嫉妬と小倉トースト
久しぶりの休日、コメダ珈琲の隅っこの4名席。
わたしは今、小倉トーストをやけ食いし終えて、ゆっくりとカフェオレを飲みながらこれを書いている。
やけ食いの理由は、ついさっき。
一時間ほど前の 心乱される出来事だ。
2週間ぶりに偶然見かけた彼氏が、隣に可愛らしい女の子を連れて、とびきりの笑顔で談笑しながら歩いていたのだ。
しかも、半径7メートル以内にいた私には全く気が付かなかった。
全く気がつかない彼は、ステキな笑顔で女の子をエスコートしながら仲良くカフェに入っていった。
ものすごく誤解を生む表現をしたけれど、彼はただ仕事のためにカフェに入っただけだ。
女の子も、クライアントみたいなもの。
わかってる。
でも。
なんというか、面白くない。
全然面白くない。
本当は私もそのカフェで休日をゆったり過ごそうと思っていたのだけれど、仕事をする彼に遭遇してしまったからには、ここには居られない。
私のポリシーの1つに、恋人と仕事は絶対に交わらせてはいけない、というものがある。
恋愛が少しでも絡んでくると、途端に仕事はやりづらくなる。仕事に真剣な時ほど、プライベートなあれこれは切り離しておくべきだと思っている。
…ということで、モヤモヤした心を抱えたまま車を走らせ、この街にもう一つあるコメダ珈琲に逃げ込んだ。
そう、お気付きの通り。
彼等が入っていったのも、コメダ珈琲だ。
厚切り小倉トーストを食べながら考えたのは、嫉妬という気持ちって、案外面白いなということ。
昔は嫉妬するなんてみっともないと思っていたし、何があっても嫉妬なんてしない いい女 になりたいと思っていた。
でも、こうして久しぶりに嫉妬という感情に揺さぶられた時、イライラやモヤモヤはありつつも、どこかで「これこれこの感じ!すごく久しぶり!」と感動した自分がいた。
嫉妬でモヤモヤしているわたし。
モヤモヤついでに小倉トーストをやけ食いしているわたし。
普段はなんとなく恥ずかしくて遠慮するけれど、今日は堂々と厚切りでオーダーしたわたし。
感情に揺さぶられて、いつもと違う行動をしてしまうわたし。
あぁ、わたし今、ものすごく恋愛を謳歌しているかもしれない!
恋愛を謳歌する自分に浸りはじめた頃には、小倉トーストもすっかり姿を消し、心のモヤモヤも綺麗さっぱり消えていた。
わたしも、可愛い女の子と話をしたい。
爽やかなイメケン男の子も捨てがたいけれど、どうせなら可愛い女の子と話がしたい。
それで、彼氏の愚痴とか聞きたい。
わかるー男の人ってそういうとこあるよねーとか、わかったような口ぶりで共感してみたい。
どうでもいいことを考えていたら、カフェオレももうなくなっていた。
3年前の、恋愛に疲れ切っていたわたしに教えてあげたい。
27歳のあなたは嫉妬すら楽しめるようになったから、きっと大丈夫だよって。
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