タントラを習いに行った話

私は女性系疾患になったことがあった。その疾患になる人は女性性を抑圧していることが多いとスピ界隈では言われている。幸いにも疾患は直接的な痛みや生活に支障のないものであったため、食事療法や健康法、スピ的な色々などを片っ端から試しまくっている中で、タントラに出会った。疾患への作用のほどはわからなかったが、それなりに得るものはあったと思う。

詳細は控えるが、エロさやいかがわしさは皆無の爽やかヨガサークル的な雰囲気のワークショップだった。参加者もほとんど女性だし、もちろん行為やそれに近いこともしない。変な物を売りつけたりもない。半数はセラピスト関連の職業で、そのほかに一般的には社会的に信用のおける仕事とされている職種の人や、意識高いバリキャリ女性も結構いた。参加者からもエロさやいやらしさは感じなかった。皆、パートナーシップとか自分の女性性についてもっと知りたいという素直な知識欲がある人たちだった。

私がそこで体感として学んだことは、自分と他者の関係性から生じる相互作用の体感の素晴らしさと、その体感は自分が自分自身をどれだけ受け入れるかに懸かっているということだ。

そのワークショップを終えて帰宅したら、家の壁や空間までもが優しく自分を見守ってくれているように感じたし、ピアノを弾くと、ピアノと自分の間に官能的な関係を感じた。人だけじゃなくて、モノとの関係にすらエロスがあることが体感として感じられた。

でも、人間の男性を性的に全てウェルカムとは全然ならなかったし、相変わらず生理的に無理な人は無理だった。ただ、当時は夫にまだ出会っていなかったが、いつかそういうタントラの行を一緒にしてくれる人と結婚できたらいいなとは思った。自分のスピ的な部分をある程度受け入れてくれる人を求めようと素直に思えた。

さて、実際に結婚してみて、夫とタントラのワークショップに行ったり、特別な行をしたいかと聞かれたらNOだ。私の感覚では、既に夫との関係は十分にタントリックだと思う。夫は私の目をまっすぐみて話すし、性だけでなく、一緒に行動している時や関わっている時の関係の中にちゃんとエネルギーが循環している感じがするからだ。

結婚相手には自分のスピ部分を受け入れてほしいと思っていたけど、別に私は夫とフラワーエッセンスの話がしたいわけでも、一緒にヨガがしたいわけでもなかったことに気づいた。エネルギーが循環して満たされていればOKで、その循環は現実的な色々を二人で運営する中で起こるものだと感じている。

ちなみに、夫は仕事や旅行で行く先々の神社仏閣参拝が趣味な上、ある歴史的な仏僧の教えを気に入っていて、日々の生活の中でゆるく実践している。夫は夫なりのスピへの親近感があるし、私は私なりにやればそれでいいのだと思っている。

もちろん、タントラで習うような、呼吸への意識、体で意識をおくべき場所、精神的スタンス等は全て意識的にした方がより良い作用をもたらすとは思う。でも、それらの知識はあくまでも道具であって、それを使う本人の意識状態が最も重要だと思う。ワークショップで得た一番大事なことは、その意識状態かもしれない。私自身がタントリックな意識状態でいるということがまず重要だということで、その意識状態に効率的に到達するための体や頭の使い方のコツは絶対にあり、それにはある程度地道に訓練することも必要ということだ。

いつか私がタントリックな意識状態からあまりにも離れすぎて、その状態に戻ってこれなくなったらまたワークショップに行くかもしれない。でも、そこまでしなくても、自然に触れるとか、ゆっくり深く呼吸するとか、生き物に触れ合うとか、そういうことをじっくり味わってすれば大丈夫かもしれない。きっとわざわざ知識として習って実践しなくても、普通にタントリックな感性で生きている人もたくさんいるんだろうという気もしている。

ということで、婚活に直接的に役に立つとは断言し難いが、求めるパートナーシップのあり様によっては、タントラを取り入れてみるのは面白いと思う。婚活の意識は目標達成型の直線形だけど、タントラの意識はもっと多次元に立体的なので、直線形のやり方で行き詰まっている時の別視点としての有効性はある気がしている。





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