見出し画像

旅行記 / 高岡 36年ぶりの豪雪に見舞われた街 (2021/01)

真冬の豪雪地帯の大雪と美味しいものを堪能するぞと。


前回の北海道で雪と寒さを強烈に体感した私ですが、懲りずにまた雪の多い地域に出掛けることにしました。ただし今回は雪だけではなく、JR氷見線・城端線・高山本線に乗る、氷見寒ブリを食べる、高山で飛騨牛を食べるなど他の目的もあります。後半のグルメがめちゃくちゃ楽しみでした。

氷見線と城端線の観光列車「べるもんた」の予約も早々に済ませてワクワクしていたところ、直前になって何やら怪しいニュースが。「北陸など大雪の恐れあり」とのこと。

まあ元々雪の多い地域やし?と思っていたのと、ならば尚更その大雪を見てみたいという興味が勝り出発することにしました。しかし(当然ながら?)まさかのイベントの連続になったのでした…。

何に乗って、どこへ行ったか

● 主なJR路線:北陸本線、北陸新幹線、信越本線、篠ノ井線、中央本線、東海道本線
● 主に行った場所:高岡大仏、瑞龍寺
● バランス:[観光] ・・・★・[鉄道]

◆Day 1◆ サンダーバードと北陸新幹線で富山県へ

よく晴れている京都駅からサンダーバードに乗ってスタート。乗った9号はいわゆる「速達型」で、京都を出ると福井と終点金沢にしか停まりません。

途中でいろいろ停まるタイプよりも所要時間は15分ほど短いです。それほど大きな差ではないですが、駅をどんどん通過していくのがちょっと楽しい。

画像1

湖西線を経由するため、進行方向右側だと琵琶湖を眺めることができます。湖面がギラギラ輝いていました。まだまだ晴れています。この調子なら全然問題なく行けるのでは~?

画像2

…が、敦賀の先の今庄トンネルを出てから景色は激変。急激に積雪が増え、激しく雪を巻き上げて&吹雪で窓の外がよく分からない状態になりました。太陽の光は全くありません。これには驚きました。

画像3

福井を出発してからは雪のため徐行気味になって、窓の外には雪かきをする人々の姿が見られました。お疲れ様です。石川県内に入って雪は小康状態になり、サンダーバードもスピードアップ。

しばらく快走していましたが金沢の手前で徐行したのち停車しました。先行列車が詰まっていてホームに入れないとのことです。以前ならば焦っていたところでしょうが、前回の北海道で3時間以上もの遅延を経験していたのでこれぐらいは余裕です。慣れです。


さて金沢からは北陸新幹線で新高岡へ。たった一駅だけの乗車です。

画像4

ちなみにこちらは福井方面へ伸びる線路の様子です。敦賀までの延伸開業ももうすぐですね。

画像5

車掌さんの英語放送がとても流暢でした。もしかして内容もアレンジされていた?のかは分かりませんが、ここまで聞きやすいのはなかなか珍しいなと思いました。

新高岡からバスで氷見を目指すも…

新高岡に到着し、いざ氷見へ…!あれ、「わくライナー」運休とな…?

和倉温泉と氷見・高岡を結ぶ直行バスなのですが、大雪のため運休でした。今考えれば当たり前です。慌てて代わりの路線バスを探して無事に氷見方面行きを発見。バスの到着まで駅前の写真を撮っていました。それにしても…えらい所に来てしまったな。

画像6

あ、ちなみに「べるもんた」(と氷見線と城端線)は早々に運休が決まっており今回は既に諦めています。またの機会にぜひ乗車したいと思います。


しばらく待って氷見方面行きが到着しました。この大雪の中でも運休せずに走っていること、そもそもこの路面でもバスが走れること自体が驚きです。

…いや、これどこから乗るんや

画像7

積もった雪の中をズボズボ歩いて、足回りが雪まみれになりながらもバスに乗り込みました。正直言って、悪路のためバスの乗り心地は最悪でしたが、それでも運行していることに感謝です。

と、早速前方で車がスタックしている様子が見えました。人々が必死に雪を除けておられます。この先が少々不安になってきました。

画像8

轍になる部分以外には雪が積もり続け、おそらくバスの床下が積もった雪に擦れるのでしょう、進みながらバスが揺れまくります。これはもう壊れるか横転するのでは?とも思える空間でした。そこらの遊園地のアトラクションより断然怖い。だいぶ肝を冷やしました。

高岡の市街地を抜けて少し進んだ場所の様子。横断歩道の信号がありますがどこを横断したらいいのか不明な状態です。雪積もりすぎ。

画像9

この横断歩道あたりから状況がさらに怪しくなってきます。バスが進まず、前を見てみると車の長い長い列が!これ、もしかしなくても「立ち往生」…ってやつですかねえ…?

ニュースでも話題になっていて見たことのあった状況に、このタイミングで遭遇しました。守山橋に差し掛かったあたりで全く動かなくなり、前も動く気配がありません。さあどうする。

画像10

なお雪は標識の高さにまで積もっています。

ぐるぐる考えつつ、これはもう氷見までは行けない、行けてもあと数時間はかかるなと直感。16時までに進展がなさそうならもう降ろしてもらって高岡駅周辺まで戻ろうと決めました。

雪に埋もれた街を歩く

結局16時を過ぎても状況は変わらず。立ち往生したバスから降ろしてもらい歩いて引き返すことにしました。高岡駅付近までは約4km、もちろん自力で歩くのみです。まさかこんなことになるとは…。やむなくお宿も変更。


歩いている途中、雪の質が数週間前の北海道で感じ取ったものと異なるなと実感しました。雪が湿っていて重たく、なかなか払い落とせない上に、すぐ融けて濡れてしまいます。気温が違うとここまで変わるものなんですね。

路面は雪が融け踏み固められて凍っているようで、スケートリンクみたいな状態でした。滑る滑る。スケートシューズで滑っていった方が早いのでは?と思えるほどです。

画像11

屋根に大量の雪が積もっていたり、標識のすぐ下にまで雪が迫っていたりという風景は人生で初めて見ました。「雪に閉ざされる」とはまさにこうした状況なのでしょうか。

画像12

道中にあった神社は雪を被って何やら神秘的な雰囲気に。当時は身の危険も若干感じていたので、さすがに参拝するほどの余裕はありませんでした。今思えばちょっと入ってみても良かったかな、とも。

画像13

それにしてもよく滑りました。滑らないように注意して歩くのですが、少し気が逸れるとすぐに転びます。1分に1回は転んでいたのでは、と思うレベルでしたが幸い最後まで怪我はなく進むことができました。先の神社の神様が見守ってくださっていたのでしょう。

陽が落ちて真っ暗になってきた頃に、市内中心部の方まで戻ってくることができました。スケートリンク状態にはなっていなかったのですが、代わりに大量の雪がお出迎え。いろいろと雪で埋まっていて、何やらよく分からない感じになっています。

画像14

歩道にも雪がどっさり。こんな豪雪の中でも歩いていた先人たちのおかげで一応歩ける部分はあるのですが、幅が一人分あるかどうかで、両脇は雪の壁です。足元は踏み固められた部分とそうでない部分の区別がつかず、途中で何度もつまずいたり雪の壁にダイブしたりしていました。

雪で埋まってしまって歩けるスペースがない箇所もあり、そこでは仕方なく車道も歩きました。なお車列は立ち往生してしまってなかなか動きません。

画像15

車道の中央を走る路面電車、万葉線の電停の様子は…。

画像16

当然ながら終日運休でした。

歩いて戻ってきた高岡駅周辺の様子

コインパーキングの様子です。なぜか満車の表示になっていることが分かります。雪の重みで誤検知してしまっているのでしょうか。精算機上の屋根に積もった雪で積雪量が一目瞭然です。

画像17

融雪装置がフルパワー稼働してくれているのは良いのですが、おかげで低いところにある道路には巨大な水溜りが発生していました。車で進むなら問題ありませんが、歩行者には厳しい。いやそもそも出歩くのがおかしいのか。


バスを降りてから3時間ぐらいヨタヨタ歩いて宿まで辿り着きました。このような状況では4km程度でもそれほど時間がかかることを、身をもって体験できました。道中は雪の中を何とか歩ききることに必死で、荷物を下ろして初めて体力の圧倒的な消耗を実感しました。もう何もしたくない

ただそんなわけにもいかず、ご飯だけは食べておきたいところ。宿に着いた安心感がある今なら、ついでにもう少し冷静に写真も撮れるかなとも思って出掛けました。


雪に埋もれてほぼ無人であるもののライトは普段通りの高岡駅前の景色は、ある意味で幻想的でした。駅前のアーケードの雪の量には圧倒されます。

画像18

高岡駅の方を向いてみるとこんな感じ。ここの車道中央にも路面電車が走りますが、もちろん雪で埋まっています。

画像19

こうして雑然とした電線に雪が積もっているの、「風景としては」雰囲気があって良いですよね。ただし実際に見て歩いていると少し怖かったです。

画像20

高岡駅地下街の飲食店は軒並み休業で、コンビニのおにぎりやパンも品薄の状況でした。仕方なくカップラーメンを啜るほかありません。氷見寒ブリ、食べたかった…。

そして翌日のJRの運転計画を確認したところ、高山本線は動く見込みがないとのことで高山に行く計画もキャンセルです。飛騨牛、食べたかった…。


…と、正直言って何をしに来たのかよく分からない一日となりました。が、豪雪時に背丈ほどの積雪の中を歩くという貴重な(?)経験ができました。雪を見たいという願望は、前回の北海道とこの日で完全に満たされました。というか私の予想をはるかに超えた量で応えてくれました。自然、強い。

◆Day 2◆ 雪を被った高岡大仏を拝む

高岡での連泊も検討しましたが、北陸新幹線が動いているうちに帰った方が良いだろうと、長野から名古屋経由で下りてくることにしました。東京まで出てしまうと北陸新幹線+東海道新幹線で交通費が跳ね上がるんですよね。

せっかく豪雪の高岡に来たので、三大大仏と言われる高岡大仏と、検索して出てきた国宝瑞龍寺は見に行っておこうと出発しました。こういう時だからこそ、なかなか見られない景色を見ることができるかもしれません。


大雪から一夜明けた街を歩いて、住民の方々が除雪されている様子を間近に見られました。大変な時に悠長に歩いていてすみません。

画像21

歩いていると突然、目の前に高岡大仏が現れました。東大寺のように大きな御堂があるわけでもなく普通の街中にあるんですね。脇腹のあたりまである雪の壁に挟まれながらも前まで歩いて行くことができました。

雪がまるで袈裟(?)と帽子(?)のようになっています。雪は降っていましたが、たまに背後から陽光が差し込むことがあって後光が差しているかのような状態になりました。

画像22

続いて近くのアーケードに入ってみました。周りを見ながら歩いていると、地域活性化のために商店街に設置されていたイルミネーションがあっけなく見るも無残な姿になっていました。ああ…。

画像23

一応ネットで検索をかけてみたら在りし日の姿を確認できました。果たしてこの後どうなったのでしょうか。

ほとんど誰も歩いていない高岡駅前まで戻ってきた頃には、ようやく青空が覗き始めました。雪が止んで一安心です。

画像24

雪は止みましたが、JR在来線もあいの風とやま鉄道も運休。もちろん改札も開いていない高岡駅コンコースは静かでした。

画像25

…と思っていたら、線路を見渡せる窓の辺りに人だかりが。撮り鉄の人々が何やらカメラを構えています。

見てみると、どうやらラッセル車の出動のタイミングだったようです。その奥には雪を被った氷見線と城端線の車両がいました。いつもは無骨な風格のキハ40形車両も、こう雪を被って並んでいるとどことなく可愛く見えます。

画像26

ちなみにこの3両のキハ40、行先表示が左から「氷見」「高岡」「城端」になっていました!偶然だと思いますがちょっと嬉しいですね。

しばらく眺めていましたが、このまま高岡駅で留まっていてもどうしようもないので新高岡駅に向かって歩いていくことに。歩きやすくはないかもしれませんが、前夜よりは歩道に足の踏み場がありそうです。

新高岡駅まで歩く道中に瑞龍寺を参拝

大通りをずっと歩くのもあんまり面白くないので、人々の生活を間近に感じ取れるように住宅街の道路を歩いてみました。なるべく除雪作業の邪魔にはならないよう気を付けたつもりです…。

画像27

写真を撮っている最中に、電柱の変圧器から突然雪が落ちてきてびっくり。屋根上からの落雪にも注意しないといけませんね。

画像28

城端線の踏切から線路を眺めて写真を一枚。雪に埋もれていて、運転再開はしばらく難しそうだと一目で分かります。ラッセル車の奮闘に期待です。

画像29

前日とはうって変わって青空が広がってきました。ちょうど辿り着いたのが国宝の瑞龍寺です。雪で道が埋まっているためどこから入ればいいのか不明でしたが、歩いていると受付が見えてきました。

参拝したのはもちろん自分一人だけでした。雪と青空に映える瑞龍寺を独り占めです。こういう場所は一人で静かに見て回りたいですね。

画像30

高岡駅と新高岡駅の間には住宅地が続いていて、雪も止んだからか住民の方々は徐々に活動を開始しているような様子でした。

北陸新幹線と在来線で帰路へ

瑞龍寺から30分ほど歩いて新高岡駅に到着。雪の中を歩くのは疲れますね。北陸新幹線は無事動いているようで、待合室には同じく出発を待つ人たちがたくさんいました。豪雪という異様な状況下であってもやっぱり人が居ると安心します。

はくたか号に乗って長野方面へ向かいます。やって来たのはW7系で、自動放送のジングルがサンダーバードのそれと同じでした。これは知らなかったです。サンダーバードがなくなってもここで残るんでしょうね。

画像31

真冬には珍しく(?)車窓から立山連峰をそこそこ望むことができました。上の方の雲がなければ完璧でしたが、中腹あたりまでははっきり見えたので良かったです。

画像32

途中の糸魚川では停車中に車両除雪作業を行っており、作業に伴って湯気が上っているのを見ることができました。車内では、その湯気が車両異状ではない旨の説明がありました。確かに知らなかったらビビりそう。

画像33

飯山駅から先のトンネルを出て長野市内に入ると雪はほとんど見られませんでした。山を隔てているとはいえ、ここまで違いがあると先の豪雪がまるで嘘のようです。まあ前日もそうでしたが…。

新幹線は速い。あっという間に長野に到着しました。乗り継ぎまでに時間があったので駅の周りをうろうろしてみます。

画像34

長野でもう一泊して善光寺や松本城を巡るのもアリかなとも思いましたが、大雪で想像以上に体力と気力を奪われていたので直帰することにしました。

松本行きに乗ってどんどん南下していきます。スイッチバックと三大車窓で有名な途中の姨捨駅では、前年のほぼ同時期に行った時には見られなかった雪景色が!欲を言えばもう少し晴れててほしかったですね。

画像35

明科まで出ると積雪は一切なく、地域による差に改めてびっくり。もちろん松本でも雪はありません。雪どころか快晴です。

画像36

中央本線の西側は何回か乗っていますが、夕方に乗るというのと、塩尻から中津川行きに乗るのがどちらも初めてでした。

中津川で乗り換えた快速は、通過待ち等の間に車内保温のため両端のドアを締切にしていました。あまり見たことのない扉扱いで個人的には新鮮です。中津川から先はもう何度も乗った区間であり、つまらない一方で慣れているぶん安心して帰ることができました。「馴染みの路線」は大事ですね。

一つだけ失敗したかな?と思ったのは、この日が青春18きっぷの有効期間の最終日で、長野からの鈍行で使えたことに気付かなかったことです。結局は金券ショップ頼りにはなるのですが、探してみてもよかったのかも。鈍行でゆったり、終電近くになりましたが無事に帰ってくることができました。


今回、36年ぶりとも言われる大雪の中で多くの非日常な体験をできたことについてはとてもプラスでした。反面、体力的・金銭的に少し厳しかったうえほとんど何もできなかったのは残念でした。グルメも含めて、またの機会にリベンジしたいと思います。

それと、ちゃんと天気予報を確認して無謀なことはしないように…。今回で身に沁みて学びました。反省します。


次は、中国地方の内陸ローカル線に乗った話を書きます。

この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

気に入っていただいた方へ:サポートしていただけると大変喜びます。 皆さまのサポートで、私の行動範囲がさらに広がるかもしれません!