シン・ツキミ絵本 高学年におすすめ秋の絵本

秋のお月見シーズンになると、お月様をモチーフにした絵本を多く見かける。比較的新しい絵本を紹介。いつもの定番絵本の合間に、ちょっと違うこんな絵本はどう? と高学年の子たちにもおすすめしたい。

つきみのまつり


羽尻利門 世界文化社 2023年8月刊

旧暦の8月の十五夜に日本各地で行われるお月見の行事、観月祭の様子。徳島県阿南市の津峯神社(つのみね)神社が舞台。
山の上にある神社の境内で行われるお祭りを見に行く様子が描かれている。
神社に行くために、リフトに乗る。後方に町の明かりが見える。夜、お月様の明かりに誘われて、非日常の高い場所で子どもたちが見たものは。
まず、夜空の色がとても深く、濃く、暗いのが印象に残る。都会から離れた場所の夜空はこんな色だったなと、引き締まった深い青に見慣れたころに、明るい色のファンタジーが降ってくる。
神社のお祭りや行事が気になったら、同じ著者の『神社のえほん』(あすなろ書房)もおすすめ。

音楽をお月さまに


フィリップ・ステッド 文 エリン・ステッド 絵
田中 万里 役
カクイチ研究所 ぷねうま舎 2021年4月刊

原題は ”MUSIC FOR MISTER MOON” 
古くから多くの芸術家が月を愛でながら音楽を奏でてきたけれども、この絵本の主人公はどうだろうか? 
ハリエットはチェロを弾く子。両親は将来、オーケストラで弾くのを楽しみにしているようだけれども、ハリエットはただ自分のためだけに弾きたい。
夜、せっかく一人になって弾いていたのに、窓の外でフクロウがホーホー鳴くのが気になり、穏やかではない事件が起こる。
月の明かりに照らされた不思議な夜の時間。脇役のセイウチがなんて素敵なのだろう。
裏表紙の絵は原題にぴったり合うと思う。

絵が淡い色で細かく描かれているため、大人数の読み聞かせの場合は絵が見えず不向き。
以前おすすめした『エイモスさん』のコンビによる絵本。大人も、子どもも、一人になりたい夜にどうぞ。


 


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