花のうた
お花を買うのが好きになってから、手元にある花を描くようになりました。花を見ていると、花の周りに集まる静かな空気に癒されるからか、日常に埋もれて忘れていた言葉を思い出すことが多いです。
浮かんできた言葉はスケッチの紙の裏側に(結構適当に)書き留めるようにしています。最近は、春が少しずつ近くなってきたおかげで、辛いことがあっても温かさや優しさを願うものが自然と増えてきた気がします。
「これから10年、20年をかけて 本当の愛を知っていってください」
「優しい春を迎えられるように」
「ここで生きている苦しみも喜びも
すべてあなたの掌の中」
皆さんの楽しみを希う心が明るく、鮮やかに咲く季節になりますように。
noteのタイトルは最近読んだ一穂ミチさんの短編集『スモールワールズ』収録「花うた」からの連想です。最愛の家族を奪った加害者と文通を続ける女性のお話。短編集の中で一番心惹かれる内容でした。
愛情だと思っていたものが支配で、絶望だと思っていたものが希望の始まりだと気づいたとき、人の心はどのように開いていくのか。凍りつく冬と雪解けの春の狭間の季節に(そして、できれば桜が咲く前に)読むのに良い小説だと思いました。
温かい春と同時に、良い本日和を迎えられますよう。
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