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愛するより愛される方が幸せになるなんて言わないで。
「ねこまめのことが大好きです。」
この素敵な一言に私は素直に「私も大好きです。良ければお付き合いしましょう」と言えなかった。
それなのに「ごめんなさい」とも言えなかった。
強欲で傲慢な私の口から出た言葉は、
「好きっていう感情は持てていないけど、あなたのことが嫌いとかじゃなくて。居心地はよくて。だからそれでも良かったらお願いします」
だった。
結婚する人とは「ドキドキより安心が勝っているほうが良い」と巷ではよく耳にする。耳にするからこそ、それこそが”正解”だと私は信じているのかもしれない。
「女は愛するより愛される方が幸せになれる」という言葉もまた、信じていたい言葉なのかもしれない。
こんな私のことを好きになってくれた彼。彼となら心穏やかに幸せになれると信じたかった。
なんて、まだまともな感情は2割くらいだったかもしれない。
彼とは同じコミュニティに所属していて、彼が私のことを好きらしいというのはコミュニティ内でとても有名なお話しだった。そんなコミュニティの雰囲気を崩したくない、みんなの期待を裏切りたくないという思いが6割。
彼の勤め先のステータスがある程度高く、今後困らなさそうだという思いが2割を占めていたと思う。
そんな最低な思いでスタートした彼との関係はここまで順調だと思う。何をもって順調というかはわからないが、毎週1回はご飯に出かけているし、手を繋いでお散歩もよくする。返信が週1になることも多々ある私が彼とはLINEも毎日している。
彼と付き合ってから異性と2人で食事に行くのはためらっていたが、この間久しぶりに彼氏以外と2人で飲みに行った。
飲んでいた相手に彼氏がいることを伝えると「その人のどんなところがいいの?」と聞かれた。私が「安心できるところ」と答えると、「ドキドキは?」と聞かれた。
私の口からは「全くしてない」と出てきた。そんな言葉を聞いて相手に「そんなの恋じゃなくない?」と言われてしまった。
その通りだと思った。
ドキドキしないって、安心するってすごくいいことなんだろうけど、きっとこれは恋じゃない。自分の気持ちが追いつかないまま、相手の気持ちが大きくなってしまうのもよくないし、早く別れを告げたほうが良いこともわかっている。
それなのに、もう少し待ったら彼のことを好きになれて幸せになれるかもしれないとか、彼と別れたら今のコミュニティの人とも仲良くできなくなってしまうとか、またまたそんな傲慢な気持ちで、自分勝手な強欲で別れを告げられないでいる。
これまでに何度も同じことを繰り返しているのに一向に学ばない自分がほんと馬鹿馬鹿しい。いい加減学ばないと。
自分がかわいくて仕方ないなんて、本当にまだまだ子どもなんだろうな。
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