なくしてしまったモノに なんて声をかけたらいいのだろう なくなってしまったモノの その気持ちは分からない その面影は、嬉しいようで その一瞬後には、寂しさで襲う なくしてしまったモノに 謝罪は届かないし なくしてしまったモノの 願いは 残されたモノの 願望でしかない なくして分かること それは 話す。触れる。笑う。 ただ、この世に 大切なモノが存在している それは、本当に かけがえのなく 当たり前じゃなく 大切なんだってこと
桜が少しづつ散り始めた4月。木漏れ日が頬をなでる電車の中に俺はいた。 なんだかいてもたってもいられなくて。 一人きりでいるのが耐えられなくて、電車に乗って、見知らぬ町に向かっていた。 失恋したての心は、ほんの小さな振動で大きく揺れ動いて、自分でも持て余す心に困っていた。 恵美との一番多い思い出は、自分の部屋だったから。自分の部屋なのに、自分の部屋にいると、思い出につぶされそうで、あまり部屋にいないようにしていた。 過ごした時間が長いだけ。恵美を大切に想っただけ。
寒い冬はキット、誰だって温もりを求めてる。 寒い北風をほほに浴びて、私は前かがみで、そそくさと家から飛び出した。 大学の授業がない月曜日。 私は少し遠出しようと、朝から家から居なくなる。 私には、家の中の方が寒いんだ。居心地が悪くて、どうにも居た堪れなくなるから。北風に吹かれたって、ここより寒い場所はなかったから。 私の家では、ずっと喧嘩が耐えないでいる。 妹の紗希はずっと家で引きこもっていて、すでに3年は殆ど外に出ない生活をしている。 紗希はよく泣
手元にあるのは、アルバムだった。 輝く二人の笑顔。そんな写真達だった。 そんな写真一葉一葉に、なにかしらのコメントが書き添えてあったりする。 二人の笑顔がまぶしい。はにかんだ二人の笑顔の写真には 「7月8日 トシユキとキキ。」 と書かれていた。 そんな写真をボーっと眺めながら、少しづつ夕日に傾こうとする太陽と一緒に、私は電車に揺られていた。 急行じゃなきゃ止まらない、小さな駅を降りて、小さな商店街を抜けたとこ。 夕日のよく似合う路地を、2、3回曲がって、駅か