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ドローンと「速度」とデザインと。

「"速度"がテーマです。」デザインの先生が言った。私たちの身の回りに溢れる「速度」を拾って、デザイン思考の"問題定義"からデザインでアプローチすることができるかどうか。それが今回の提出課題だそうだ。

言葉って不思議だ。「"速度"がテーマです。」みんなこの大枠をどんな風に捉えるんだろうか。

今わたしは大人になってもう一度学生をしている。久しぶりの学校生活はなんだかとっても新鮮。1分1秒に追われる毎日を過ごしていた約1年ほど前。目覚めたら急いで支度をして、満員電車に揺られ、眠い目をこすりながらデスクに着く。気がついたら1日はあっという間に過ぎていて、定時なんて関係ないという感じで終電が目の前に迫る。家につけば、とりあえずある食べ物を少し口に運んで気づいたら眠っている、そんな日々を過ごしていた。

前職ではそんな毎日を過ごしつつも、仕事の内容にはやりがいもあり、走り続ける自分の足を止めれずにいた。立ち止まることが怖かったのかもしれない。

それでも限界というものがあって、仕事でもプライベートでもいっぱいいっぱいになった時期に「もう全部手放そう!」と振り切ることに決めた。

そして約1年前、8年続けていた仕事を辞めて2年間の職業訓練でwebデザインを学ぶことになった。この頃の話はエピソードも色々あるのだけれどまた後日記述したいと思う。

そんなこんなで学生生活1年が過ぎ、2年生になった今、授業の課題提出が"note"という指定があり、それがきっかけで書くことになったのだけど、文章を書くことは好きなので何気に楽しんでいる。

さて、話は戻ってこの記事のテーマである、ドローン。

話はぶっ飛ぶが、今学生をしながら約2ヶ月前からプロドローンレースチームのバックオフィスをしている。日本初のプロドローンレースチームとして2018年に発足したRAIDEN RACINGというチームだ。

ドローンレースというのは、世間にどれだけ浸透しているのだろうか。
"ドローン"はなんとなく「無人で空飛ぶ小型機」とか「なんか上空からすごい映像とるやつ」とかだろうか。
ドローンでスポーツをするというのが、いまいちまだ認知されていないのかなと思う。なんせ、わたしもまだまだドローンという未知の機体の可能性とそのエンターテイメント性が計り知れない。だけどドローンと関わることに何故かいつもワクワクする感覚が起こる。

元々F1が好きで、鈴鹿サーキットに見に行ったり、テレビで見たりしていて、ドローンレースは空のF1のような感覚で楽しんでいる。Redbullが好きで一時期中毒だった時は毎日朝Redbullを飲んでスマホの待ち受けはRedbuulのF1車だった。去年、学校に入って学んだスケッチの授業でもRedbullの缶を描いたり、テーマ「夢の乗り物」でもRedbullの車体にDJセットを組み込んで大好きな音楽と車に立ち乗りするスケッチを描いていた。

ドローンレースというのは、1対1で対戦することが多いそうなのだけれども、わたしがいるチームは主にチーム戦で世界リーグに参戦している。実はそこもわたしにとって魅力的だった。中学高校と6年間バスケットボールをしていて、今も社会人チームでバスケをしているのだけれども、いわゆるジャンプ漫画にでてくる”仲間"って感じが昔から好きだったことも、今このチームにいる理由の1つだ。所属するパイロットは、日本・オーストラリア・アメリカ・スペイン・ドイツ・スウェーデンと様々な国から参加していて、距離とこのコロナ渦で会うことはなかなか難しいのだけれども、発達したITツーツのおかげで日々みんなでコミュニケーションをとっている。"日本"というカルチャーを超えて、海外のパイロットと接することは、わたしにとってフラットに世界を見ることができるようでとても貴重な機会だと思っている。

先月の7月には、わたしにとって初めてのドローンレースの世界最高峰リーグDrone Champions Leagueの本番があった。今年はコロナの影響もありeSPORTSとしてゲーム上で開催され、世界各国で放送された。8月にもアメリカ戦、チャイナ戦が続く。

大会の裏側ではチームはオンライン上でやりとりをしながら試合に挑むのだけれども、まさに"チーム戦"だった。みんなで作戦を考えたり、声をかけあったり、一緒に叫んで喜んで。各国のチーム内のやりとりの様子までは、放送では公開されていないのだけれども、たくさんのエピソードが詰まっている。他のスポーツと同じように、この裏側にこそ、人を感動させるモノに溢れている。バックグランドを知ることできっと感動は倍増される。わたしはこの感動をたくさんの人に知ってもらって一緒に楽しんでもらえるスポーツエンタメとして、これからたくさん発信していきたい。

学校ではwebデザインを専攻しているが、この学校では「デザイン思考」というものを大事にしている。コーディングやイラレやフォトショの技術よりも、アイデアを出すこと、それをビジュアルに起こしたり、誰かの問題を解決することをデザインしたり、そういうことを大切にしている。

正直、スキルはつけたいので、技術の授業はもっとほしいところだけれど、クラスでブレインストーミングをしたり、みんなのプレゼンを聞くことはとても貴重な時間だと思っている。

「デザインってなに?」先生が1回目の授業でみんなに問いかけたこと。約3時間に渡りこれについて議論する授業だったけれど、みんなの思考を知るのはなかなかおもしろかった。先日見たテレビで専門家の方が、人間のコミュニケーションとして「言語」というのはとても後期にでてきたものだから、人は文字でコミュニケーションをすることがジェスチャーや表情などよりも伝えるのが苦手な傾向があると言っていた。最近それはとても痛感することが多い。同じ言葉でも、人によって捉え方が全然違ったりする。でもそれがおもしろかったりする。

デザインとは何か。「自然こそが最高のデザインだ」そう言う人もいれば、「人が意図して作ったものがデザインだ」と主張する人もいた。正解はどこにもない。だけれども、お互いの考えをぶつけあうことで新しい感覚や感情が生まれることがある。だからこそもっと話して、伝え合っていければ、それはそれで素敵だ。

今回わたしにとって「速度」がテーマならば、時間の感じる速度を提案しようと思った。子供の頃に感じていた速度と大人になってからの速度がいつの間にか違うように感じる。大人になって走り続けていた頃は、空を見る時間すらなかった。でも子供の頃は道に生えてる草花も全部知っていたし、ちょっとしたものも全部が遊びになって楽しかった。そんな感覚を足を止めた時からまた取り戻すことができた。愛犬トイプードルのシナモンを飼いだしたこともきっかけだが、ゆっくり歩く時間をつくるようになった。走り続けて頑張っている誰かに少しでも癒しやエールが届けられるデザインが作れたらという願いが浮かんだ。

ドローン×「速度」×デザイン

レースでは速さを求めるドローンだけど、ドローン自体は歩く速度も止まることもできる。わたしが願う「速度」とを絡めてデザインに落とし込んで、新しいものを作ってみたいと考えてみた。

コロナで外にいけない、仕事で時間がない。そんな問題は日常にたくさんあって、理想と現実に差が生まれる。そんな問題を解決できるのがデザインなのかもしれない。

「速度」への願いから、みんなで行ったブレインストーミングで出たアイデア「Google Mapを体感」と「ドローンで旅行」の2つをピックアップ、上記の問題点を考慮して、"Gameの中でドローンを操縦して世界旅行ができる"というコンテンツができればいいなと思った。実際に今参戦しているドローンレースリーグではeSPORTSとしてGameで世界の名所のレース会場でレースを行っている。リアルのような壮大で雄大な景色はGameの中でもとても絶景だ。外に出れない、時間がない、そんな中でもドローンを操縦して上空を飛んだり、建物の中に入ったり、走ったり、歩いたり、止まってみたり、実際の街並みをGoogle Map体感できたらおもしろいかもしれない。本当の旅行のように、各国でお土産を集めたり、写真が撮れたり、それでアルバムを作ったり、旅行するアバターを作ったり。オンラインで友達と旅行に行けたり。これを実際に製品化するとなれば問題がたくさんあるのだけれど、思考の中では、発想は自由に野放しにしておいた。

今回の授業はアイデアの発想をプレゼンするというのが課題で、無事に発表が終わった。アイデアを形にするところまでは課題ではないのだけれど、それとは関係なくドローンとデザイン思考とを絡めて、新しいものを作れたらいいなと思う。



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