実を見つける
生まれた時

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大丈夫

大丈夫

光 影 闇
いつか 僕ら きっと

「どうすればいい?」
「ねえ」

大丈夫
君の理想も 愛も鼓動も
彼が守っている
大丈夫
侮らないで いつも希望を忘れないで

左 右 前
うしろ どこか ずっと

「こうしてもいい?」
「ねえ」

大丈夫
君の理想は 愛や鼓動で
彼が守っている
大丈夫
見くびらないで いつも自由を失くさないで

「生きててもいい?」
「ここにいていい?」
「ねえ」

大丈夫

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香水

香水

君の部屋の窓 湿らせてる息
なぞる指先も 揺れる水滴も

事の成り行きと 誰かの時効と
愛しているよ、と そんなところだね

想いはなくても 気持ちはなくても 二人はそばにいて
楽しくなくても 苦しくなくても それでよかったね

いつものように街をぶらぶら 歩けば知らない人に会って
「どうぞ」もなにも言いやしないが いつしか二人は惹かれあってる

洗面器具なら横にあって 鏡の裏には壁があって
灯り

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いつの日も夢を

いつの日も夢を

飴色の夢を
淡色の時を
いつも歌って
哀しいことばかりじゃないから

はしゃぐような街に
夕暮れの街に
ほら歌って
楽しいことばかりじゃないけど

歩き疲れて眠りかけた君が
瞳に浮かべた悲しみの合図を隠せるわけじゃないけど…

いつの日も夢を
ありきたりでもいいよ
愛し方は人それぞれでかまわない
わかるでしょ?
赤茶けた街が優しさをくれたら
それはもう 笑顔の合図
いつの日にも夢を

何も持たずに

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She goes down

She goes down

都会の隅で忘れ去られてゆく
She goes down
時代の奥で掻き消されてゆく
She goes down

この先どこにも、行けやしないことなんて知っていて、知っていて
どの道どこにも、行けやしないことだって知っていて、ちゃんと、知っているけど

惰性に焼かれて枯れたその声も
誰かが囁く卑猥なあのジョークも
噂も悪意も愛したげるからさ
深層の深層を見せておくれよ

だけど、She goes

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洞穴

洞穴

想像した以上に
洞穴だろう?
真っ暗闇で
摩擦もない

想像した以上に
洞穴だろう?
真っ逆さまで
摩滅もない

洞穴だろう?
洞穴だろう?
洞穴だろう?

想像した以上に
洞穴だろう?
のっぴきならない
仲間じゃない

洞穴だろう?
洞穴だろう?
洞穴だろう?

死ぬわけじゃないよ
おどかすだけさ
さあ おいでよ
君もおいでよ

洞穴
洞穴
洞穴

(2024.5.15)

貝

Artwork by @anssgenie.vision

 わたしは貝。歪んだ、聡明な。あなたのことを想っている。いつも、いつも。深い海の中で。

 わたしの表情が揺らぐとき、わたしはあなたの貝。あなたが貝のことをどう思っているのかは、興味はあるけれど関係がない。わたしが貝であることと、あなたがあなたであることは関係がない。いや、関係はある。でも、それでも。

 わたしは貝。塞いだ、拓いた。あ

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