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今の私がいちばんきれいであるために

茨木のり子さんが、好きです。

多分、詩人の中で尊敬している方の5本の指に入るくらい。

私は、今を「いちばんきれい」でいたい。

話はちょっと変わりますが、私は今回、自分の詩の原体験について書こうと思っています。

簡単に言ってしまうと、私の場合、「痛み」でした。

13歳の時にぜんそく外来でレントゲンを撮ったとき、背骨が横に湾曲していました。

両親と共に千葉に行き、すぐに入院。側彎症という、背骨が曲がっていって、内臓などを圧迫し、ひどいときには歩けなくなってしまう病気でした。

私は当時中学校に入りたての夏だったので、部活の合宿に行けるように日程を合わせ、手術をしました。

まあ、大手術でした。自己輸血をし、全身麻酔をかけ、背中を開いて、ろっ骨を1本取り、背骨に矯正器具の金属を入れました。

全身麻酔が解けて、夜中一人で痛みと戦いながら眠った夜は、蝉の声を聞くたびに、思い出します。

私は背中の開いた水着を、一生着られない、とその時気がつきました。

誰にも背中を見せたくない、と。

それから毎年夏に、症例を集めるためということで定期的に大病院に通うことになりました。

たぶん、私の今までの詩の原体験はその「痛み」だったんですね。

だからこそ、身体感覚という形で「私」を書こうとした。

今、現時点で私を襲う「痛み」は、結婚してからです。

たぶん、20代も終わりに差し掛かろうとして、体も変わってきたんだろうな。

PMS(月経前症候群)という病気がひどくなりました。

ああ、私、きっと今、一番きれいでいれたのに! と、理不尽なことに怒っています。

憂鬱・虚無感・腹痛・頭痛……症状をあげればきりがありませんが、きちんと基礎体温を測って周期を把握し、家族に理解をもらうことや、鎮痛剤でおさめています。

もう、ほんっとーうに、痛いよ……ほんっとーうに、痛いよ。

出産はこれ以上の痛みなんだろうな、と思いつつ、なんとかがんばっています。

毎月のことです。なんとかしてくれーっと思いつつ、そんなことを家族や他人にぶつけても何一つ変わらないので、そっとしています。

体というものは本当に不思議で、だからこそ「女性の身体感覚」という詩人のことばにはっとさせられたり、詩人たちの議論を呼んだり、しているんでしょうね……。

肉襦袢を着ているのは女性も男性も一緒ですが、こればかりは……理解のあるなしにかかわりなく、とても大きな違いなのかもしれません。

私、もう痛い詩たくさん書いてきたよ? これ以上書くの? と詩のかみさまに質問しながら、結局は詩を書いています……。

寄り掛からず

ばかものよ

と自分を戒め、今日も生活は続いてゆくのです。

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