スクールカースト下の下だった私がちやほやされるようになっても
スクールカーストなるものの下の下だった私は
菅田将暉の歌う「まちがいさがし」のまちがいの方ですらなかったと思う。
中学生になった頃から少しずつ太り始め、高校生の頃はまん丸だった。
加えて性格は根暗で非社交性100%!
ごくごく親しい人にしか心開かず、またかなり重度の中二病を患っていた。
太宰や芥川を愛読し、死に憧れていた。
内向的ですごくとんがってて、振り返ると恥ずかしさで地球の裏側まで穴掘るか、死にたい気持ちしか湧いてこない。
うん、自分だってその頃の私とは友達になりたくない、かもしれない。
いじめられてはいなかったけれど、同級生の男子は明らかに私の隣の席になるとテンションだだ下がりだったし
体育祭のフォークダンスでペアを組むときは小指しか繋いでくれなかった。
悲しくはあったけれど
「私は可愛くないしそんな風に扱われても仕方ない、そういうものなんだ」とそこに反発や怒りは感じていなかったと思う。
ただ、男子が苦手だった。
もちろん普通に接してくれる人も多数いた。
でも決して親しくなることはなかったし、
高校時代はもちろん彼氏などいなかった。
幸い同級生の女子たち、カーストの上位にいる華やかな子たちもそんな私と仲良くしてくれ、今でも数人とは連絡を取り合っている。
大学に進学し、入学式の日に他の女子は一歩歩くたびサークルの勧誘を受けていたが、見た目まん丸で化粧もしていない、田舎者丸出しの私に声をかけてくるのはごくごく一部の人たちだった。
ああ、やっぱりそうだよね。
わかってる、半ば諦めに近い気持ちでそんな風景を眺めていた。
合コンや彼氏できたという話題とは無縁に過ごしていたけれど
親元を離れ初めての一人暮らし
自炊で気付けば10キロ近く痩せていた。
華やかな人たちではなかったけれど、好きな本や趣味の合う友人もでき
少しずつ化粧も覚え地元にいた頃とは別人、とまではいかないけれど
初めて参加した合コンで連絡先を聞かれたり、前みたいに男性を苦手と思うことは少なくなっていった。
時は過ぎ、30代に突入した頃、SNSを通じて高校の同級生たちと繋がった。
卒業以来、同級生男子とは誰とも会っていなかった。
再会の機会が訪れた時、一番に思ったのは
私のことなんて誰も覚えてないだろうということ。
もし欠片くらい思い出したとしても、「可愛かった⚪︎⚪︎ちゃんと仲良かった子」とかそんな感じだろう。
いや、それならまだいいけど大人になった今でも少し避けられたりしたらどうしよう。
不安だった。
以前より痩せたし、社交性も多少は身に付いたと思う。
自分の好きなことだけしか関心を示さない、とかそういうこともなくなったし。
勇気を出して実際に会ってみれば、高校の時どうだった、とかそんなことは関係なく
みんな和気藹々と飲んで食べて楽しい時間を過ごすことができた。
予想通り、男子はほぼ私のことを覚えていなかったし、覚えていた男子も
「面影ないね、変わったね」
と驚いていた。
以前とのギャップが大きかったのか
一部の男子からはちやほやされるようになった。
「可愛いね、綺麗だね」
嬉しい、とか見返してやった、みたいな気持ちはなかった。
ぽつんと胸に湧いたのは
「あの頃と中身はほとんど変わってないのにな」
というなんとも言えない寂しさだった。
もちろんそれを責める気持ちはない。
悪気があって言ってるいるわけではないと思うし
私自身、誰に対しても平等でかつ見た目に左右されていないか?と問われればそうとは言えない。
美人で人気のある同級生と仲良くしていることに
多少の優越感を持っていたではないか。
同級生の男子の半数くらいに好かれていた友人も
心の中では同じ思いを抱えていたのかもしれない。
自分だって同じ穴の狢なのだ。
少しずつ、同級生との集まりから足が遠のいた。
ルッキズムなんてクソくらえだろ!
でもその呪いに私たちはかけられている。
ただの肉体を作る器官の一つのはずなのに人は
目が大きい、一重か二重か、鼻筋が通っている、唇が薄いだなんだと美醜でランクを付けたがる
「本当の美しさや優しさって何?」
今日も答えの出ない問いを自分に問い続けている。
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