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短歌に加担(お試し版)

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短歌×テキスト×音楽。お試し無料版です。過去人気のあった5首を選出しています。気に入った方は有料完全版もぜひ。
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第十九首-どちらからともなく一番星を指す上手に笑えなくてもいいよ

第十九首-どちらからともなく一番星を指す上手に笑えなくてもいいよ

十九首目。かなり間が空いてしまいましたが戻ってまいりました。
梅雨時は空模様だけじゃなく気持ちの方も不安定になりがちで、日々浮かんだり沈んだりを繰り返しています。でも、ずっとそこに居続けることなんてきっと誰にもできないから、浮かんだり沈んだり、そういうことを続けて行くしかないのかもな、とも最近では思うようになりました。願わくは、指差したその先、輝くそれがまだ明るさを保っているうちに手中に収めること

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第十八首-折りたたみ傘を位牌のように差しだれかのさきをきみは歩める

第十八首-折りたたみ傘を位牌のように差しだれかのさきをきみは歩める

十八首目。折りたたみ傘って便利ですよね。愛とか希望とか嫉妬とか涙とか、そういったものも折りたたんでポケットの中に入れられたりしたらいいのに。そして都合のいいときに出し入れできたらいいのに。

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不幸は顔に出るっていうし、そのときあたしはそういう顔をしていたんだろう。たぶん。誰かを悼むみ

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第十六首-こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり

第十六首-こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり

十六首目。生きていると、ときどき出来事に感情が追いつかないときがあります。そんなとき、ひとは瞬間、笑うことも怒ることも泣くこともできずに、ただしどろもどろになってしまうものなのかもしれません。

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妻が逝った。
脳梗塞だった。切れた煙草を買いに近所の煙草屋まで散歩をして、一服。戻ってき

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第十三首-いつもより遠心力の強い日にかるくゆるめたままの涙腺

第十三首-いつもより遠心力の強い日にかるくゆるめたままの涙腺

十三首目。いったいいつ頃からそうなったのか定かではないですが、まるで冷たいものを食べ過ぎたお腹のようにゆるゆるになってしまったわたしの涙腺もかつてはきゅっと強く締められていて、あれは本当に高校生でした。

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ぐるぐるぐるぐるぐるぐる。

公園のあの、ぐるぐるするやつをあたしは回していて

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第十二首-日程を決めない限り かなわない大人の遊びはどれひとつとして

第十二首-日程を決めない限り かなわない大人の遊びはどれひとつとして

十二首目。かつてあった時間割。嫌いな数学が2コマあったりする水曜日は前の日の夜から憂鬱で、体育や音楽のある木曜日の帰り道はいつもより景色がきらきらしていたような、そんな気がします。

あれから十数年、今や社会人となったわたしは限りなくブラックに近いグレーな会社で畜生ってます。

働いていると曜日の感覚がぼんやりしてしまうのは、もしかしたら時間割がないからなのかもしれないなぁ。

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