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旅行記 / 豪雪地帯 雪を見に行くはずだった列車の旅 (2020/01)

雪を見たい、ならば真冬に豪雪地帯へ行ってみようと。

私はほとんど雪を見ない地域に暮らしています。雪で毎年苦労されている方々にとっては、呑気な奴だと思われるかもしれませんが、自分の知らない世界には行ってみたくなるものです。お許しください。

前回の記事では列車と観光のバランスが云々と書いてはいましたが、今回は結局あまり観光はできず。東北旅行は往復自体に時間がかかってしまうのでそもそも観光の時間が取りにくいというのもありますね。その代わり温泉は二つ行ってみました。

で、肝心の雪について。最近は暖冬少雪傾向の冬が多いので、一ヶ月ほど前から降雪と積雪情報を注視していました。そろそろ雪が積もり始める頃か?などなど考えていましたが見事に期待は外れて…。

何に乗って、どこへ行ったか

● 主なJR路線:仙山線、左沢線、磐越西線、信越本線、飯山線、篠ノ井線、
       大糸線、北陸新幹線
● 主な私鉄路線:山形鉄道、飯坂電車、長野電鉄
● 主に行った場所:飯坂温泉、湯田中温泉、穂高神社
● バランス:[観光] ・・・★・[鉄道]

◆Day 1◆ 夜行バスと東北新幹線で仙台へ

この旅は夜行バスからスタートしています。私が言うところのDay 0からのスタートです。東北へはそもそも行くのに時間がかかるので、それなら夜の間に東京まで行っておけば時間もお金も節約できる!という魂胆です。

写真はオリオンバスです。新宿に朝6時前に到着するので、大宮まで出ても東北新幹線のはやぶさ1号に間に合うんですよね。重宝しています。

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一人旅で夜行バスを使うのは初めてであり、夜行バス自体も久しぶりだったのでわくわくでした。でもやっぱり熟睡はできない…。アイマスクと耳栓の完全装備で行きましたが、途中の停車で目覚めてしまいますね。

夜行バスは遅延の可能性もあって行程を組む上である意味「賭け」になるのですが、そうなったらその時に考えるということにして割りきっています。もちろん多少の時間の余裕は見ていますけどね。今回は問題なく定刻で到着して一安心です。

新宿から大宮まで北上して、大宮から一気に仙台まで新幹線で移動します。大宮で朝食を買って乗り込みました。はやぶさ速い。鼻が長くて写真うまく撮れない。

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この旅ではJR東日本の「週末パス」を利用しました。前日までにJR東日本の駅で要購入という関西人に優しくないシステムなので、関東に帰省していた友人に買ってきてもらいました。こっちでも買えるようになったらなあ。

ですがこの週末パス、そこそこ広い範囲の普通列車が乗り放題のうえ、特急券を買えば特急や新幹線にも乗れる優れモノです。第三セクター線や一部の私鉄線にも乗れてしまうんです。また使いたいお得なきっぷですね。購入の問題だけがどうしてもネックなんですが…。

仙山線と左沢線に乗っても雪はない

仙台から仙山線快速に乗って山形方面へ向かいます。仙台と山形がこうして結ばれているとは、半年前に時刻表の地図を眺めていて初めて知りました。普段全く縁のない地域ですからね。

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途中の愛子(あやし)までは学生さんが多かったです。そこから先、山形に行くには山を越えなければなりません。山越えの途中でちょっとぐらいは雪積もってるやろ?と思っていましたが、本当に「ちょっとだけ」でした。

山形平野に入っても雪はなく、冬の田んぼだけが広がっていました。緑色も何もない田んぼは物寂しいですね。北山形にて左沢線に乗り換えましたが、こちらも雪はゼロ。左沢(あてらざわ)は知らんかったら絶対読めん。

寒河江(さがえ)まで来ても雪景色どころかめちゃくちゃ晴れ。そういえばこの年、寒河江では雪まつりのために降雪祈願みたいなことをやっているとニュースで見ました。よほど少雪だったんですね。

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左沢はのどかな里山といった印象です。「最上川舟唄」発祥の地とのことで駅スタンプにも描かれていました。左沢に到着する前の車窓からも最上川が綺麗に見えます。

左沢線は「フルーツライン」の愛称が付けられており、左沢や寒河江などの駅名標にはフルーツが象られています。山形のフルーツと言えば私は最初にさくらんぼが浮かびますが、ラ・フランスも有名ですね。フルーツツアーを企画しても楽しいかも?

折り返し時間が短かったので、すぐに折り返しの列車に乗り込んで山形まで戻りました。山形からは奥羽本線を赤湯まで南下しました。こちらも見事なまでの晴れ、雪は一切ありません。雪国の冬ってこんな感じなんか…。

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※たぶん違います。

山形鉄道に乗っても雪はない

赤湯駅に降り立つと、何やらラーメンの横断幕らしきものが。赤湯駅のある南陽市はラーメン激戦区だそうです。恥ずかしながら知りませんでした。

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駅前の「どんぐり屋」でラーメンと豚丼のセットをいただきました。店頭ののぼり曰く豚丼はご当地B級グルメらしいです。もっと知りませんでした。

腹ごしらえを終えて山形鉄道に乗り込みます。路線名は「フラワー長井線」で、沿線に花の名所が多いからだそうです。車両も派手です。今回車窓から見えたのは大体何もない田んぼでしたが…。

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途中駅にはホームの向かいに木々が整然と並んでいるところもありました。防雪林だろう、という予想は正解でした。地域性を感じましたが、この日はその恩恵を感じられず。

終点の荒砥まで乗ってから、こちらも折り返し時間が短くすぐに折り返し。今泉からは米坂線に乗り換えて米沢を目指します。まさか半年以内に2回も米坂線に乗るとは思っていませんでした。ちなみに1回目の記事はこちら

米沢から福島までは普通列車の本数が少なく、新幹線に乗らなければ移動が難しい区間です。車内はそこそこ混んでました。

飯坂温泉でほっこり

JR福島駅を出て少し歩き、飯坂電車と阿武隈急行の福島駅に移動しました。同じホームからどちらの路線にも乗れます。写真には阿武隈急行の車両しか写ってないですけどね。

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飯坂電車も東急車両のおさがりなんですね。地方私鉄にはうってつけの中古車両なんでしょうが、頻繁に見るのでさすがに若干飽きが来ています…。

終点の飯坂温泉駅の周辺では川沿いに旅館らしき建物が連なっていました。こういう夕刻の風景、わりと好きです。もうちょい夕焼け感のある写真だともっと良かったかも。

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駅から歩いて数分のところにある「波来湯」にて日帰り入浴。浴場が小さく入場制限していました。地元の方々で賑わっていました。

福島まで戻り、郡山から磐越西線で会津若松へ向かいました。既に外は暗く景色は何も見えませんでしたが、一度乗ったことのある区間なので別に構いません。初めての路線に乗るのは明るい時にしたいですけどね。

会津若松駅では偶然、現在はもう只見線から撤退してしまったキハ40の姿を見ることができました。ばっちり写真に収めておきます。

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駅からお宿までの道中から鶴ヶ城(会津若松)が見えました。ライトアップされていて城全体が光っていました…。

◆Day 2◆ 磐越西線で新潟方面へ

お宿の場所の都合で朝は七日町駅から出発です。6時半頃の列車に乗り込むために早起き。外に出てみると一面の濃霧!暖色系の街灯に照らされている様子が幻想的でした。

豪華なAIZUマウントエクスプレス号の車両がやって来ました。会津若松までたった一駅ながら乗れて良かったです。この列車は会津鉄道の車両ですが、会津鉄道から野岩鉄道、さらに東武鉄道を経由して東京まで行けてしまうんですよね。すごい。

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会津若松からは新潟色のキハ47に乗車し、磐越西線で新潟方面へ。こちらも現在は磐越西線から撤退済みの車両です。写真は途中の山都駅での停車中に撮ってみました。乗っているのは左の列車です。まだ霧がかっています。

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結局、新潟県内に入るぐらいまでは霧が晴れませんでした。途中で並走している阿賀野川もうすぼんやり。峠を越えて平地の方へ下りていきます。

どの駅かは忘れましたが、列車交換のとき新型電気式気動車のGV-E400系とすれ違いました。現在ではこれが主力車両になっているそうです。最近はJR東日本の新型車両がどんどん投入されている印象です。

終点の新津で乗り換えて信越本線で新潟へ行きました。想定していなかったのですが仮設ホームの8番線に入線していきました。ちょっとレア感。

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今回は昼間に新潟駅に到着。以前来たときは夜~朝だったので、また違った雰囲気です。今回行ったのは万代バスセンター。名物のカレーを一度食べてみたかったんですよね。まあ余裕で食べれるやろ!と思って大盛りを注文。

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…したのですが、思いのほか大きな器で出てきました!次の列車があるので時間との戦いでもあり、爆速で食べることに。それでもめちゃ美味しかったですよ!新潟駅から徒歩15分ほど、皆さまも一度ぜひ行かれてみては。

薄暗いバスターミナル内なので(というか私の技術の無さで)美味しそうな写真を撮れなかったのが残念です。駅ではお土産の日本酒も忘れずに購入。

飯山線に乗ったらちょっと雪

満腹のまま信越本線と上越線で越後川口へ。雪はなく天気も良かったです。越後川口からは飯山線に乗り換えました。自分と同じく飯山線を乗り通すと思われる人々も十名ほどいました。大抵は「あ、この人は自分と同じ目的で乗ってるな」というのが分かります。

飯山線といえば十日町、津南、戸狩野沢温泉など雪の多い地域を走る路線。ぜひこの時季に行ってみたくて予定を組んでいましたが…。

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十日町では雪はほぼ積もっておらず、津南でも20cmほど。豪雪地帯の冬ってこんな感じなんか…(違います)。でも、逆に考えれば珍しい冬景色を見ることができたのだと思います。津南町あたりを抜けると再び雪のない風景に戻ってきました。

戸狩野沢温泉も雪が多いことで有名ですが、融け残りがわずかにある程度。遠くに見える山々は良い感じの白さになっていました。今乗ってきた列車はこの駅止まりだったので、乗り換え待ちの間に駅周辺を散策しました。

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次の列車に乗り換えて長野を目指します。戸狩野沢温泉から先の区間の方が短いので楽ですね。長野市の中心部に近づくにつれ乗客も多くなりました。

飯山駅は窓から見える駅舎が豪華でした。北陸新幹線との乗換駅でもあり、スキー客と思われる人々も乗り換えてきました。

湯田中温泉でほっこり

さて長野駅に到着です。前回来た時はまだ「長野新幹線」時代で、妙高高原方面の信越本線が健在でした。当時は長野から「妙高」に乗って直江津まで行きましたね…。高校の卒業旅行でしたが懐かしい思い出です。

長野電鉄に乗り換えて、この旅行で2回目の温泉地である湯田中温泉に行きました。ホームに特急が停車していたのですが、特急料金がたった100円であることを知らず、というかそもそもパッと乗っても良いのかが分からず、乗るのを躊躇しているうちに発車してしまいました。

結局、しばらく後の各停で行くことに。その間に日もだいぶ暮れてしまったのでちょっと失敗でしたね。信州中野駅で乗り換えて終点の湯田中駅に到着しました。

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ここにも雪はありませんでしたが、温泉で疲れを癒せました。近くの居酒屋にて地ビールもいただきましたよ。最高です。

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帰りこそは特急に乗りました。何か既視感のある車両やな、と思って調べてみるとJR東日本の成田エクスプレスの車両でした。足もとは冷えるかなあと思っていましたがそんなことはありません。なんと床暖房があるんですね!おかげで終点の長野まで快適に過ごせました。

◆Day 3◆ リゾートビューふるさとで安曇野を行く

最終日の朝は観光列車のリゾートビューふるさとを楽しみます。この列車は長野から松本を経由して南小谷まで連れて行ってくれます。逆向きの列車も設定されています。臨時列車ではあるので、運転日は事前にホームページでチェックしましょう。

途中で通る白馬や終点の南小谷(みなみおたり)は雪の多い地域です。さあどれほど雪があるのでしょうか。

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車内は思いのほか空いていました。そして、車内のモニターには前面展望の様子が映し出されます。運転席の後ろでかぶりつかずともその気分になれるのはありがたいです。

松本までの区間で通る姨捨からの眺めは日本三大車窓とされており、やはり景色の良さはさすがでした。雪化粧しているとどんな感じになるのかも見てみたかったですけどね。それともこの辺りは元々あんまり雪は降らない?

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リゾートビューふるさとでは姨捨で長時間停車をしてくれます。駅での一般列車のスイッチバックも見学することも可能。スイッチバックせずそのまま通過していく特急もありました。まあ定期列車からでも見れますけどね…。

松本に到着してこちらも再びスイッチバック、進行方向が変わります。列車予約をする際は左右どちらの景色を見たいか?で座席を選んでみると楽しいですね。私は松本~南小谷で進行方向左側となる座席にしました。

大糸線区間に入り、雪のない田んぼの中を走っていきます。山並みのほうは多少白かったです。途中の穂高駅では散策する時間が設けられており、穂高神社に参拝に行きました。残りの旅程の安全を祈ります。

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ついでに近くの団子屋さんで小腹を満たしました。店主の方に話を聞くと、やはり当年の雪はかなり少なくてこのような景色は珍しいとのことでした。

列車に戻って旅を続けます。信濃大町では駅ホームで信州名物「おやき」のふるまいがありました。車内に持ち帰ってホクホクのおやき(と車内販売の地ビール)をいただいてご機嫌です。

ちなみに「大糸」線はこの「信濃大町」と「糸魚川」から取られています。ローカル線はこのような命名が多い印象です。路線やその土地の歴史、また人々の暮らしまでも勝手に考えながら旅をしていると全然飽きません。

仁科三湖の横を通り、白馬に向かう峠に差しかかると雪が見えてきました。スキーをするには心許ない感じの積雪でしたが…。

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結局、白馬を過ぎるとまた雪のない状態に。今回本当に縁がありません…。

南小谷から残りの大糸線で糸魚川へ

13時に終点の南小谷に到着しました。かの備後落合もびっくりの何もなさ(失礼な表現ですみません)です。ちょうどご飯時に終点に着いて昼食を、と考えていましたがそもそも食べる場所が見当たりません。これはピンチ。ちなみに南小谷も積雪ゼロでした。

5分ほど歩いてみると「おたり名産館」を発見。ここしか選択肢はなかったようで、同じ列車に乗っていた方々もここで昼食をとっていました。途中でみぞれも降ってきて寒かったので温かい山菜そばが沁みました。

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ありがたい「営業中」の文字。前にある道路の交通量はそれなりでしたが、列車で来て周辺を歩く人などはほとんどいません。

南小谷でJR東日本とJR西日本が分かれます。3種類の車両が並ぶ時があるのですが、特急あずさの長編成とキハ120形(写真左ですね)が並ぶ不思議な光景でした。一方は12両編成の特急、もう一方は2両編成の気動車です。

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ここからJR西日本区間に入って単線非電化となります。姫川沿いをゆったり走っていきます。ここまでは観光列車も特急も走るよ!な区間だったのですが一転して急カーブも徐行も多い区間へ。あまりの大きな落差、もはや逆にわくわくです。途中駅の名所案内では「徒歩4時間」なる衝撃的な文言も。

2両編成のワンマン列車では、無人駅では後ろの車両から乗降できません。言い換えればドアが開かないので、駅に停まるたびに冷気が吹き込んで…ということがありません。寒い時季や混みそうな時にはなるべく後ろの車両に乗るようにしています。ちょっとしたTipsとして活用されてみては。

しばらく揺られて糸魚川に到着しました。小雨が降っており駅前はほとんど誰も歩いていませんでした。駅前アーケードではイルミネーションが光っていました。

海の方に歩くと展望台が見えてきます。上ってみると冬の日本海が眼前に!風は強かったですが、そこまで寒くはなかったので問題なく楽しめました。糸魚川ジオパークが少し気になったので、それを目的に一度来てみたいとも思いました。そういうのわりと興味あります。

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糸魚川から北陸新幹線で金沢へ。金沢からはサンダーバードに乗り京都まで一直線です。便利です。「e5489」では関西と北陸方面を割安で移動できる「WEB早特」が発売されているので要チェックです。ちなみに北陸新幹線は今回が初めてでした。


今回は雪をほぼ見られずちょっと残念でしたが、豪雪地帯の珍しい冬景色を見られたのだと思います。雪を見に行くという目的は北海道や只見線などでリベンジしたいと思ったのでした。只見線は全線復旧してからですけどね。
※同年12月と翌年1月の旅行でリベンジしすぎました。また今度書きます。

次は、東海地方の私鉄・第三セクター路線の話(第1弾)を書きます。


で、今回の旅行を終えて一ヶ月経った頃からCOVID-19の感染拡大が始まってしまいました。初の緊急事態宣言も発出され、4~6月に予定していた旅行をやむなくキャンセル。少し収まってきた7月頃からぼちぼち再開しました。

それ以外にも、目当てのイベントや臨時列車が中止されて延期にした計画もいくつかあります。代案は代案で面白い旅行となっていますが、ぜひ当初の予定でも行ってみたいところです。早い終息を願いつつ。

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