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詩の仲間が集まって――合評することで見えてきたもろもろ

こんにちは。長尾です。

わたしの所属する詩誌、ハルハトラムを運営している「現代詩の会」(主宰は北爪満喜さん)と、個人的に関わらせていただいている『て わたしブックス』発行人の山口勲さんと共催してきた詩の合評を重ねていくにつれ、見えてきたことを今回書こうと思います。

合評すること・詩人が集うこと

本来、詩人は孤独です。

孤独に詩を部屋で、あるいはワーキングスペースで書き進めていくには多大な孤独の時間を要することは、みなさんもだいたい想像がつくかと思います。

けれど、自分が書いた詩をSNSや雑誌に投稿しても、いいね!やスキの数、雑誌の選評に書かれることでは、コミュニケーションとして書き手と読み手のつながりが希薄になっていくのではないか。そんな思いが、大学生の時に詩作をしていて思ったことです。

だからこそ、わたしは恵まれた環境にいたのですが、いくつかの詩誌に所属させていただき、以前は対面形式で合評を行っていました。

よく、詩人は詩を書くことだけが仕事ではないと言われます。

よい批評家にならなければいけない、とも。それでは、よい批評家になるためにはどうしたらいいのでしょうか。

よい批評家になるために

わたし自身、偉そうなことは言えませんが、常によい批評・読みをしていこうという試みはしています。

わたしの思いつくままに書いていきますね。

1詩論を読むこと

これは、詩集のあとがきや、帯、栞、そして詩論をたくさんの先人が出していますので、積極的に図書館で借りるようにしています。面白いと思ったものはメモして、実際に詩作に役立てたりします。

2現代詩文庫を読むこと

これも図書館で何冊も読むことができます。思潮社から出ているものがポピュラーかなと思います。とにかく、西脇順三郎・吉岡実・茨木のり子・石垣りんなど、中原中也・萩原朔太郎といった「超有名人・文豪」より後の詩人の詩を片っ端から読みました。今活躍されている詩人たちの詩も手軽に読むことができますし、勉強になります。声に出して読むこともアウトプットの一つかなと思います。(それを録音しておいて、自分であとで聞き返すのも楽しかったです!)

3合評をして、書き手とつながること

詩集や詩誌では、相手の顔が見られません。だからこそ、同時代に活躍している詩友が必要だと、わたしは常々思っています。(本当に、詩友のおかげで助かったことはたくさんありました)わたしの入り口は文学フリマやポエケットというイベントだったのですが、ご縁があってツイッターでつながってからイベントで会い、交流を深めてそれから合評に参加させていただくという貴重な体験もできました。そこで出た意見を参考に、次々思ったことをリアルタイムで対面で言い合っていくのは、非常に勉強になりました。

今、書き手とつながること

今、わたしの関わっている合評はオンラインですべてやりとりしています。Googleドキュメント、そしてmeetでの本当の「イベント」として共催もさせていただくまでになりました。そういう中で、孤独だった詩人の中で新たな交流が見つかることも多々あります。特に新鮮で刺激的なのがmeetでやるオンライン合評でした。Googleドキュメントも、リアルタイムで書き込まれていくのが見えると面白いのですが、meetは対面で話し合えるという良さもあります。ドキュメント形式では伝わらない思いも伝わります。しかし、時間の制約という点ではGoogleドキュメントがいいかなという思いはありますね。いずれにせよ、早く一緒の場に集まって、打ち上げなどがまた出来たら最高だな……と思っているのですが……。

まだまだ、この事態はおさまりませんが、詩人はそれでも何かメッセージを発信しなければいけない生き物だと思いますし、それが「書く・読む」という行為において、書き手と読み手がつながっていくのは非常に重要なことだと思います。そういう意味では、今のオンライン合評もとてもいい手段なのではないかなと思います。

詩人は孤独です。しかし、「本当の意味で」孤独になってはいけない。誰かと詩誌でつながって、一緒に活動をする場が増えていくことを、切に祈っています。

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