電子は水底へ 4
オリジナルの長編SF小説です。
~あらすじ~
近未来の世界で庭師として生きるアンドロイドが、ある日、巨大で奇妙な白い繭を見つけ、大事件に巻き込まれていく。逃亡中に重大な秘密を知り、苦悩からヒトを開放する手段を見つけるため、旅に出るが……
※週に1~2回ほどの頻度で更新いたします。
※少し残酷な描写がございます。苦手な方や、18歳以下の方の閲覧は推奨しません。
※14~17回ほどで完結する予定です。
【電子は水底へ 1 】【電子は水底へ 3 】⇔【電子は水底へ 5 】
目の前の暗闇に繰り返し白い粒が降りおちる。残像を残して落ちる白と白。不吉な色のような気がして、目線を下に逸らした。ほぼ同時に、後ろの引き戸の中から怒号が響いてきた。
この低めの声は赤沢だろう。居間の中では、会議が行われている。棚橋は頃合いを見て呼ぶからと、私を部屋の外に出した。
実働部メンバーに得体の知れないアンドロイドの私が加わることに、激しく抵抗する赤沢の姿は容易に想像できる。ここに残れないのであれば、街に戻ろう。
あの懐かしい屋敷のある街で、密やかに生きる道を探そう。静かに決意していると、引き戸が開いた。
多屋に招きいれられ、全員の注目を浴びる。暖炉の薪の爆ぜる音は、こんなに大きかったろうか。全員が着席している大きな楕円形のテーブルには、地図や書類が散らばっている。
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