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【エッセイ】誰かにとっての魔女見習い

こんにちは。見習い魔女……じゃない、詩人の長尾早苗です。

今夜映画に行くんですけど、取り急ぎ筆をとりました。

わたしを形作ったのは大きく『オズの魔法使い』のミュージカルです。
それから自分が大人になって、本当に「魔女」たちに四方を取り囲まれることになるなんて思ってもみませんでした。

この世の中にはよい魔女も悪い魔女も、上品な魔女もそうでない魔女もいます。この「世の中」のことのきほんを教えてくれたのが、梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』(新潮文庫)でした。

素敵な女性は、いつでも誰かにとっての魔女だと思っています。

わたしの作業場所からどんどん仲のいい魔女たちがいなくなってしまって、残されたのは理不尽にうるさい隣のキーボードと、気づかないか気づかないふりをしている自分でした。

自分にされた(と自分では思っている)ことを忘れられない魔女、自分の評価を他人に任せてしまう魔女。いいねもスキもあなた自身への評価じゃない。そういった魔女たちもわたしも同じくまだ見習い魔女なんだと思います。

昨日はわたしにとっての一番よい魔女である母に会ってきました。
よい魔女からもそうでない魔女からもおせっかいを焼かれたりいらいらさせているとさんざん毒づいたけれど、

いつかあなたもわかるわよ、あなたが見てきた見習い魔女たちがあなたをいらいらさせていたように、あなたを見ていらいらしていた品格のある魔女たちがいるのもほんとでしょ?

と笑い飛ばしてくれてことごとくよかった。
毒づいて毒づいて、怒りまくって怒り倒して、最後には
「面白いほど怒ってたね」って笑える自分がいた。

それは余裕とか幸福とかそんな簡単なことばでは済まされなくって。そんな二者択一の世界で悩んでいるのだったらさっさと働きなさい、そういいたかったし言われたから知っていた。

大人になるって難しい。それはきほんのリズムをきちんと積み重ねてきた魔女しか大人とはみなされていないからだ。

朝ドラを見てすごいな! と思う女性も、うーんいいたいことはわかるんだけどね、と思う女性も、みんな魔女たちで世の中を反映してる。よくわかる。だからわたしにとってドラマは勉強材料のひとつでした。

今、「書いて生きる」ってすごく難しい。知識を手に入れなくちゃいけないし、身に着けるものは武器じゃない。やさしさだ。でもその全部を教えてやらない。わたしはそんなにいいひとじゃない。魔女だよ。あなたにとってよいか悪いかはあなた自身が決めることだ。

そう思いながら最近の仕事は書いていました。

一番大事なことは「常に自分で決める」ことです。

勉強する手間を省いたらいけない。常に自分で決める姿勢を学びにいきなさい。

実家の魔女たちは桜並木を抜けて電車に乗っていました。
今は箒が乗り物じゃないですよ。魔女だって。

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