針ほどの月明かりー24ー
風は冷たいし辺りも暗くなってきた。苛立ちから舌打ちをしながら歩く男はまだ幼い兄妹がこんなに遠くまで歩くだろうか、俺は方向を間違えたんじゃないかと思いながら周囲を鋭く見回す。
何か子供の通った跡は無いか。
何か子供の興味を引くものは無いか。
通りの向こうの小さな公園で鮮やかな水色の物が動いたのが目に入った。立ち止まりじっと見ると水色の横にピンク色も見えた。草は枯れ、葉が落ちた茶色ばかりの公園で目を引くその鮮やかな二つの色は…子供だ。そうら見つけた。もう逃がさねぇぞ。男は水色の服を着てランドセルを背負おうとしている子供に大声をあげた。
「おい。」
え!?サポートですか?いただけたなら家を建てたいです。