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ゲームでキレる昔の自分を事例検討してみた!|家族療法のお勉強

私は鬱屈した中学生活を送っていました。自分でも何が起きていたのか、当時はよく分かりませんでした。

そこで、家族療法の復習と知識を深めるために、中学生時代を家族療法の視点から分析してみようと思います。

※家族から許可を得ていない部分は伏せています。
※個人情報保護の観点から情報を改変しています。
※自身の家族や友達、知人などに家族療法を行うことは避けるべきです(多重関係となり、客観的判断が阻害される可能性があります)

アセスメントシート

問題を評価し、状況を整理するためのシートです。

背景

  • 私(当時13歳)

    • 幼い頃から人見知りで、中学に進学した際、周囲が大人びているのに、自分だけが取り残されているように感じました。そのため、精神的に孤立。

    • クラスに不良気質の生徒が増え、脅されたこともあり、恐怖感を持ちながら学校生活を送る。

    • 本来は明るく愛想が良い性格ですが、上記の理由で抑圧的な中学生活を送る。

    • 精神的に自立できていない傾向。

    • 家では自由奔放で陽気で活発。

    • 両親からの情緒的なサポートはあまり記憶にありません。

    • 両親から道徳や生き方の指針を教わった記憶もありません。

    • 自宅でゲームをして負けると、怒りを爆発させ、罵声と破壊行動がある。家族は誰も止めることができず、この行動は高校卒業まで続く。

  • 父親

    • 子育ては母親に任せている。

    • 普段は温厚で家族想い。

    • 母親とよく口論する。普段は母親の方が力関係が強い。

    • 会社の飲み会が月1回ほどあり、毎回泥酔して帰宅。

    • 泥酔状態では家族、特に母親に対して絡んだり怒鳴ったりすることが頻発。身体的暴力ない。

  • 母親

    • 子供を自由に育てようとする方針。

    • 普段は子供に優しく、過保護気味。

    • 神経質で独自ルールを持っている。

    • 愚痴が多く、父親の愚痴を本人や子供の前で言う。

家族構成

  • 母親、父親、息子(私)

サブシステム(家族の小さなグループのこと)

  • 両親サブシステム

  • 祖父母サブシステム

連合( 家族内での徒党のこと)

  • 母子連合

  • 父親は孤立し、三角関係にある状態

境界(家族内の距離感や関わり方のルールのこと)

  • 物理的境界:私の自室がなく、プライバシーが守られない状態

  • 心理的境界:私が母親に心理的に依存している状態

  • 感情的境界:母子の結びつきが強く、父親とは遠い関係

  • 役割の境界:各人の役割が曖昧

  • 外部との境界:評価不明、曖昧な境界/遊離家族傾向

オルソン円環モデル(家族機能の可視化)

  • 凝集性:低い(家族の結びつきが弱い)

  • 柔軟性:ある程度の柔軟性がある。

  • 中間群に該当

カップルダンス(夫婦の悪循環パターンのこと)

  • 母親が父親に攻撃的に愚痴を言い、それに対して父親が防衛的に怒るという悪循環が繰り返されエスカレートする。

  • これは「衝突のダンス」と「追跡回避のダンス」の両方が含まれたケース。

家族ライフサイクル(家族で子の誕生~死ぬまでの一生のサイクルのこと)

  • 青年期の子供がいる家族

    • 私が母親に依存的で、社会的・精神的な自立が遅れている。

    • 中学に進学してから、対人恐怖やいじめ、生きづらさを感じているが誰にも共有していない。

    • 両親は私の異常行動に気付いていますが、性格の問題として捉え、適切なサポートはない。

ストレッサー(ストレスの原因となる刺激のこと)

  • 水平的ストレッサー:中学進学に伴う変化

  • 垂直的ストレッサー:過干渉の母親、アルコール常用の父親、不良の多いクラス、体罰のある学校、頻繁な夫婦喧嘩、自室がなくプライバシーが守られないこと

個人ライフサイクル(個人の誕生~死ぬまでの一生のサイクルのこと)

  • 青年期:アイデンティティの拡散が生じ、自己の役割や目標に混乱し、心理的な危機に陥っています。


ゲームでキレる事象に対する家族療法による介入

① 解決志向アプローチ

解決志向アプローチは、原因追及よりも未来志向で、クライアントの成功体験に焦点を当てて問題解決を図る手法です。

重要なポイント

  1. 壊れていないものを直そうとしない。

  2. うまくいっていることを見つけてそれをもっとやる。

  3. うまくいっていないなら、別の方法を試す。

以下の質問を通じて、本人や家族の解決の糸口を探ります。

  • 罵声や破壊行動が起こらないときはどんなときですか?

  • ゲーム中にキレる頻度はどのくらいですか?

  • ゲーム中、ほとんどの時間怒っていますか?

  • 人に対してあたることはありますか?

  • これまでに試したことでm少しでも上手くいったことはありますか?(キレることを止めるために)

  • これまでに試して効果がなかったことはありますか?(キレることを止めるために)

  • ゲームで怒りがわく時、どのように対処してきましたか?

家族の回答

  • 子供はゲームで怒ったとしても人にあたったりしない。

  • 子供から暴力を振るわれたことはない。

  • 楽しんでゲームしているときは怒らない。

  • 友達とゲームしているときに怒ったことは一度もない。

  • ゲームを取り上げようとしたが逆効果だった。

  • 静かにするよう叱るが効果なし。

  • 試して上手くいったことはない。叱るか取り上げる以外試していない。

  • ゲーム中ずっと怒っているわけではない。

  • 怒らずにゲームを終えることもある。

大事なポイントがいくつか出てきました。友達とゲームしているときは怒らない点をもっと深堀りしてみたいですね。(私なぜか友達とゲームしているとき不思議と怒りが出てこないんです。)

人に危害を加えないこともわかりました。やっちゃダメなラインを本人自身が判断しコントロールできています。この点を認めてあげることがよいでしょう。

試行錯誤のパターンをもっと増やしてみることも有効ですね。

ご家族全員で話し合い、以下の方法が出てきました(妄想)

  • RPGはあまり怒らないのでRPGをプレイする。

  • 好きでもないアクションや対戦ゲームを行っているので、本当にやりたいものだけプレイする。

  • 怒ってしまうゲームを家族全員でプレイしてみる。

  • 難しいステージの攻略方法を家族全員で作戦会議して決める。

  • 怒鳴らないことでご褒美を貰える。

  • 怒りの表現方法をどんどん小さな言動にしていく。

特に家族全員で一致団結してステージ攻略することが回復の鍵になる気がします。12歳の頃、親父に一緒にゲームしようと誘っていた記憶があります。

そして私はゲームで怒ってくると毎回同じパターンで負けます。熱くなると試行錯誤をしないんです。試行錯誤して上手くなれば負けないという快体験を積むこともひとつの手段です。

怒りを出さないようにコントロールするだけじゃなく、怒ってもいいけど怒鳴らず壊さない方法に切り替えていくことも有効でしょう。初めは口にタオルをあてて怒鳴る。クリアしたら次は怒鳴らずに布団にスライムを投げる。と徐々に周囲に迷惑がかからない手段に切り替えていきます。

② リフレーミングによる介入

リフレーミングとは、出来事や物事を別の視点から捉え直す手法です。

カウンセラーから以下の質問を行います。

  • ゲームは本人にとってどれだけ大切なものですか?

  • ゲームをすることで得られるメリットは何ですか?

  • ゲームで怒るということは、それだけ真剣で譲れない思いがあると感じますが、どう思いますか?

  • ゲームをしていて、ご家族だけでなく本人自身も辛いように見えますが、どう感じていますか?

  • ゲームをしている時はどんな感情でいっぱいですか?

  • 怒鳴ったり物を壊してしまうのにはどんな意味が隠れているの?

  • ゲームではなく部活だったとします。真剣に取り組んでいることで上手くいかず、部活動や自分に対して怒っているとしたら、ご両親としてどんな言葉をかけてあげたいですか?

家族の回答

  • ゲームは友達と楽しく遊ぶための大事なもの。

  • 人見知りだからゲームがあることで友達を誘える(当時の私は恥ずかしくて言わないと思うけど)

  • ゲームは真剣に熱心に取り組む唯一のもの。絶対に失いたくない。

  • ゲーム中は基本的には楽しい。でも上手くいかないとすごく苦しい。

  • 怒鳴ったり壊したりする意味は、負けたくないという強い思いからです。

  • ゲームしていてくれると手がかからなくて助かる面はある。

  • 部活だったら応援したいと思います。

  • 親としてもゲームを取り除きたいわけではない。怒鳴らないでいてくれたらいい。

ゲーム=悪となっていましたので、まずは本人にゲームを止めたいか、その想いにフォーカスしてみました。

ここで確認できたことは、ゲームは失いたくない大切なものであり、友達と繋がるための重要なツールの一つであることが確認できました。人見知りであるため、ゲームを介してなら交流が捗るとの状況にありました。

ゲーム=悪という見方から、ゲーム=息子にとって大事なツールであるという見方が確認できました。

そして息子さん自身もゲームで負けているときは耐え難い苦しみにあることが分かりました。家族に迷惑をかけたくてかけているわけではなく、行き場のない苦しみを表現する術をそれしか知らないことも確認できました。

又、息子さんは極度の負けず嫌いということも見えてきました。これは本人の強みであり、本人と両親にもっとアピールしていった方がよいことでしょう。

見立ての注意点

ゲームをしてキレるのは、一見すると中学生活での鬱屈した想いが関係しているようにも見えます。もしくは両親の不和が関係しているようにも見えます。

ただ私の主観で答え合わせをすれば、ほぼ無関係だと言えます。

”ほぼ”というのは、家族システムは相互作用・循環するため、少なからず影響はあるかもしれないからです。

もし全く初対面の方を家族療法を学ぶ前に見立てたとしたら、キレる原因を表面的に起きている事象(親のアルコール、鬱屈した中学生活)と繋げてしまったかもしれません。

終わりのあいさつ

ここまで読んでくれてありがとうございました(*'▽')
非常に有意義な学習時間となりました。

シリーズ化して行っていきたいと思います。次はアニメや映画で行いたいと思います。エヴァンゲリヲン新劇場版の事例検討してみたいなと思っています。

それではまた次回!
SUPER NEKOZEでした。
あなたにも猫背が訪れますように☆彡

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