二次会デミグラスソース/毎週ショートショートnote

カラン、と鳴らしながら扉を開ける。
「また来たなぁ。」
私達はカウンターに並んで座り、早速一次会の愚痴を言い出す。
「今日もハズレだったんだもん。」
「飲み会にはいい男は来ないのかも。」
マスターは笑って水を出す。
「うちハンバーグ店だよ？」
「いいの。さっきまで少食キャラやってたから。」
「僕はよく食べる娘が好きだけどなぁ。」
ワインと特別に小さめに作られたハンバーグ。私達の話を笑いながら聞いてくれるマスターが大好きだ。
ーカラン。
「あ、やっぱりまた来てたのね。」
いつも閉店時間の五分前に現実がやってくる。
「もうそんな時間かぁ。」
残っていたワインを飲み干す私を現実が笑う。
「ゆっくりしていいのよ？」
現実は優しくて綺麗で…残酷だ。

「よし、また飲み見直そう。」
諦めなくちゃって事は分かってる。
「マスターの奥さん、お腹大きくなったね。」
ほんと現実は残酷だ。
夜空を見上げたけど、星さえも見えなかった。

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