【彼女は右分けが可愛い】
subtitle・豆鉄砲で死者が出る日。
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こんにちは。『なぜ猫』と申します。
2019年、1月から「にほんブログ村」で、『なぜ猫年はないのか問題』という、ブログを書いています。
「ブログを書こう」と思ったきっかけは、母の認知症でした。
「レビー小体型認知症」という、タイプの認知症で、物忘れに加えて、
幻覚、幻聴、抑うつ症状、運動機能の低下・・・さまざまな症状に苦しめられていました。
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家族は、夫である父と2人暮らしです。
弟と私は、結婚して他県に暮らしています。
長年、相思相愛で、暮らしてきた妻が、
認知症になり、
苦痛と混乱の日々が、訪れても、
父は、今まで以上に母を愛し、献身的に支えました。
嫁いでいる私が、実家に行けるのも週に一回が限度で、
帰るたびに、2人がやつれていくのがわかり、
見ていない間の、2人の生活が思っているよりも過酷だということが、想像されました。
それでも父は「大丈夫だから」を、繰り返す・・。
蟻地獄に落ちたアリのように、認知症というモンスターに飲み込まれていく母を、ただ、呆然と見ることしか出来ず、苦しかった時、
その苦しみをブログに書くことで、救いになればと思い、
始めたのがきっかけです。
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「レビー小体型認知症」は、「レビー小体」という異常なタンパク質が、脳内に蓄積して起きる病気で、
同じく「レビー小体」が原因で起こる病気「パーキンソン病」や、
そのほか、幻覚が見えることから、精神病などと誤診される事が多い認知症だそうです。
母も、誤診から処方された精神薬で、一気に悪化しました。
一日中興奮して動き回る母を、父がこれ以上一人で看ていては、
共倒れになるからと、母を入院させました。
そこで、やっと正しい診断をされ、症状も改善しました。
それから、一年半あまり経って、介護認定が「要介護4」になり、
思っていたよりも早く、「特養ホーム」に入れました。
「特養ホーム」は、いわば「終の住処」になる所です。
75歳の母が、入れた事は、不幸中の幸でした。
寂しいけど、ほっとしたのも、正直な気持ちです。
住む場所が変わる事は、認知症の人に限らず、
普通のお年寄りにとっても、あまり好ましくない変化。
引越しが原因で認知症を、発症することもよく聞きます
特養ホームの雰囲気が、前にいた民間の施設よりも良くて、
本当に、ホッとしました。
もう、施設の引っ越しもしなくていい。
今はコロナ騒動で面会できませんが、それまでは、
毎日のように、「ケアセット」とおやつを持って面会に行っていた父。
「ケアセット」の中身は、爪切り、新聞紙(その上で爪を切る)、ブラシ、タオル、ポットにお湯(蒸しタオルを作って母の顔を拭く)
女性用シェービング剃刀、ニベア・・・。
私が母の顔の産毛を剃り、ニベアを塗った後、髪をブラシでといていると、
父が、
「あっ!そっちじゃなか!左分けじゃなくて、右分けが、『お母さん』は可愛いけん。右分けにしてやって。」
と注文をつけてきます。
私は、鳩が豆鉄砲食らったように、目をパチクリさせながら、
「本当に〜?」と、母の髪を、右分けにしてみると、
父の言った通り母が可愛くなったので、びっくりしました。
自分の妻が、可愛く見える分け目まで知ってる夫が、この世に何人いるでしょうか?
私が「変態レベルのファザコン」なのは、
こういう父だからです。
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その後、
母の爪が伸びているのを目ざとく見つけていた父が、
新聞を広げて、切ってあげました。
足の爪が切りやすいからと、床に座り込んでいる父を見たスタッフが、
「ご主人、椅子ありますよ!」と声をかけてくれましたが、
「ああ、爪が切りにくいからこうしてるだけです。お構いなく~。」
と、返すと、
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、そのあと、苦笑いをしたスタッフさん。
そのあと、少し、そのスタッも交えて雑談をしていると、
「ご主人の趣味は何ですか?」と聞かれました。
間髪入れずに「趣味は妻です!」
鳩豆砲リターンズ (・Д・)
父を、野放しにしていると、
鳩豆砲で、そのうち死者が出るかもしれない。
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