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兄弟の絆が立ち上がる空間・yomibasho vol.4音楽朗読「泥流地帯」堀井美香・西村まさ彦


今、東京文化会館の前で夜の公演までの空き時間にこれを書いてます。

フリーアナウンサー堀井美香さんの朗読会。
ラジオやポッドキャストで聞いていた堀井さんを生で見る機会をチケット発売日からとても楽しみにしていました♪

それに今回はあの!東京サンシャインボーイズの!古畑任三郎の!大好きな西村まさ彦さんも出演するとなってはこれはなんともレアでワクワクする舞台ではないですか!

作品は三浦綾子さんの「泥流地帯」。
実際に明治大学30年に起きた十勝岳の大噴火を題材にしているそう。

私、原作モノは読んでから観たいタイプ。
でも今回は何も情報を入れずに鑑賞しました。
原作、長編だそうですね…どっちみち無理だったな。

朗読劇はほぼ見たことがない。
ひと昔、ふた昔前はお芝居を観るのが好きだった。
芝居は目の前に異空間が立ち上がるから、我を忘れてそこに飛び込めばいい。

でも朗読劇って?
演者座ってるし、本持ってるし、装置も何もないし、台詞以外もしゃべるし。
え、これどう見ればいいんだ?
上手な音読と朗読ってどう違う?
堀井さんは朗読をライフワークとしているらしい。
うーん、ナレーションとも違うのかな?

そんな理屈をこのホールに来るまで電車の中で思ってた。

なんか、不思議な感じに撮れた…


開演。

堀井さんと西村さん、ピアノの川田さんとチェロの市さんが現れてそれぞれの位置に座る。
ピアノの激しい旋律がひとしきり響いて、これからの悲劇を暗示させる。

堀井さんの、普段と違う野太く低い語りから始まった。
語りの緩急、標準語の物語の部分と方言の台詞。
石村耕作を堀井さん、兄の拓一を西村さんが語る。
小さな農村の家族がぽん、とそこにあらわれた。

なんだろう、この感じ。不思議だ。そこにないのに、ある。
生身の人間を通すことで、読書とは違う想像力がかき立てられる。
声と音楽は確かに空気を振るわせて、文字とは違うところに届く。

噴火と泥流の勢いの恐ろしさにこの身が縮んだ。

休憩をはさんで第3章から。

はじめの頃は分かりづらかった人物と関係性がすっと入ってきて、いつしか主人公たち兄弟を応援していた。
うまくいかない復興、もどかしい人間関係。
兄弟の周りの女性たちがいいスパイスになって、陰ながら後押しをしている気がした。
最後の列車が来るシーンは本当にどうなるのかドキドキしたし、しあわせになってほしいと心から思った。
そして泣けた。
原作読んでこなくて正解。
でも読んでみたいな。

終演後、鳴り止まない拍手のアンコールで4人が登場。
ご挨拶があって、演者でないみなさんのちょっとした素顔が見られた。
堀井さんも西村さんもとってもチャーミング♪
現実に戻ってからの終わりで、心がホッとした。

堀井さんは赤いドレス。
私、赤を着る女は怖くてキライなのだけど、堀井さんの赤は全然攻撃的でなくて綺麗だった。やっぱり人によるよね、と思った。

さて、夜の「母」に備えてトイレ行ったりしましょうかね。
「母」の感想はまた明日。

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