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電子は水底へ 5


オリジナルの長編SF小説です。

~あらすじ~
近未来の世界で庭師として生きるアンドロイドが、ある日、巨大で奇妙な白い繭を見つけ、大事件に巻き込まれていく。逃亡中に重大な秘密を知り、苦悩からヒトを開放する手段を見つけるため、旅に出るが……

※週に1~2回ほどの頻度で更新いたします。
※少し残酷な描写がございます。苦手な方や、18歳以下の方の閲覧は推奨しません。
※14~17回ほどで完結する予定です。

電子は水底へ 1 】【電子は水底へ 4 】⇔【電子は水底へ 6 



子供や使用人のすすり泣きが響く大広間で、赤沢と棚橋は淡々と任務を進めていく。

豪邸の主人を銃で脅迫し、隠し財産を奪おうとしていた。シルクのガウンを着ている小柄な主人は、鼻先に突き出された携帯端末機と二人の顔を、酷く狼狽しながら見ている。

突然黒服の5人組に手あたり次第に家財を破壊された主人は、なかなか現状を理解できない様子だ。

マシンガンを構えながら、周囲の安全を念入りにチェックする。シンプルなピアスのような、白い小型ワイヤレスイヤフォンから、佐原と多屋たやの無事を知らせる声が聞こえた。

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