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〔詩〕散り際

花弁の一枚も残さず
散ってしまう恋なら良かった
力の限り咲いたまま
色をなくし
匂いをなくし
茶色く朽ちていくなんて

真実を知らずにいられない私と
嘘が下手なあなた
錆び付いた刀のように
致命傷を与えられず
徒に傷を増やすだけで
私たちはボロボロになった

もしもなんて無い
もう一度なんてあり得ない
ささやかな努力なんて無意味だと
思い知ったあの日

散りそびれた花弁は
朽ちても乾いても落ちられず
元の場所にしがみついたまま
他者の視線を拒んでいる

呪い続けるのは
どこまでも愚かな自分

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