高校時代、美術教師に一目惚れした。

先に言っておくと、
後の夫である、という話ではない。
そんなロマンチックな話ではない。



高2になったばかりの頃、選択教科の美術を選択した。

当時も絵を描くことが好きではあったが、
運動部に所属していたため、片手間であったし、
集中して絵を描いたり、ましてや美術系の大学を目指そうなんて考えすらなかった。




軽い気持ちで美術を選択しただけだった。


その美術の授業の教員に、
最初の授業で一目惚れした。


わかりやすいようにK先生としよう。

その先生は一つ上の学年で副担任をしていたため、
直接的な関わりはなかったのだが、
たびたび先輩方からK先生の話題を聞くことはあった。

見た目がかっこいいとかではないらしいが、どうやら30代の若めな先生で、
冗談もわかるし、生徒との関わりも多く、優しい先生のようだった。

先生の話をしてくれた先輩方も
K先生のことを慕っているようだった。


そんな事前情報がうっすらと頭の中にあったので、
第一印象は
  「…この人が、あのK先生か。」     
だった。

確かに優しそうだし、話もわかりやすいなー、と思いながら授業を聞いていた。

最初の授業だったので自己紹介を交えながら
チョークを持ち、




黒板にサラサラ〜っと板書をしていく先生。






気づいたら、
黒板に大きく


ルパンが描かれていた。





その瞬間、
「この人、好きだ…!」  と思った。






人間て
少女漫画みたいに人を好きになるんだなあ…と
思った経験である。



私は恋愛体質とは真逆のタイプの人間なので、
恋愛要素が脳内にちらつくと
挙動不審にしかならない
残念な女子高生だった。


挙動不審のクソダサ女子高生が誕生した瞬間であった。

その後は、授業中の多少の会話くらいしか
K先生とは接点がないまま高校を卒業した。

ちなみに私が通っていた高校は
女子校だったので、
他の若い男性教師に
ガチ恋していた同級生もおり、
付き合ってるらしいよ、とか
卒業後に結婚した、という話も聞くこともあった。
校長の奥さんは元生徒、だとか。
一昔前の話なので、そんな時代だったのだろう。



同年代のあの男子がかっこいいとか、
隣の男子校のあの人気になるんだよね、とかの話は当時よく友達にしていたが

K先生のことが好きになったことは今まで誰にも言ったことがなかったし、
K先生も選択授業で週一だけ見かける生徒のことを覚えてもいないだろう。



恋愛的に「好き」と思ったというよりは、
絵を描く大人、絵を仕事にしている大人が
魅力的に思えたのかもしれない。


実際、K先生に会ったことで「美術系の大学、っていう選択肢もあるんだな。」と視野が広がり、美術系の大学を調べるようにもなった。良い出会いだったんだなあと思う。


ブラックな思い出しかないと思っていた高校時代だが、
思い返すと、こういう小さな出来事が
後の人生の選択に影響していることもあるんだなァと気づくこともある。


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