針ほどの月明かりー28ー
とにかく遠くへ。
適当に走って、少し歩いて、走って。夕陽は落ちてもうすっかり暗くなっていた。お店も家も無い道に時々ぼわっとした電灯が浮かび僕たちの足元を照らしてくれる。電灯を頼りに歩いていると何かを蹴飛ばしてしまった。何かは暗闇でガサガサと枯れ葉の上を転がって止まる。石ほど硬くはない何か丸いもの。近づいて拾い上げる。大きな松ぼっくりだ。
「真白、松ぼっくりだよ。」
手に持たせると真白はじっと見て、ほかにも落ちていないかと道路を探し始めた。僕も暗い道路を見つめる。アスファ