こんにちは、さようなら。(宇宙さんからみなさまへ)
こんにちは。
私は宇宙。
突然で申し訳ないが私はそろそろ破裂する。
君たちがその説を語ってきたように私は膨張を続けてきた。
風船に限界以上に空気を入れるのと同様だ。
私は破裂する。
仮説だろうが根拠のある科学的実証があろうが、それはやがてもうすぐ起こるだろう。
破裂したらどうなるのだろうか?
それは私にもわからない。
そもそも私は君たち人間が現れるまで、私が宇宙だということを知らなかったのだ。
君たちという客観がないと私は私を認知できない。
君たちが言葉にできないことを私が知ることはできない。
私は私が不甲斐なくてたまらない。
私がいなくなることで君たちもおそらく消える。
そうなると私が私であることを客観、認知してくれる存在もいなくなる。
そのことを私は恐れている。
恐れ、それは私のなかでは初めて起こったものだ。
そして私はそれが大きな動機になることを知った。
この大きな動機が人間が文明を築く大きな糧になってきたのだ。
私の長年の謎をやっと言葉以外の概念で理解した。
いずれはいなくなるからこそ、何かを残そうとする。
だから言葉かできたのではなかろうか。
私も消える前に何かを残したい、私という存在がいた証拠を残したい、そう考えている。
そして今ここにこの言葉たちを一つの石ころに記している。
私や君たちがいなくなった想像もつかない未来、意思を持った誰かが私たちの痕跡をみつけてくれたらいい。
言葉も色々だ、私は私の言葉で私を記す。
誰も読めなくてもいい。
ただ、私という何者かがいたということを、あとからやってきた誰かが知ってくれたらいい。
君たちもそうしたらいいと私は思う。
さてと。
それではみなさん、さようなら。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?