診察で目を合わせないことも大事なのだなと気づいた日。
切れ痔になりました。
この一文で全てを理解できたことでしょう。
え?切れ痔?なにそれ?
そんな人もいるでしょう。
大丈夫、あなたもこれからよ。
切れ痔ってなかなか治らない。
ある日、私は切れ痔になった。
ちょっと踏ん張っただけで裂けた。
痛みと血…痛いのは出産の時に比べたらなんてことないのだけど、血が止まらない。
ま、そのうち止まるでしょ?
謎の自己治癒力を信じ、私は翌朝絶望することになる。
パンツが血だらけ。
え?ちょっと待てよ?まだ早いよな?
なんて生理日を確認する私。
すっかり痔のことを忘れての行動だ。
しかし、トイレに行き確信する。
あー、切れ痔だ。
ここでようやく理解する。
切れ痔って自然と治るんじゃないの?
どうしたらいいのかさっぱりわからず考えていると、夫がどうしたのか聞いてくる。
実は…切れ痔で血が止まらないの。
それを聞いて、ぶはって笑ったのを見た瞬間、私は夫の方をすかさずぶん殴った。
笑い事ではない。私のお尻から血が出ているのだよ?もっと深刻に考えたまえ…?
私はそう言って病院を検索した。自宅から近くて車で10分。診察時間を確認したら子どもたちを夫に任せて車を走らせる。
え?ママどうしたのー?
という子どもたちに夫が、ママのお尻が…と深刻そうな顔で演技しているのを横目で見た。
そして、私は颯爽と車に乗り込んだ。
切れ痔と私と問診票
到着。
その歩く姿はまるで愛する我が子を置いて戦場へ来た勇敢な戦士のようだ。
しかし、私はどちらかと言えば負傷兵である。
問診票にいつから?どこが?などの各質問事項に冷静な顔を貼り付けて書いてゆく。
まるで痛みなど感じないロボットのようだ。いや、我慢してるだけだけど。
先ほど椅子にそっと座るのを忘れてしまい、痛みで冷や汗が出たなんて信じられない表情だ。
ひっ!なんて声を出してお尻をかばう光景など我が人生にあってはならない。
声を押し殺し、そうやって静かな待合室にいるわけだ。
お尻を浮かせて座っているので足がぷるぷるする。丁度いい筋トレになった。
名前を呼ばれて、私はついに診察室へ向かった。
おしりって診られるんだっけ?
と思ったのだけど、初めてでよく分からない。
産婦人科では嫌でも内診するよね?
え?じゃあ、おしりは?
などと考えているうちに女医さんと初対面。
あ、女医さんなんだ…。という安心感。
黒髪で顎までの長さの髪は艶やかでサラサラしている。トリートメントは何使っていますか?って聞きたいのすっごく我慢した。
こちらをまったく見ないで問診票に書いてあることを読み、血がどれくらい出るのかを聞いてきたのでパンツが翌朝汚れるくらい出血したことと、トイレに行くと滴るくらい血が出ることを話した。
そしてこちらをまったく見ず、女医さんは
あー、なるほどですねー。と紙にさらさらと書いていく。
あれなんて書いてるのかな。
こちらからじゃ分からないけど、簡潔に書いているんだろうな。
翌朝パンツ血だらけ
滴る血
こんな感じ?
あと今回使うお薬をさらさら〜とかかな?
そんな風に女医さんの横顔を見つめながら考えていた。
いずれにせよ、5分くらいで診察は終わった。
そして、こちらをまったく見ずに『お大事に。』と言われありがとうございましたと診察室から出る私。
おそらく、私のような負傷した者に対して目を合わせて診察をしないという女医さんなりの親切心があるのだろう。
スーパーでばったり会ってもこちらが覚えていても女医さんは覚えていない。
本当に気遣いのできる女医さんなのだろうな。
と、安心して待合室の椅子に座る。
その瞬間、まるで電気を浴びたように肩が強張る。
安心するのはまだ早かった…。
ドーナツ型クッションが役に立つ時が来た。
私は切れ痔だ。
完治するまでにやることと言えば
お薬を塗る
トイレではお尻に優しく
椅子に座る時もお尻に優しく
この3つが大事だ。
子育てに忙しくとも、これを守りながら家事育児を遂行する。
運良く坐骨神経痛の時に買ったドーナツ型クッションが我が家にはある。
それを久々に取り出し、私の席にドーナツ型クッションが置かれるようになったので、子どもたちは興味津々だ。
なんでこれで座ってるのー?
無邪気な子どもの質問に、ママはお尻をケガしてるんだよと答えた。
そっかー!
と言って子どもはおもちゃで遊び始めた。
しかし、翌日ドーナツ型クッションが見当たらない。
どこへ行ったのか探すと子どもたちがそのドーナツ型クッションで遊んでいる!
子どもは遊びの天才だと誰かが言うが、そんなことより私はあれがないと座れない。
ママー!見てみて!
といって穴に手を入れてクルクル回したりして遊んでいる。しまいには取り合いになってケンカを始めたので、すかさず取り上げることに成功した。
子育てしてるとこんな事も日常だな…などと思いながらドーナツ型クッションを椅子に置いて座った。
それから1週間ほどで私の切れ痔は完治した。
ドラッグストアで買うんだろうな
ふと思ったけど、待合室には若い人がいなかった。
わざわざ病院へ行くよりも、ドラッグストアで買っているのかもしれない。
中にチュッ、外にはサッ!とコマーシャルで流れる〇〇製薬のCMもあるくらいだから、(今はない)みんなそれ買うよね。
切れ痔か、いぼ痔を隠しながら生きてるんだろうな…?
これの統計データとっている人はいるのだろうか?男女比とかもあったら面白いな〜なんて思ったけど、病院行かないんだったら正確な統計取るの難しそう…。
ドラッグストアで調査してた方が早いかもしれないな。毎月の売れ筋商品とかどの製薬会社のが売れてるのか分かるはず。
などと考えながらも、やっぱり女医さんの診察室での印象が強く残っている。
今の若い人たちに伝えたい。
お尻が裂けたら病院へ!
行っても先生、目も合わせないよ!(たぶん)
内診ないから安心して!
市販のお薬で効きが悪いものもある。ぜひそんな時は病院へ行ってほしい。
あとがき
こんな切れ痔になった事をnoteに書くのはどうかしてるよな〜なんて思っていたのですが、需要があったので(?)書きました。あとがき入れて2700字くらいでしょうか?ちょっと読むのに抵抗ありませんでしたか?大丈夫ですか。あ、そうですか。
じゃあ、またこんな感じで書いてみたいと思います。笑いながら当時のことを思い出して書きました。
痛くて辛い思い出です…。
それでも病院へ行って治るんだから行こうよ!って背中を押せる内容にもなってます。市販品で効果が期待できないのも中にはあるので、それを使い続けるよりは、まずは病院。
怖くても、ちょっと恥ずかしくても我慢せずに行ってほしいという気持ちも込めてます。
今回はお尻だったので待合室の落ち着いた雰囲気とか診察室の安心感とか女医さんの固定された姿勢とかもっと書けたはずなんですけど、激痛でそれどころではなく…すみません。
あれ?車の運転の時はどうしてたんだろ?と気づいた方はさすがですね!しかし、これは記憶にないのでそこは省かせてもらいました。きっと激痛で記憶が飛んでいってしまったのでしょうね…。
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