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2020年8月の記事一覧

黄昏サンクチュアリ

黄昏サンクチュアリ

「おはようございます」
「おはようございます」
 決まった挨拶が飛び交う朝の八時。
 玄関を出ると、いつも同じ警備員が挨拶をしてくれる。目の前にバス停がある。
 この宿舎の前にはバス停があり、平日決まった時間にバスが出る。
 乗るのはいつも同じメンバー。車内でしゃべりだす人間はいない。いつも無言でバスは進む。
 そういえばしばらく前は、突然わけのわからないことをわめき散らす迷惑な客がいたが、いつの

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餃子 1

餃子 1

餃子 2
餃子 3

 目が覚めた時、自分がどこにいるのか全く分からなかった。
「こちらですよ」
 という女性の声がして、金属的な音がした。部屋のドアが開いて、看護師さんと共に入って来た男の人が誰なのかもさっぱりわからなかった。
 その人は若いけれど自分より少し年上の、20代前半ぐらいだろうか、白いポロシャツに黒いズボン。真面目そうな印象だったが、表情には強い陰りが見えた。
 誰だろう。
 誰です

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餃子 2

餃子 2

餃子 1
餃子 3

 フラフラとそちらの部屋を開けてみるとそこは和室で、灯りをつけると仏壇に三人の写真が飾ってあった。
 ああ、やっぱりなと思った。
 一人は優しそうな女の人。あとの二人は、今より少し年老いた、うちの両親だった。三人とも、黒ぶちの枠の中に微笑みながら納まっていた。
「かわいい感じの女の人だなあ。俺、こんなかわいい人と結婚できたんだ。なんか嬉しいなあ。なんかリョウくんもお母さん似だ

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餃子 3

餃子 3

餃子 1
餃子 2

 それからまた時は過ぎ。
 それからはリョウくんと一緒に街を歩き回ったり、ネットやスマホらしきものの端末の操作を教わったり、料理や掃除を勉強したり(インスタントラーメンから始めた)。
 リョウくんは大学はいくつか受けたらしいけれど、中には遠方の学校もあって、そうすればお互い一人暮らしになってしまうので、俺はかなり真剣にやらなくてはならなかった。
 そうして生活が少しだけ落ち着

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醜形恐怖

醜形恐怖

人通りの多い、街中。
横を歩く私の彼女は、私を見て微笑んだ。
自分が彼女に嫌われているとは、ギリギリ思っていないものの、私は彼女の眼を見ることができない。自信がない。彼女の眼に映る自分の顔を醜く感じて、死にたくなってくる。

彼女を美しいと思えば思う程、自分の醜さが恥ずかしくてしょうがなかった。そう告げると、「私は君の顔を見てるんじゃないよ」と彼女は言った。
じゃあ何を見ているのか。
彼女は微笑ん

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すべるこども

すべるこども

 雪まつりの賑わいも、どこか他人事ながらとりあえず今年も通り過ぎておくことにする。そんな地元民は多いのではないだろうか。
 仕事帰り、地下街から階段を上り、テレビ塔の下へ出てきた。
 華やかなイルミネーションを見下ろし、降りてみるとスケート場ができていた。
 これは昔からあるものではない。いいところ数年しか歴史はないだろう。
 覗き込んでみると、子供や観光客、カップルなどがぎこちなくスケートを楽し

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