GPTでスパイスカレー(辛口)を作った
卵焼きしか作れないけどスパイスカレーに挑戦してみた
私は料理が苦手です。ジャガイモや人参の皮むきを包丁ではできません。
卵焼きぐらいしかできないので、ハンバーグとか無理です。玉ねぎみじん切りとか泣いてしまいますし。
世の中には沢山の料理本や料理動画が出回っていますが、自分の今のレベルにあったコンテンツを探すのは難しい時があります。例えば、スパイスカレーはスパイスに凝り始めた人が難しい凝ったレシピを沢山あげていますが、意外と卵焼きしか作れない人向けレシピにチューニングしたものをアップしている人は少ないです。
私は料理マニアじゃないしスパイスに凝らないけどお店で食べるようなスパイスの利いて汗だくになる辛口カレーが食べたいと思いました。
そこで、自分の情報をインプットし、GPTにレシピを考えてもらうことで、卵焼きしか作れない人なのに妻に「お店のカレーみたい」と言ってもらえたカレーを作ることに成功しました。
GPT活用のコツ:失敗しそうな状況は人間力で摘み取っておく
GPTは現実世界を知りません。現実で今日何が起きているか(ユーザーがどんなレベルか)まで把握したチューニングは行えません。しかし、膨大な情報を学習しているので、具体的に今はどんな状況で自分はどのようなレベルで何を目的とするか、を明確にインプットすると精度の高い情報を提供してくれます。
今回、私はGPTに情報を与える前に、そもそも以下の要素を除外しました。
1.自分が包丁さばきできない具材を候補に入れない
玉ねぎはみじん切りすると泣いてしまうのが嫌なのでハウス食品が販売しているペースト状に煮込み済の玉ねぎを使うことにしました。
包丁で皮がむけないので人参、ジャガイモも除外しました。ジャガイモは煮込む時間が伸びて料理の難易度が上がるからです。
つまり、人参・じゃがいも抜き、ペースト状の加工済み玉ねぎのみ使うという戦略です。
2.とことん楽をする
GPTはこうすれば楽ですよ、ともちろん言ってくれることもありますが、基本的に勤勉で真面目であろうとします。近道を言ってくれないカーナビと似たところがあります。(余談ですがカーナビはなるべく国道などを通させようとするアルゴリズム傾向が返って複雑だったり狭かったり事故率の高い道を案内するケースがあります)
今回の場合、私は調理を楽にするため、カット済のマッシュルーム、水煮ヤングコーン、ホールトマト(既につぶして箱から出せばすぐに使えるトマト)を選定しました。これらは料理を豪華にする一方で調理そのものは袋から出すだけで済むからです。
3.事前にパターン網羅してみる
今回、レシピを最終的に採用するまでに何度かGPTとディスカッションを行い、複雑だったり自分には調理不能な指示をするパターンがでてきたらなぜ出るのか原因を調べて、とことん迂回するようにしました。料理が始まってできそうにもないことをGPTが言い出したらお手上げだからです。
具体的には、フライパン1つしか使わないという制限を設けること、卵焼きしか作れない人と能力に制限を設けること、難しすぎる手順の場合は却下すること、を徹底しました。
最終的なレシピ
GPTはもっと長い文章で指示をしていましたが、要約すると以下のような内容で辛口スパイスカレーを作りました。
鷹の爪4本を種ごと細かく刻んで、刻みにんにく、刻みショウガ、油と一緒に弱火で2分炒める。
冷凍あさり、牛豚ミンチを加えて炒める。
牛豚ミンチが焼けたら、スパイス(ホットガラムマサラ、ターメリック、チリパウダー、ホワイトペパー)を加え、ヨーグルトを大匙2加える
野菜(カットしておいたパプリカ、しめじ、カット済マッシュルーム、ヤングコーン、白ネギ)を加えてしんなりさせる。
ホールトマト、ペースト状玉ねぎ(ハウス食品の加工済のもの)を加えて温まったら、水300ml加えて、カレールウ(辛口)を火を止めて溶かす。
味見して少し辛みがとがっていたので、豆乳50ml+牛乳50mlを加える。
弱火で10分煮込んで完成。
鷹の爪は本当に辛い
料理慣れしている人ならレシピでわかると思うのですが、私みたいな素人にはこれがどれほど辛いか、完成するまで分かりませんでしたが、GPTが鷹の爪4本は相当に辛いです。辛口に慣れてない人には挑戦となります。というので、辛口が大好きな我が家ならピッタリだと判断することができました。
鷹の爪4本は、かなり議論した部分で、鷹の爪2本がGPTの提案でした。しかし、汗だくになりたいという基準を追加すると、鷹の爪4本を細かくきざむと良い、ただし焦がすな、とレシピが変更されました。そして、マイルドにする方法としてヨーグルト、牛乳の提案がありました。
実際、食べてると大粒の汗が出るほど辛いのですが、食べた時の口当たりはトマトとパプリカ、ペースト状の玉ねぎのコクがきいており、痛いような辛さはありませんでした。
食べているとお腹が心地よく暖かくなってきて、スッキリする爽やかな辛さです。だからこそ、妻にも「お店の辛口カレーみたいで美味しい」と言ってもらえたのだと思います。
新しいことを始めるのに遅すぎるということはない。しかし、初心者は何ができないかと明確にしていくと成功しやすい。
GPTを活用して私は生活の大部分をアップデートしています。
運動オンチなのにフィジカル鍛えるために夫婦で縄跳びを朝はしていますし、ラジオ体操なども欠かさず実行しています。
料理を20年間やっていなかった上に卵焼きしか作れない人なのに辛口スパイスカレーに挑戦したり、長年慣れ親しんだ開発環境に固執せず、WPF
(C#+XAML)やGDScript(Godot)に挑戦したりしています。
それ以外にも、知らなかった減税手続きの知識を深めて、年間の納税額の減免請求に着手したり、何十年も完成品パソコンのメモリ交換すら辛うじてやれるレベルだったのが、今はパーツ1つ1つをゼロベースで調達して自作PCを何台も完成できるようにもなりました。
DIYにも挑戦しました。猫を2匹飼っていますが、二匹が喧嘩して危険なのでペットゲートを使えばいいと知りました。しかし、ペットゲートが2万円近くする割に住宅にあっているものか分からない可能性があり、オーダーメイドは8万円すると知って、GPTと共に道具の選定から初めて、総額2万円で自宅にピッタリあった最適なペットゲートをゼロベースから作り上げたのです。
GPTを使うと「初めての挑戦」へのハードルが激減します。シミュレーションを膨大に行えるからです。書籍、Google検索、YouTube動画、あるいはセミナー動画などは解決の助けになる場合もありますが、多くの場合、「できない時はこうしたらいい」という別ルートの提案力は、検索能力に依存します。GPTも質問力が必要ではあるのですが、それは検索能力を鍛えるよりハードルが低いです。なぜなら、知らないことを知らないと言うだけで具体的に教えてくれるからです。
1つの道を究めるのは難しいです。私は昔から器用貧乏の傾向があり、得意なことが何一つないマルチタスクプレイヤーのポジションで停滞することが多い人間でした。過去形で書きましたが今でもGodotの学習はゆっくりと進行しておりとても手際がいいとは言えません。そんな不器用な人間でも、たった1つの基準には胸を張って進歩していると言える相手がいます。それは過去の自分です。
他人と比べれば優秀な人が世の中には沢山いて、比較すれば評価に値しない前進しかできてないとしても、過去の自分よりかはマシな自分になれている実感があります。そうしたささやかな前進でも許せる人であれば、Chat-GPTの活用はオススメです。もっと厳しい基準を要求する人には、より厳しいタフな精神力とともに専門家をコーチングしてもらう万全の体制での自己鍛錬やトレーニングの道が良いと思います。私にはそこまでするほど、自分自身への投資の価値が見いだせないので、月額3000円(GPTの月額費用)程度で汎用的なコーチングをしてくれるAIでいいかな、と着地しています。
この記事は、ITエンジニアとしてエンジニアリングのためだけにGPTを使っていませんよ、様々な分野にGPTは使えるんですよ、という一例を知ってもらうために自分なりのスパイスカレーの経験を軸に記事を書いてみました。
GPTは生活の質を向上させることができます。仕事時間も短縮できるし、日常の些細な課題の克服や気づきを広げるにも役立ちます。
この記事が、GPTってよくわからないなーと思っている方に、とりあえず使ってみよう、という助けになれば幸いです。
それではまた、ごきげんよう。
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