猫の名付け方考察

飼い主にならなくとも、庭先に遊びにくる子や散歩中に見かける子に
勝手に名前をつけたりすることはあるので、よくよく考えたら
「猫に名前をつける」ことは、飼い主に与えられたの重大な任務
というわけでもないのかもしれません。ですが、これから長い間
同じ時間を過ごし、人生を共にする新しい家族になるのですから
良い名前をつけてあげたいですよね。
そんな「猫の名付け方」について考えてみました。

なんら制約はない

まず、人間の名付け方と決定的に違うのは、どんな名前を付けても良い
ということで、名前を付けるという行為は同じなのに、人名用漢字
（日本における戸籍に子の名として記載できる漢字のうち、
常用漢字に含まれないものを言う。法務省により戸籍法施行規則別表第二
として指定されている。wikiより）のような制限や縛りはないので、
自由につけられ、更に言うなら何語でも良く、当たり前のようですが
そこには無限の可能性しかありません。

避けたほうが良い名前

とはいえ、やめておいた方が良い名前というのは存在しますので
次にあげておきます。

①好きな人や彼氏彼女の名前
憧れてる人、大ファンな人、大好きな人の名前を呼ぶだけで、
そりゃもう楽しいでしょうし、それだけで幸せな気分になれますよね。
ええ、ええ。わかりますとも。ですが、いじわるな物言いになりますが、
現状好きでもこの先ずっと好きであるかは全くの別問題でして、
悲しいかなお別れしてしまった時や、もう顔も見たくないくらい
大っ嫌いになった時（何があったんや・・・）も、その名前で
呼び続けなくてはならないのは、ちょっとした修行でしょうし、
その名前を付けたことをひどく後悔するでしょう。

そしてこれは余談になるかもしれませんが、自分に絶対の自信を
持っている人で無い限り、元カレ元カノは意識してしまうものですし、
「そんなに好きだったんだ」と思うだけで嫉妬したり悲しくなったり
するもので、過去の自分に罪はないにしても、やはり相手を傷つける
行為だと思うのです。「今はもうなんとも思ってないし」なんて
言われたところで、過去の存在がチラッチラしてるなんて嫌じゃん。
絶対嫌じゃん！

まぁ、そんな想像をしただけで気分が沈みそうですので、ハッピーエンド
パターンも添えておきます。

同じ家で過ごし始めると、同じ名前が一人と一匹になりますので
呼びかける時に『じゃないほうの』『どっちの』になってしまうので
「〇〇、靴下どこにしまったっけ？」「にゃあ」「いや君じゃなくて」
という想像するとちょっと可愛く思える状況ですが、それも日々続くと
そのうちめんどくさくなります。というか、猫が混乱します。

名前を呼ばれた！何かな？ご飯かな？遊ぶのかな？ナデナデかな？
えっ、違うの？ボク（ワタシ）じゃないの？どうして？

ほら、罪悪感に苛まれたでしょう？
まぁ、これはあくまでも猫の心情を想像した例ではありますが、
猫は意外と嫉妬深いのですが、諦めも学習も早いので、
そのうちその名前に反応しなくなるかもしれません。
ハッピーエンドなようで、どのみちアンハッピーエンドですな。

②恐ろしく長い名前
どのみちといえば、こじゃれた長い名前を付けたところで
短い愛称で呼ぶことにはなりますので、日常生活では全く問題ないように
思えるんですが、病院にかかったり保健所や警察などのお役所手続き
なんかが発生すると、だいぶめんどくさいです。
落語の寿限無的な面白さはあるのですが、病院の待合で呼ばれたり
カルテやお薬袋にも書かれることもありますので、ピカソのような
ありったけの名前は避けたほうが無難だと思います。

因みに、ピカソの本名は、パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ･マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンディシマ・トリニダード･ルイス・イ・ピカソです。ぜひ、名前だけでも覚えて帰ってください。（漫才）

覚えやすい名前

では、一体どんな名前が良いのかになると、そこはもうお好きに、
になってしまうのですが、一般的に猫が覚えやすい短い音節で
はっきりとした響きの言葉が良いと言われています。

①２～３文字の短い名前
②濁音の入った名前
③高音の名前

③については、呼び方によるんじゃないかと思ったりもしますが、
以下のサイトにランキングが載ってますので、参考になさってください。

ねこちゃんホンポ
https://nekochan.jp/column/article/18132
子猫のへや
https://www.konekono-heya.com/shitsuke/name.html

「ごはん」と「可愛い」はすぐに覚える

名前を憶えさせようと努力しなくても、愛情を持って接すれば
そのうち覚えますし、返事もするようになりますので、
そこまで構える必要は全くないと思ってるんですが、
ワンコちゃんと違って、猫は自分の名前を呼ばれたと認識しても
あえて返事をしなかったり、シカトすることがあります。
たぶん、返事する気分じゃないとか面倒だとかもあるでしょうし、
何か気に入らないことを知らず知らずしてしまっていたとか、
飼い主の知らないところでイタズラをしてしまってバツが悪いとか。
まぁ、彼らにも何かしらあるんでしょうね。
だから、反応がないからといって頭が悪いんじゃないか、とか
愛されてないんじゃないかとか、飼い主失格なのか、とか
あまり悩まないようにしてください。

ただ、名前を呼んだ時や物音を立てた時、猫の耳がピクリとも
動かなかったら聞こえていない可能性がありますので、
その時は病院に連れて行った方がいいのかなと思います。
とはいえ、聞こえていなくても可愛いには違いありませんので、
ケアしてあげれば大丈夫です。

以下、参考までに。
ペットトゥモロー『耳が聞こえない猫と暮らすということ。』
https://dime.jp/genre/1336673/

好きなことに関連させた名前

自分の好きなことに関連させると、名前を呼ぶのが楽しくなると思います。ジャズ好きな飼い主さんなら "モンク" "ミンガス" "チャーリー" とか
絵画が好きな飼い主さんなら "ピカソ" "ゴッホ" "ボッチチェリ" とか
ラグビー好きなら "タックル" "トライ" "スクラム" "ノックオン" とか
クラシック好きなら "ベートーベン" "シューベルト" "ショパン" とか、
もういくらだって出てきちゃいますね。また、猫の名前を教えるだけで、
さらっと自分の趣味まで公表できるので、ある意味便利でもあります。

逆に、人に知られたくない趣味だと「猫の名前？ああ、まぁ、普通の。」
みたいに曖昧にしたくなるので、その憚られる趣味のほうをぜひとも
諦めていただいたり、それはそれで一興じゃないかと思います。

普段は厳しく怖そうな方だったり強面の方でも、ペットの名前が
やたらと可愛いかったりすると、その人の違う一面、意外な一面を
知れたようで、嬉しくなったり印象は変わるかもしれません。
いずれにせよ、ペットの名前なんてプライベートな会話をする
間柄になれるというのは、距離が近くなった証拠でしょうし、
目尻を下げながらお互いのペットの話をするのも、実に楽しいものです。

多頭飼いになるかも？

保護猫の里親になる場合は兄弟・姉妹でお迎えする可能性もあるかと
思いますし、最初は１匹のつもりでも、寂しいかなともう1匹お迎え
したりすることになるかもしれません。人間だと、兄弟・姉妹で
同じ漢字を使った統一感のある名前が採用されたりも多いのですが、
猫の場合、最初の一文字目は、なるべく同じ響きは避けたほうが良い
とされています。１匹目が「あ段」から始まる名前ならば、２匹目は
「い段」からというように、全く違う母音にしたほうが、わかりやすく
覚えやすいでしょう。

余談ですが、人間でも紛らわしい名前はありますよね。
電話口で「佐伯です。」「斉木様ですか？」「いいえ、佐伯です。」
「あの、もう一度・・・？」「さしすせそのサ、あいうえおのエ、
かきくけこのキ、で佐伯です！」みたいな会話を佐伯さんや斉木さんは
何度も経験していらっしゃると思います。そういうことが度々あると、「（もうめんどくせー。）はい、そうです。」みたい諦めたりして。

更に雑談ですが、飲食店のウェイティングリストに名前を記入する時、
画数が多かったり紛らわしかったり珍しい名前だと
「森」「鈴木」「山田」などよくある名前を使いがちですな。

結局、自分が気にいった名前が一番

まぁ、なんということでしょう！ 3600文字ほど費やした挙句、
結論はコレっていう、時間泥棒な結末ではありますが
アレやコレや考えたところで、結局、自分が気に入った名前なら
なんでもよくて全部正解なんですよね。

アメリカ人の友達が、日本語の響きが可愛いからと "すこし" と
名付けたのですが、副詞を名前にするなんて変わっているなと
よくよく聞いてみると、どうやら翻訳ミスだったらしく
本来なら "チビ" ちゃんだったみたいなんですが、それはそれで
微笑ましく特別感があるのでいいなと思いました。

猫が教えてくれる

出会う前に色々考えるのも楽しいのですが、実際に特別な子に出会うと
名前なんてパッと浮かぶものですし、思い浮かぶともうそれしかない
っていう気持ちになりますので、どうぞご心配なく。

毎日何度も呼びかけて、その度に愛情が深まって、かけがいのない存在になっていく、そんなニャンダフルライフも、まずは名前をつけるところから。
病める時も健やかなる時にも、富める時も貧しき時も、愛し、敬い、慈しむ誓いをたて、立派な下僕としての第一歩を踏み出してください。
フォースと共にあらんことを。