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ガラスのポケットの中には、炭酸ハート

お盆といえば、詩の詰め合わせ。ということで今回は詩を5編、短いお話を1つ、お送りいたします(´▽`)

今回は、言葉の添え木様からのお題と、あったらノベルズ様(noteでは、あったんだノベルズ様)のお題に挑戦した作品を載せております。
あったらノベルズ様は、Twitterで架空タイトルと架空の小説家(一小説家)の名前をお題として上げておられます。ぜひぜひ、お二人の楽しいお題に挑戦してみてください~(*´▽`*)




ポケットの中

ポケットの中身を入れ換える日が

やってきた

持ち歩いたもの

右から左に並べて

持ち歩くもの

左から順に収めてく


ポケットの中身は並べられ

手に浸透して消える

重いものも、軽いものも

幽かな感触だけを残す



炭酸

気泡のバルーンに乗りたい

底から水面へ、浮上

氷の島の上で、寝そべって


透明な炭酸サイダー、また注がれて

対流して

また浮かんで

弾けて 笑って 空気を吸って

夏を思い出す

炭酸ライダーになりたい



今日

今日は昨日、明日で

今日は明日、昨日で


今日は七夕で

アルタイルとベガは

スワンボートで銀河を渡る


今日はそろそろ昨日になるけど

七夕は

じゃあ、またねって

帰っていく



あったらノベルズ様お題
中埜さくら「桜の哀しみが、向日葵になるのでしょう」

一本の細い桜の木に、今日も水をやる。

もう生き物が住めなくなった地球から、かろうじて月に持ち帰えることができたのは、一本の弱った桜の苗木だけ。

桜の遺伝子を解析して、地球の向日葵の種を作れるようになった。

「君のおかげだね」 きっともうすぐ枯れてしまう桜の枝に、そっと触れた。



ハート

頭蓋骨の中にあるんだ

ハートは


君のぶっきらぼうな声と言葉が

行き場を失って 私のハートに

ぐわんぐわん響くから


君のパズルの箱のような

ハートが解きたくなる

ちっとも解けないけど


むすっとした君の表情

どこかにある私のハートが

振動



ガラス(オリジナルお題)

どうやらガラスは液体らしいと

夏の夕焼けのカラスが歌うから

眼鏡のレンズを拭きながら

そんなまさかと返した


畳に散らばるビー玉たちも

古い家で揺れる風鈴も

落下途中のワイングラスも

ガラス

ガラスが液体ならば

君たちは何者だったのか

かつて私が触れていた君たちは

私の手を抱擁してくれていたのか


私はなぜ、液体ではないのだろう

実は

液体かも


そんなまさか

夏のカラスがまた鳴いて

私は眼鏡をかけ直した



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