嘉津

中年期の今、思ったことと、絵本、児童書を中心に書籍のことを書きます。昭和の日本の絵本の…

嘉津

中年期の今、思ったことと、絵本、児童書を中心に書籍のことを書きます。昭和の日本の絵本の力強いタイトル文字の形、洋書絵本を開いた時の香り、アジアの絵本、鳥の本、豆本が好きです。かづと読みます。宜しくお願いします。

マガジン

  • パスワード解除のための覚書

    あるアプリにログインできなくて、困っていた時に思い出したあれこれ。残念ながら、実際に使っているパスワードとは一切関係ないです。

  • たんたた短歌

    ちょっとした時間で楽しめる短歌とお話。

  • 乗換駅

    振り返ると自宅や職場の引っ越しが多く、いろんな町とご縁がありました。行先のわからない旅の途中の乗換駅のような、繋がりをたどるエッセイです。

  • 新規で昭和の仮面ライダーと出会う

    東京MXテレビ金曜夕方放送の、昭和の仮面ライダーを初めて観る新規ファンのメモ。昭和の天然色の景色を、令和に眺める時間の記録。

  • おうち読書。絵本、読み聞かせまとめ(絶版含む)

    おうちで楽しむ絵本の紹介。昭和、平成に出版された、元気な絵本たちを中心に紹介します。すでに絶版のものは図書館、中古書店などでお探しください。

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1年生同士で、朝の待ち合わせをさせない方がいい理由

 ドアを開けて、4月の朝の空気を吸い込む。  防犯ブザーや鈴がランドセルにぶつかる音と、小学生の足音を聞くと、思い出すことがある。        * * *  十年以上前、うちの子が小学校に入学した。  最初から近所に友達がいた方が安心だ、1年生同志で待ち合わせをして、学校まで一緒に行ってもらおうと思った。  そこで近所の同い年の子の親御さんに声をかけて、7時45分に待ち合わせをしてもらうことにした。余裕を持って着くよう、少し早めの時間。  うちは保育園、相手は幼稚園出身

    • 名前をおしえて 

      新学期、クラス替えをしない場合はやらないが、新しいクラスでは自己紹介をすることが多いだろう。 子どもの学校でも、自己紹介のカードを書くという宿題があった。 個人情報を守るという観点から、名前を書かずにイニシャルにするように、と言われたそうだ。当然、同じイニシャルの子も複数出てくるはずだけど、教室の中の子どもたちの間では区別されるのだろう。 カードは教室のうしろの壁に貼っていた。 のちに、成績上位の子の表や、宿題を未提出の子の名前が廊下の掲示板に貼ってあったりしたのを見かけた

      • たんたた短歌【お題】重さくらべ

        着払い届いた教科書そのままで  背中が軽い15の春  学生はいつも背中に重いものを背負っている。  自分もそうだったし、どうしようもないと思いつつ、保護者会や面談で、”荷物が重たそうだ”と現状を伝えるようにしている。せっかく〖荷物が減らない問題〗を声に出してみても、季節の挨拶のように交わされてしまう。とくに新学期は。限られた時間で、進路の話や、もっと重要な話をしなければならないからだ。  個人差はあると思うが、通学時に一番荷物が重いのは小学生の高学年か、中学生かと思う。重

        • 2023年刊ベスト絵本、更新中

           絵本を売るのがますます難しくなっていると思う。そんな時代に、比較的小さな規模であろう出版社が、翻訳絵本の出版に挑戦をしているのが目立った2023年だった(偉そうですみません)。2年目となった今回も、あくまでも個人的に自分のために選んだ絵本を紹介する。 第8位 ニコラ・テスラものがたり:”電気の魔術師とよばれた男”アサデー・ウエスターガード/作 大山泉/訳 評論社/刊 2023/04/24 クロアチアで生まれたテスラは、アメリカにわたり、エジソンの会社で働くようになる。発

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          4桁にかけられた魔法

           10代の時に、初めて受験番号をもらった。そのあと教室で番号を見せ合っていた時のことだ。  学校によって違うと思うが、当時は4桁の数字が多かったと思う。 最初は、5055を、『ゴーゴー合格』みたいなことだった。ある女子が休み時間に、周りの人の受験番号を見て、ポジティブな語呂合わせを始めた。  『いいね』と、彼女の席の近くにすぐに行列ができた。 携帯番号の下4桁占いのような? いや、よく当たる占いの行列のようだった。  自分も並んで見てもらった。  ”3716” 数

          4桁にかけられた魔法

          子どもの頃の夢、の答えが見つからない

          子どもの頃の夢は? この問題に頭を抱えるとは思わなかった。 問題1) タブレットが見つからない 昨年末に、リビングに置きっぱなしだった古いタブレットがなくなったことから始まった。 問題2) パスワードがわからない NHKのアプリにパソコンでログインしようとしたらログインできない。パスワードのメモを間違えて書いていたようだ。 問題3) 自分で設定した質問の答えがわからない パスワードを忘れた場合に をクリックすると、自分で設定した質問に答えるようになっている。 パス

          子どもの頃の夢、の答えが見つからない

          視野が広がったストロンガー

           1月から仮面ライダーストロンガーが始まった。ここ数年、ひっそりと週1ペースで再放送を続けている東京MXテレビに感謝している。  カブトムシがモデルのストロンガーは、明るいグリーンの眼が大きく、視界が広い。肩からついている筋肉を表現するパッドも軽そうだ。初期と比べると、スーツアクターは動きやすくなったはず。  ストロンガーは、電気の力を持っている。普段は黒い手袋をしていて、いざという時に外す。両手がコイル状になっていて、こすり合わせると発電する。この電気の力が武器となる。

          視野が広がったストロンガー

          逃げろ、モグラ獣人

           それまでの仮面ライダーに比べて、仮面ライダーアマゾンは変身までに時間がかかる気がしている。私は『アマゾン君(人間の方)の怒りが、ある程度の量に達しないとアマゾンに変身できない』という仮説を立て、週1回の再放送でのんびり検証している(本当の調査なら、ストップウォッチ片手に調べるべきだが、あくまでも本人調べで)。  そんなアマゾン君の怒りは、第20回『モグラ獣人 最後の活躍!!』では比較的早い時間にピークに達していた。  モグラ獣人は鼻の先に花のような器官が付いている。赤いか

          逃げろ、モグラ獣人

          石版印刷を紹介した絵本

          『デザインのアトリエ 石版印刷』、前回は扉の注釈でわくわくして終わってしまった。今回はその続きで。 見返しには道具類が並ぶ。 前見返しは赤地。刷毛、万年筆、鉛筆など。 後ろ見返し青地。ローラー。 これらの道具類は後から加わったもので、石版印刷は約200年前に偶然、誕生した。生み出したのはドイツのアロイス・ゼネフェルダーという演劇を志す青年。1796年に石版印刷の実験に成功し、自分の戯曲を石版で印刷したという。 印刷博物館のHPによると、日本では石版印刷機はすでに幕末の頃

          石版印刷を紹介した絵本

          【たんたた短歌】オレンジ色はつよい

          もういちまい ほっとけーきを つみあげて  はこんでくるよ オレンジのこ  うちの絵本の本棚は、西陽があたる場所に置いてあるのだが、『しろくまちゃんのほっとけーき』*は元気なオレンジ色だ。黄色みを帯びた本は背が焼けやすいのに、背と表紙は色あせない。 主人公のしろくまちゃんは、眼の周りがオレンジ色のふちどりがある。 クライマックスのホットケーキが焼けるまでのあの場面。次第に焼けていく様子を表現したふらいぱんが11個と、皿に載ったホットケーキが並ぶ。この名場面の背景も、ラッキ

          【たんたた短歌】オレンジ色はつよい

          注釈だけでわくわくする絵本

          以前、グラフィック社から出ている活版印刷の絵本を紹介したが、石版印刷のバージョンもある。 『デザインのアトリエ 石版印刷の絵本』 見返しの裏に、小さな文字が日本語で並んでいる。ほんの数行なのに、気になる事柄が多すぎる。 *底本とは、この本では印刷の原本という意味だろう。 **ユセル博物館(Musée du Pays d'Ussel)を検索してみると、石版画を刷っている様子の写真が何枚か出てくる。 何人かの人が石版の前にいる写真が複数見つかったのだが、これらの人は石版画の

          注釈だけでわくわくする絵本

          うちの世界地図は曲がっている

           うちで”地図”といえば、トイレに貼ってある1枚を指す。 最初はリビングに貼っていたが、誰も見なかった。実家から運んだ地球儀もあったが、窓際においていたせいか、光をたっぷり浴びて紙が剥がれて処分した。  トイレにはアルファベットや日本地図を貼っていたが、経年劣化で端っこがめくれていた。  そこで、防水性のある大きな世界地図に買い替えて、トイレに貼ることにした。  残念なことに、うちのトイレは狭く、壁も狭い。つまり、大きな地図を貼ることができないということを、買って広げてから

          うちの世界地図は曲がっている

          翻訳絵本は原題もたのしみたい

          翻訳された本を読むとき、最初に原題も見るようにしています。読んだ後も、再び題名を見て、著者はひょっとしたら、こんなことを描きたかったのかな? と自分の中で再確認したり、補足したりするのも楽しみの一つです。 調べてみると、絵本のオリジナルの題名は、シンプルな文や単語の場合が多いです。 シンプルな分、日本語の題名を考えるのが難しい場合があると思います。そのまま置き換えただけだと、内容が伝わりにくいことが多いです。簡単な単語ほど、実は他に違う意味を持つ場合があったりします。そんな

          翻訳絵本は原題もたのしみたい

          【たんたた短歌】 滑り台の下で待つ  

          あと三回 しろくまちゃんを 待ちながら  ふらんすぱんの 香りすいこむ 公園で子どもと遊んでいたとき、地元のFMラジオ局の方に『最近映画を見ましたか?』とマイクを差し出されたことがあった。 ちょうど『あと3回滑ったら帰ろうね』としろくまちゃんの母親のように声をかけていた時だった。もうとっくに昼ご飯の時間を過ぎている。 1回ごまかしたりすると、子が機嫌を損ねてしまい、かえってその後の段取りに悪影響だ。あと3回ね、と約束した後は、”無”の状態で待つようにしていた。 少し考え

          【たんたた短歌】 滑り台の下で待つ  

          大相撲を支える人たちの小さな本

          知れば知るほど 行司呼び出し床山 相撲編集部/編著 ベースボール・マガジン社/刊 先日は、子ども向けの相撲の図鑑について紹介したが、さらに詳しく知りたくなった方にこの本をおすすめしたい。 この本は、相撲を支える裏方の仕事の人たちが主役の本だ。行司、呼び出し、床山、そして伝統的な衣装や道具を作る職人の仕事が写真付きで紹介されている。 行司の項だけでも、歴史、装束の違い、着付け、衣装コレクションから装束を扱うお店、草履の職人、軍配コレクション……。 かなり広範囲にわたって知

          大相撲を支える人たちの小さな本

          活版印刷を紹介した絵本

          デザインのアトリエ 活版印刷 ギャビー・バザン/著 みつじまちこ/訳 グラフィック社 2022年刊 新しい本を手に取ると、インクの香りをかぎたくなるが、活版印刷の古い本を手に取ると、息をとめる。それから、文字の凹凸にそっと触れたくなる。文字が並んだ枠を思い浮かべる。でも、そんな機会は減ってしまった。今となっては貴重な、活版印刷についての絵本。 まず、仕事用のエプロンを抱えたフランスの印刷工房の主人が現れる。この方が、活版印刷について解説してくれるというスタイルをとっている

          活版印刷を紹介した絵本